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253話 宴会前夜 -準備を始めますね-

迷宮の出入り口には誰も居なくなりました。

「じゃあ今日はここで解散だな。俺達は明日の朝にギルドの出張所に報告に行くから、もし一緒に行きたいんだったら、ここに集合な。ちなみにベッティ達はこの後はどうするんだ?」


「俺達は倒した魔物をギルドで買い取りしてもらって、その金で新しい武器や防具を買い直す予定です。本音を言えば伯爵に借りた武器が欲しいですね。後は宴会もしたいですし…… 「宴会? 無事に帰ってきた事を祝ってか? それとも“深き迷宮”を攻略した事か?酒を飲んだりするんだよな?」」


 亮二の質問にベッティが借りていた剣を名残惜しそうに返しながら、買い取ってもらった金で新しい武器や防具を買い換える事を検討している事や、無事に戻ってこれた事を祝って打ち上げをする話をしようとした矢先に亮二が物凄い勢いで食い付いてきた。


「えっ? そ、そうです。せっかく無事に“深き迷宮”の最深部から帰ってこれたので祝杯でもと思って。あっ!大丈夫ですよ!皆は酒を飲みますが、俺は今日から飲みませんから!これからは心を入れ替えて……「その話はどっちでもいいんだよ! 宴会するなら俺も呼べよ!」」


 酒癖の悪い自分の事を気遣ってくれたと思い込んだベッティが感動しながら答えようとするのを軽く遮って、自分も宴会に呼ぶようにと伝えてベッティ達と別れるのだった。


 ◇□◇□◇□


「なんや。リョージは酒も飲めへんのに宴会には行きたいんか?」


「当たり前だろう! 全力で楽しめるイベントは俺のために存在してるんだよ! だから今回の宴会も俺がこっそりと主催して豪勢にやってやる!」


 ドリュアの問い掛けに亮二は力一杯、拳を握って天に突き上げながら答えた。周りにいたカレナリエンやメルタは軽くため息を吐くと亮二に近付いてきた。


「リョージ様。そんな大きな声で叫んでいたら皆に聞こえてしまいますよ?」


「大丈夫! この辺りに居た冒険者達は“深き迷宮”に突撃しベッティ達とも別れたから。よし! さっそく宴会の準備を始めようか。予算は金貨10枚くらいでいいかな?」


 相変わらず金銭感覚がおかしい亮二に苦笑しながら「私達が宴会の準備をするので、リョージ様達は宿屋で待ってて下さい」と告げると、亮二から金貨袋を受け取ってカレナリエンとメルタは場所の予約や食料調達に向かうのだった。2人が準備に向かってくれたので亮二は特にする事が無くなり、クロやライラ、ドリュアを連れて一旦宿に戻った。しばらくは4人でストレージから取り出した軽食を食べながら会話をしていたが、ライラがふと何かに気付いたかのように顔を輝かせながら亮二に話し掛けてきた。


「リョージ。宴会にお菓子は必要じゃない? 転移魔法陣で王都にすいーつの買い出しに行こうよ」


「偉い。ライラ。リョージ様。私もすいーつ食べたい」


 ライラとクロからおねだりされた亮二は「よし! 行こう!」と頷くと、転移魔法陣をストレージから取り出して、王都にある屋敷に設置されている魔法陣に対応した鍵を鍵穴に挿すと、台座の上に飛び乗って王都に移転するのだった。


 ◇□◇□◇□


「なあ、リョージ。さっきのって転移魔法陣やんな?なんでリョージは【時空】属性があんのに転移魔法を使わへんの?」


 転移魔法陣を使って王都に移動した亮二の後を付いて来たドリュアが首を傾げながら問いかけてきた。亮二も首を傾げながら「えっ? なんのこと?」と質問すると、ドリュアは「ほんまに知らんのかいな」と驚きながらも転移魔法についての説明を始めた。


 元々、転移魔法陣は転移魔法が使えない人の為に開発された魔道具である事。500年ほど前は転移魔法が使える人間は自力で好きなところに転移していた事。亮二の魔力量なら数名は一緒に転移可能である事を伝えてきた。


「その話が本当なら、わざわざ転移魔法陣を持ち運ばなくても問題ないってことだよな。俺以外の人達には転移魔方陣は必要だけど。それにしてもドリュアは魔法に詳しいね。木の子なのに」


「だれが木の子やねん! 木の魔物の王族種やって言ってるやろ! うちが本気出したらリョージなんて一瞬でポイッって出来るんやで! って、あかん。ついリョージのボケにはツッコんでまうわ。ちなみにうちが魔法に詳しいのはダンジョンマスターになる前に、人間達と戦う為に色々と勉強してたからやで」


 亮二の質問にドリュアは懐かしそうな顔をしながら答えると「ちょっと見せたろか?」と言いながら掌を上に向けると何かを呟いた。


「これって"アースボール”?」


「そや! どうや! 詠唱破棄して魔法を固定させられるんやで! うちの凄さに声も出えへんやろ!」


 詠唱破棄で固定されているアースボールを凝視している一同に、ドリュアは嬉しそうに胸を張ってドヤ顔をしてきた。クロやライラと一緒に驚いた顔をしていた亮二だったが、人の悪い笑みを浮かべると自分が覚えている全ての属性でボールを作り始めた。。


「は? えっ? なんなん? その数は? それと詠唱はどうしたん?」


「俺に詠唱なんて必要な訳ないだろ!こんな事も出来るぞ?」


 今までの知識ではありえない状態に混乱してアースボールが消え去った事にも気付かずに唖然とした表情で亮二の手のひらを見ているドリュアに、さらに意地悪そうな笑顔をして「こんな事も出来るぞ」と、ボールをゆっくりと動かしたり、高速で動かしたり、合体させたりして見せつけるのだった。

ドリュアが口を大きく開けたままこっちを見てます。

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