222話 雑用組の特訓3 -実力が付き始めましたね-
意外と鍛え甲斐があります。
「よし!休憩に入る!ウラディス!デューイ!エルナン!お前らはキャンプの準備!ホセとリバス、貴様らは、さっきの戦闘の反省会だ!こっちに来い!」
「「「「「Yes!サー!」」」」」
5人は返事と同時に2組に分かれてキャンプの準備と反省会を始めた。亮二は雑用組の目標を思った以上に才能がある5人の力を引き出して、狼型の魔物を殲滅出来る力を得る事とした。
最初は初日で殲滅しようとしたが、時間を掛けて5人を成長させてから群れが集まっている場所に行く事に変更し、7日目で群れがいる場所から8割くらいの所まで来ていた。戦闘回数も7日で50回を超えており、それぞれの特性を活かして戦闘指導や基礎力向上の特訓を行っていた。
「それにしても、この森に狼型の魔物以外にも動物や魔物が居るとは思わなかったよな」
「そうそう。でも、最初の頃と違って戦闘にも慣れてきたから、早く魔物の群れの場所まで行って敵を殲滅したいよな!」
「よく言うよ。ウラディスなんて初日は狼型の魔物に殺されそうになってじゃないか」
「なっ!それは言うなって!俺も最初の頃はリョージ伯爵の訓練を信じられなかったし、エルナンの事も疑ってたんだよ!『リョージ伯爵の言う通りにして強くなるわけ無いだろ!エルナンのリョージ伯爵話も嘘臭いよな』って思ってたんだよ!だけどリョージ伯爵の言葉に従って特訓をしてたらビックリするくらい強くなったんだからな!疑っててすまなかった!エルナン!本当に有難う!」
キャンプの準備をしながら3人は今までの事を話していた。特にウラディスは感動と興奮の面持ちで亮二に従って正解だったことを熱く語っていた。そんな様子を自分の事のように聞いていたエルナンは力強く頷くと「やっぱりリョージ伯爵は神様なんだよ!」とデューイに同意を求めるのだった。
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「あいつらは楽しそうにしながら、作業をしているよな!お前達は、あの輪に入りたいとは思わないのか!」
「「入りたいです!サー!」」
「だったら!さっきの戦闘はなんだ!ホセ!お前に渡している“ラージシールド”は魔力付与されていると言ったろ!身体だけで受け止めるな!お前は図体がでかいだけの大木だ!だが!お前自身の魔力を通した“ラージシールド”で構えれば、お前は鉄壁の勇者になれる!死ぬ気で覚えろ!覚えられなければ死ぬと思え!」
「死ぬ気で覚えます!サー!」
亮二から罵倒が飛ぶと直立不動で返事をしたホセに頷くと、今度は威力とスピードを弱めた“ファイアアロー”を遠くに発現させてリバスに向かって撃ち放った。
「わっ、“我は撃つ!“ウォーターアロー””!」
「よし!相殺できたな。リバス!さっきの戦闘で詠唱短縮をしなかったのはなぜだ?自信がなかったからか?ふざけるな!お前に自信があるかどうかど関係ない!仲間を殺すつもりか!俺が作った“ミスリルの杖”は役立たずの武器か!才能があるにもかかわらず、自信なんて目に見えない物に負けるな!俺が鍛えているんだから、お前なら出来るんだよ!お前もホセのように死ぬ気で魔法を撃て!魔力の枯渇なんて気にするな!枯渇しそうなら俺が渡した“マナポーション”をがぶ飲みしろ!」
「分かりました!次からは詠唱短縮のみで魔法を唱えます!出し惜しみなどしません!サー!」
2人に対して練習内容を伝えるとキャンプの準備をしている3人に向かって「グズグズするな!俺が飯を作れないだろ!」と叫ぶと、3人から「「「準備は出来ております!美味い飯をお願いします!サー!」」」との声が返ってくるのだった。
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「美味い!なんで“ぐんそう”が作った飯はこんなに美味いんだ?それに行軍中に湯気が出ている飯が食えるなんて!俺は一生リョージ伯爵に付いて行きます!」
「こら!ホセ!俺達の分も考えて食えよ!リョージ伯爵!俺にもお代わり下さい!」
亮二が作った豚汁を飲み干したホセが5杯目のお代わりを要求してきた。デューイもホセに対して叫びながら3杯目を亮二に頼むと、残りの者達も負けじとお代わりを要求するのだった。
「初日に比べたら遠慮が無くなってきたな」
「当たり前であります!“ぐんそう”が作られた食事は神が与えた食事と同じです!少しでも多く食べて強くなりたいのであります!サー!そして、お代わりをお願いします!サー!」
亮二の呟きにエルナンが答えながら空のお椀を差し出してきた。苦笑しながら豚汁をお椀に満たしてエルナンに渡すと、「有難うございます!サー!」との掛け声と共に猛烈な勢いで食事を続け始めた。
「食べながらでいいから聞け!今日は最終行程として魔物の群れに挑む!エルナン、デューイ、ウラディスはリバスの“ファイアボール”2連の後に突撃をしろ!ホセは今回はリバスの護衛だ。群れがいる場所は広場になっている。どこから敵が襲ってくるのか分からないから気をつけろ!質問は?」
「リョージ伯爵は、どうされるのですか!」
「俺は遊撃兵として見ているぞ。お前達の7日間の特訓の成果を俺に見せてもらおう!食事が終われば行くぞ!やれるな?お前ら!」
「「「「「Yes!サー!もちろんであります!ウォォ!やるぞ!行くぞ!倒すぞ!魔物を殲滅だ!」」」」」
亮二の作戦に5名から森に響かんばかりの声が返ってくるのだった。
魔物の群れを殲滅だ!