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225話 雑用組の再特訓 -鍛え直しますね-

ホセの体力が戻るのに5日もかかりました。

 フェリルとの約束から5日後の鍛錬場で5人が息を切らせながら亮二の前に集合した。5人が息を切らせているのは亮二から鍛錬場に50mに渡って深さ1mの穴を掘ったり丸太を運び込ませたりしたからである。


「「「ぐんそう!作業完了しました!サー!」」」


 5人からの報告に亮二は大きく頷いて、全ての道具が準備出来たのを確認すると5人に対して話し始めた。


「よし!これより訓練を開始する!バリスは詠唱短縮練習を!ホセは盾に魔力を通す練習を!2人とも1000回だ!ウラディスは属性付与練習を付与した状態で素振りを10回を300回!3人は魔力が無くなったらマナポーションを飲むのを忘れるな!分かったな!」


「「「Yes!サー!」」」


 亮二は3人に魔力を使った訓練を命令すると、腰にぶら下げられる箱のような物を手渡した。不思議そうに箱を眺めながら腰にぶら下げた3人に対して説明を始めた。


「これは、魔力を使ったら反応する魔道具だ。魔力を使う毎に回数と時間が記録されるから、適当に手を抜いたら分かるからな!それに時間制限を設けるぞ!お前達は訓練の回数を舐めてるな?制限時間は2時間以内だ!ゆっくりしてたら時間が超えるからな!超えたら倍の数を追加するぞ!」


「「「え?」」」


 亮二の言葉に3人は一瞬不思議そうな顔をしたが、「早くしろ!時間はすでに進んでるぞ!」と激を掛られると真っ青な顔をしながら亮二が指定した場所に向かって走っていくのだった。3人が全力で走っていくのを満足気に眺めてからデューイとエルナンに視線を投げると、死にそうな顔をした2人からの視線が返ってきた。


「お前達は自分の事がよく分かっているようだな!デューイとエルナンは先ほど作業をした場所で行軍訓練を行う!付いて来い!」


「「い、Yes!サー!」」


 亮二は2人を連れて穴が空いた場所に来るとストレージからスコップを取り出して2人に手渡すと「全体を少しだけ埋めろ」と命令した。戸惑った顔の2人に亮二は獰猛な笑顔を向けながら少し埋めさせると、威力を落とした“ウォーターボール”を連続で撃って泥のようにした。


「よし!この泥道を2人で丸太の両端を持って50往復してろ!重さ30Kgあるが気合でなんとかしろ!丸太に泥をつけたら10往復増やすからな!」


「えっ?ぐんそう?丸太って、この丸太でありますか?」


「早くしろ!それに口答えしたな?10往復追加だ!すぐ始めんと、さらに5往復追加するぞ!」


 亮二の声にエルナンとデューイは2人で丸太の両端を持つと深さ1mの泥となった50mの道を進み始めるのだった。


 ◇□◇□◇□


「おい!エルナン!ちゃんと持てよ!」


「そっちこそ!もっと持ち上げろよ!泥が付くだろ!それに僕の方を下にするようにするなよ!重さがこっちに全部来るだろ!」


 最初の10往復くらいは軽い感じで行っていたが、30往復を超えた辺りから疲労が蓄積され始め、50往復を超えた辺りからフラつきながらお互いを罵り合いながら引きずるように丸太を抱えて進んでいた。その様子を眺めながら亮二は残り1往復になった時点で無詠唱で2人に対して最大限に威力を弱めた“アイスボール”を撃ち放った。“アイスボール”の直撃を受けた2人は丸太と一緒に泥の中に突っ込むと亮二に向かって弱々しく抗議をおこなった。


「ぐ、ぐんそう。な、なぜ攻撃を?」


「訓練中に話をするなんて余裕だな?そんな状態だと戦場だったら死ぬぞ?前回の戦闘で懲りたんじゃないのか?お前ら?俺の攻撃は手加減してたから死ななくて良かったな。じゃあ、お前達の事を大事に考えている優しい俺からのご褒美だ。前回の戦闘で戦線を崩壊させたかもしれない2人を鍛えるために10往復追加だ。返事は?」


 満面の笑顔で話し掛けてきた亮二にエルナンとデューイは青い顔を白くさせながら立ち上がると「「Yes!サー!」」と答えると丸太を担いで泥の中を進んでいくのだった。


 ◇□◇□◇□


「リバス、ウラディス、ホセの訓練が終わりました!サー!次の指示をお願いします!サー!」


 訓練が終わった3人が亮二に報告にやって来た。ホセの報告を聞いた亮二は3人を眺めると「ちょっと、試してやる」と呟きながら3人に向かって少しだけ威力を弱めた“ウォーターボール”を撃ち放った。3人は驚きながらも冷静に魔法や盾、属性付与した剣で、それぞれが迎撃した。その様子を確認すると亮二は満足気に頷きながら3人に対して話し始めた。


「よし!お前達は合格だ!今日の訓練はこれまでとする!各自、部屋に戻って休憩するが良い!」


「「「Yes!サー!お疲れ様でした!ぐんそう!失礼します!サー!」


 3人は嬉しそうに敬礼すると部屋に戻っていくのだった。その様子を恨めしそうに眺めていた2人に対して振り向きもせずに“ウォーターボール”を撃った亮二は、直撃を受けて泥の中でのたうち回っている2人に溜息を吐きながら近付くと腰に手を当てて睨みを効かせた。


「おい!まだ油断するのか?よっぽど俺と特訓を続けたいようだな!今日は特別に付き合ってやろう!」


「い、いえ。ぐんそう。そろそろ腕が上がらなく…「ばか!デューイ!」」


 デューイの弱気な声にエルナンが止めようとしたが間に合わず、恐る恐る亮二を泥の中から見上げると満面の笑みを浮かべている亮二の姿が確認できた。亮二はストレージからポーションを取り出して2人に飲ませると、インタフェースを起動させて2人のステータスが“疲労(大)”から“疲労(小)”になったのを確認すると笑顔のままで話し始めた。


「そうか。腕が上がらないから特別にポーションを飲ませてやったぞ!疲労は大分と解消したはずだ。さあ、残りの50往復を頑張ろうか?返事は!」


「「Yes!サー!」」


 デューイは自分の発言で振り出しに戻された事を悟ると、涙目になりながら丸太を担ぎながらエルナンに「すまん」と謝るのだった。

ちなみにエルナンとデューイは100往復ほど追加で頑張りました。ポーションが大活躍ですね。

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