表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
234/435

223話 雑用組の特訓4 -前哨戦が始まりましたね-

大馬鹿5人が絶叫に近い声で気合を入れています…。

 5人の大声に前方から獣の叫び声が響いてきた。亮二は索敵モードで魔物が10匹ほど、こちらに向かって来るのを確認すると、5人の不用心さにため息を吐きながら前方から敵が来ることを伝えた。


「馬鹿野郎共!戦闘区域で叫び声を上げる奴があるか!前方から10匹の魔物がこっちに向かって来てるぞ!」


 亮二の雷に5人は一瞬首をすくめたが、デューイが前に出ると亮二に向かって敬礼しながら決意を込めた眼で話しかけてきた。


「10匹の魔物と闘った事はありませんが、ここは俺達だけで戦わせて下さい!」


「自信があるって事だな?いいだろう!お前達に汚名返上の機会を与えてやる!」


 デューイの意気込みに亮二は、これまでの戦闘でテンションが高く自信に満ち溢れている5人には丁度良い試練だと考え、戦い方の最終確認を兼ねて頷くと、少し後方に下がってインタフェースの索敵モードで敵の位置を再確認した。亮二達の位置は魔物が集まっている場所から少し離れており、先方にいる魔物の群れは先ほどの大声で警戒態勢に入ったのか、周りを警戒しているように動かなくなった。こちらに来た10匹は偵察隊を兼ねているようで、周囲を警戒するように向かってきており、到着までには少し時間が掛かりそうだった。


「いいか!リョージ伯爵に特訓の成果を見てもらう絶好の機会だ!10匹くらい簡単に殲滅してビックリしてもらおうぜ!まずは、リバスが魔物の群れに向かって”ファイアーボール”を撃ってくれ!その後は臨機応変でアロー系の魔法を撃って俺達のサポート!魔物の混乱に乗じて、俺、エルナン、ウラディスで敵に攻撃をかける。ホセはリバスの防衛を頼む!」


「「「「了解!」」」」」


 食事時に亮二から指示された内容そのままだったが、デューイの指示に一同は元気良く返事をすると完勝を信じて気合いを入れるのだった。


 ◇□◇□◇□


 5人が戦闘態勢に入ったと同時に前方から、狼型の魔物が9体と熊型の魔物が1体が現れた。一同は狼型の魔物だけでなく熊型の魔物が居た事に驚いたが、最初に決めた作戦通りにリバスが詠唱短縮しながら“ファイアボール”を撃ち放った。デューイ、エルナン、ウラディスの3人は“ファイアボール”が爆発するタイミングで飛び出そうとしたが、前方で爆発するはずの“ファイアボール”が突然消滅した事に戸惑い、リバスに向かって叫んだ。


「おい!リバス!なにやってんだよ!ちゃんと“ファイアボール”を撃てよ!」


「えっ?なんで?そんなはずは?“我は撃つ“ファイアボール””!」


 リバスは再び詠唱短縮で“ファイアボール”を放ったが、同じように消滅するのを確認すると、愕然とした表情になりながら周りを見回した。魔法の援護が無いまま、デューイとエルナンは熊型の魔物と連携を取りながら戦っており、ウラディスは狼型の魔物2体を相手に守勢に立たされていた。ホセは、なにか言いたげな顔をしていたが、襲いかかってきている狼型の魔物3体を盾を使ってリバスを守っていた。


「リョージ伯爵!ど、どうすれば良いのでありますか?教えて下さい」


「えっ?自分達でなんとかするんだろ?考えろよ?不測の事態で混乱する程度なら魔物に殲滅されて死ぬぞ?ほら、さっさと敵を倒して来い!もし、死ぬんだったら敵を一人でも倒してから死ね!」


 なにが起こっているのか理解出来ない表情のリバスからの悲鳴混じりの言葉に、亮二はそっけなく返事をすると、全体の戦況確認を行った。デューイとエルナンは時間は掛かりそうだが、問題なく熊型の魔物を倒せそうだ。ウラディスは苦戦しているが戦線を膠着状態で持ちこたえる事は出来ている。リバスは魔法が消されてパニックになっているがホセが上手くフォローをして敵を捌けている。しばらくは5人で対応が出来そうだと判断した亮二は5人に対して、叱咤激励をおこなった。


「どうした!お前達の実力はそんなものか?そんな状態で、さっきは『魔物を殲滅します』なんて大口を叩けたもんだな!デューイ!お前が指揮を執れないならホセに変われ!おい!ホセ!お前はなにか言いたそうだったな!お前は仲間を気遣ったつもりで見殺しにするつもりか?」


「なっ!そんな事ありません!俺は、ちょっと気になることがあっただけで…「だったら!その気になる事を言わんか!指揮はお前だと言っているだろう!」」


 亮二からの叱咤にホセは小さく悲鳴を上げながら周りを見て指示を始めた。


「まずは、リョージ伯爵が奥で動いていない魔物の対応をお願いします!後は今の状態を維持!リバスはリョージ伯爵が奥に居る魔物の対応を始めたタイミングを見て“ファイアボール”を撃って!」


「いい度胸だ!ホセ!俺を露払いに使うとな!だが、その判断はいいぞ!よく奥の白い狼型の魔物がリバスの“ファイアボール”を相殺しているのに気付いたな!俺が白い狼型の魔物に対応するから、お前達は目の前の敵に集中しろ!」


 亮二はストレージから“ミスリルの剣”を取り出すと、白い狼型の魔物に向かって走り出すのだった。


 ◇□◇□◇□◇


 亮二が“ミスリルの剣”を構えて自分に向かってきている事に気付いた白い狼型の魔物は、前を守るように立っていた魔物にひと吠えした。


「おっ?間違いなく白い狼型の魔物がリーダーだな。取り敢えず目の前に来た魔物から倒すか」


 白い狼型の魔物のひと吠えで自分に向かって威嚇の声を出して、低い姿勢で襲い掛かってくる魔物に対峙すると鋭い突きを放った。亮二の突きを狼型の魔物は紙一重でかわすと、無防備になったはずの亮二の喉元に牙を突き立てようとした。


「甘い!」


 亮二は腕が伸びた状態から肘を曲げて、喉元に喰いつこうとしている狼型の魔物のこめかみに肘を叩きつけ間合いを取ると、奥に居る魔物に向かって無詠唱で“ファイアボール”を放った。


「ぎゃう!」


 無詠唱で魔法が飛んでくると思っていなかった白い狼型の魔物は相殺できずに慌てて避けると、亮二に向かって“アイスボール”を連続で撃ち放ってきた。


「おぉ!連続で魔法が撃てるなんて。やるじゃないか!」


 亮二は“ミスリルの剣”に【火】属性魔法を付与すると連続で飛んできた“アイスボール”を叩き斬って相殺すると、お返しとばかりに無詠唱で“ファイアボール”を3連で撃ち放つのだった。

魔法を使ってくる魔物って牛人以来の気がします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ