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239話 ダンジョンに潜る前の一コマ -色々と話しますね-

“深き迷宮”に向かいます!

「おはようございます!リョージ伯爵!今日はよろしくお願いします!」


 冒険者ギルドの前でベッティと仲間であろう4人が完全装備で立っており、亮二達を見付けたベッティが大声で挨拶をしてきた。有名人との知り合いである事を自慢気にアピールしている感じがした亮二は、ベッティに少しだけ視線を向けるとそのまま素通りした。


「伯爵ぅ!無視しないで下さいよぉ!俺が伯爵と知り合いじゃないみたいですか!」


「えっと?いきなり俺に突っかかってきて一撃でやられた“暴れただけの牛”のベアー君だっけ?」


 亮二のとぼけた返しに、周りにいた仲間達が一斉にベッティを小突き始めた。


「やっぱり!怪しいと思ったんだよ!お前が“ドルュグルの英雄”と知り合いだなんて!」「村を出るときも『俺は頂点に立つ』とか大きな事を言ってたけど、飲んでるだけじゃねえか!」「ギルドで騒動を起こしたって聞いたぞ。怪我をしてるんだから治療に専念しろって言ったろ!なに飲んでるんだよ!酒癖が悪いから飲むなって言ってるだろ!」


 ベッティに対して文句を言っていた仲間達はリョージの顔を見て、からかっている表情だと理解すると、普段溜め込んでいたうっぷんを晴らすかのようにベッティを小突き続けるのだった。


 ◇□◇□◇□


「悪いな。ベッティ。ちょっとした冗談のつもりだったんだけどな。ん?あれ?俺が悪いのか?悪くないよな。ベッティが悪いんだよ。やっぱり謝るのは止めるわ」


「それで良いですよ。ベッティから聞いた話と伯爵から聞いた話じゃ全然違いますからね。おい!聞いた話と真逆じゃないかよ!なにが『“ドルュグルの英雄”に頼られた!』だよ!」


 亮二が笑いながら謝るのを止めたのを仲間の男性が「問題有りません」と答えながら、ベッティを小突いてツッコミを入れていた。男性の話を聞いていると、ベッティと4人はレーム伯爵領時代に南部の村に住んでいたが、生活が苦しくなって一旗揚げる為に冒険者になったとの事だった。5人の仲は良く冒険者としても徐々に力を付けていたがベッティの酒癖の悪さには辟易しており、今回の騒動も仲間達にとっては頭の痛い問題との事だった。


「なるほどな。ベッティは酒癖が悪いのか」


「飲まない時は良い奴なんですけどね」


 男性がため息を吐きながら答えたのを聞いた亮二が何気にベッティに視線を向けると、反省の色もなく笑いながら頭を掻いていた。全く懲りていないベッティを見た亮二は、満面の笑みを浮かべてベッティの仲間達に近付くと胸を叩いて「俺に任せろ。ベッティの酒癖の悪さを治してやる」とベッティの更生を引き受けるのだった。


 ◇□◇□◇□


「えっ?ベッティの酒癖の悪さを叩き直して下さるんですか?」


「ああ、俺の国では『酒は飲んでも飲まれるな』って格言が有るんだよ。酒量も弁えられないようなら最初から飲まなければいいんだよ!」


 亮二の言葉に男性は嬉しそうにしながら「よろしくお願いします」と答えたが、ベッティは顔面蒼白で震えながら亮二に話し掛けてきた。


「あ、あの。俺は別に酒に飲まれているわけじゃなくて…「昨日、俺に絡んできた時は酒は飲んでなかったのか?」」


 ベッティが話そうとしている最中に一刀両断した亮二は、後日に断酒プログラムを作って対応する事を約束して、まずは“深き迷宮”への道案内を頼むのであった。亮二と男性が熱く握手をしているのを青い顔で眺めているベッティ達をカレナリエンやクロ達が生温かい笑いを浮かべて見ていた。視線を感じた亮二は口を尖らせて問い掛けた。


「なに?カレナリエン?」


「いえ。相変わらず、リョージ様の周りには面白い方々が集まるなと。話も終わられたみたいですし、そろそろ昨日作られた武器についても教えて頂きたのですが」


「そう。私もリョージ様が作った武器もお菓子ほどではないけど興味ある」


 亮二の仏頂面にカレナリエンは笑いながら、クロは無表情だがワクワクした感じを出しながら、亮二が作成した武器について質問をしてきた。亮二はベッティ達に“深き迷宮”へ案内させながら、ストレージから武器達を取り出すと説明を始めるのだった。


 ◇□◇□◇□


「まずは、"火炎の剣”から。普段は普通の剣だけど柄頭を叩くと!こんな感じになる」


 亮二がストレージから"火炎の剣”を取り出して抜剣してしてから柄頭を叩くと刀身を包み込むように炎が巻き上がった。その状態で亮二は軽く素振りをしながら説明して、再度柄頭を叩いて炎を消すと剣をクロに手渡した。クロも同じように炎を出したり消したりしながら"火炎の剣”で素振りをして亮二に質問をした。


「リョージ様。炎はどれくらい持つ?何回使える?金額は?修理する時は?作るのに掛かる時間は?」


「お、おぉ。怒涛の質問だな。炎は1回起動させると10分は持つし、回数は50回まで大丈夫!もし使い過ぎてても、【火】属性魔法が使える人間が魔力を注げば少しは復活するかな。金額設定と修理の仕方はまだ考えていない。"深き迷宮”へのアタックが終わったらライナルトに依頼して王立魔術学院研究所で増産できるか検討してもらうよ」


 いつもよりも口数が多いクロに驚きながら亮二は質問に答えた。最終的にはライナルトに押し付ける事までを説明すると「後でライナルト主任教授と話をする」と納得したように、"火炎の剣”を亮二に返却するのだった。


「で、次はこれ!"火炎玉”!ここに紐が付いてるだろ?これを引っ張って投げると"ファイアーボール”が着弾したくらいの炎が巻き起こる。俺が消火するからカレナリエン投げてみて」


「えっ?私がですか?じゃあ、あちらの岩に向かって投げますね」


 話しながら歩いていた一同は"深き迷宮”がある小高い丘までやって来ていた。"火炎玉”の使い方の説明を受けたカレナリエンは近場にあった岩に向かって紐を引き抜くと全力で投げつけた。


「えぇ!」「うぉ!」「何事!」「消火!誰か早く消火しろ!」「敵か!」


 カレナリエンの投げつけた"火炎玉”が岩に当たった瞬間に大音量の爆発音が辺りに響き渡った。"深き迷宮”の近くだった為、突然の爆発音に驚いた冒険者達が剣を抜いた戦闘態勢で駆けつけてきた。その様子を見ていた亮二は、集まった冒険者達に謝罪をしながら正体不明の魔物を討伐する為の切り札である事を説明するだった。

周りから物凄く怒られました…。

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