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195話 決闘騒動の後の一コマ3 -シャルロッタ学院長と会いますね-

少し時間が空いたので学院長に会いに行きます。

「今日はバタバタされていると聞いていましたが、こちらに来て大丈夫だったのですか?」


 エレナと別れた亮二とクロは王立魔術学院を訪れると、学院長であるシャルロッタの執務室に来ていた。今後の学院経営について話し合う予定だったが、ハーロルトとエレナからの訪問要求が激しかったために、急遽、訪問の予定を入れシャルロッタには明日に会談する旨を伝えていた。


「明日にしますと言っておきながら急に来てしまってすいません。ちなみに学院長はお腹空いてませんか?よろしければ食事しながら打ち合わせをしましょう。俺の国ではディナーミーティングって言って食事しながら打ち合わせをすることがあります。毎回すると『休憩時間が無い!』ってなりますので、たまにしかやってませんでしたけどね」


「毎回は大変ですが、たまにだったら良いかもですね。料理の準備はお願いしても?」


「もちろんです」


 亮二はストレージから簡単に食べられる食事やスープ、飲み物などを取り出しながら、【土】属性魔法で作ったテーブルの上に並べ始めた。準備が整って座った亮二の横にちょこんと座わりながら食事をしているクロを不思議そうな顔で見つめているシャルロッタに、2人でいる経緯を話すと微笑ましそうにクロを見ながら話しかけてきた。


「リョージ君の妹みたいですね」


「違う。私はエレナと同じでリョージ様の嫁候補」


「えぇ!いつのまに!ちょっと待って!そんな話は聞いてないよ!シュバルツさんの『娘の事をお願いします』ってそう言う意味だったの?って!エレナ姫も嫁候補ってどうゆうこと?」


 シャルロッタから妹のようだと言われたクロは心外とばかりに訂正し、それを聞いた亮二は軽くパニックになるのだった。


 ◇□◇□◇□


「と、取り敢えずクロの話は置いといて、学院の話をしましょうか。家に帰ったらカレナリエンとメルタになんて説明しよう」


「大丈夫。私が付いてる。リョージ様は安心すればいい」


「それが一番の問題の種なんだけどね…」


「モテモテさんですね。リョージ君は。私も立候補しようかしら」


「学院長はライナルト主任教授を狙っているのは把握済み。私は安心していまの話を流せる」


 亮二とクロのやり取りをクスクスと笑いながら話に参加してきたシャルロッタに対して、クロはライナルト主任教授を狙っていると暴露するのだった。


「な、なにを急に!」


「例えば、ライナルト主任教授が講義する時は理由を付けて後ろで見てる。誤魔化しても無駄。私に掛かればどんな情報も丸裸。まだ情報はいっぱいある」


「もう、いいです。降参です」


 真っ赤な顔をして否定しようしたシャルロッタだったが、クロから冷静に情報を出されて、真っ赤な顔のまま早々に降参するのだった。


 ◇□◇□◇□


「じ、じゃあ、話が進まないので打ち合わせをしましょう。リョージ君が提案してくれている3年制度に移行するタイミングについてですが…」


「リョージ様。お腹もいっぱいで暇だから散歩してくる」


 シャルロッタと亮二の話を最初は大人しく聞いていたクロだったが、暇になってきたらしく亮二に「散歩してくる」と告げると執務室から出て行くのだった。クロの自由奔放ぶりに亮二とシャルロッタは顔を見合わせると苦笑を浮かべながら話を続けた。


「ネイハムを特別クラスに移すのは来週早々でお願いします。そう言えばイェフの取り巻き達はどんな感じですか?」


「特に反応は無いですね。むしろ『伯爵家だったから付き合ってただけで、俺達も被害者です』って感じでしたね。イェフ君と付き合いが有った生徒は、分かる形ではなく成績を下げるくらいしか出来ませんね」


 ふと思い出したイェフの取り巻き達について質問した亮二に、シャルロッタは苦い顔をして答えるのだった。


「まあ、取り巻きは風見鶏ですから仕方ないですね。これからクラスを細分化していきますから、同じクラスにまとめて注意して監視しましょう。怪しい動きがあれば即退学でお願いします」


「分かりました。そのように対応します。で、大事なリョージ君の話ですが、マルセル王からの通達で3年制に移行する編成時期に特例で卒業して頂きます」


「え?卒業ですか?まだ1年以上ありますよね?」


 突然に告げられた卒業の通達に亮二は驚いた顔をするのだった。そんな亮二の顔を見たシャルロッタは不思議そうな顔をすると説明を始めた。


「あれ?マルセル王から通達が来ていませんか?ひょっとしたら屋敷に戻ったら通知書が来ているかもしれませんね。リョージ伯爵は領地を没収されたレーム伯爵領に赴任する事になってますよ。それに伴っての卒業と、同時に非常勤講師として勤務していただくことになります」


「おぉ。そ、そうなんですね。屋敷に戻ったら確認します。で!非常勤講師ってなんですか!領地経営しながら講師なんて出来るわけ無いでしょう!レーム伯爵の領地も遠いんでしょ!」


「大丈夫ですよ。そこはマルセル王から『リョージとライナルトが開発した転移魔法陣の第1号をリョージが赴任する旧レーム伯爵領と王立魔術学院に設置する事とする』との事です」


「酷い!絶対に俺を過労死させるつもりだ!」


 学院の執務室に亮二の叫び声が響くのだった。


 ◇□◇□◇□


「さっき、エレナ姫と結婚するって話でしたが結婚式には私も呼んでもらえるんですか?」


「なにも聞いてませんからね!カレナリエンとメルタが婚約者だけでも十分ですからね!」


「でも、王都では婚約者2名に婚約者候補が10人に愛人が10人って聞きました。学院内にはいませんよね?」


「多い!また増えてる!いません!学院内だけじゃなくて学院外にもいません!2人だけです!」


「えぇ!そんな!面白くない!」


「俺の人生を面白がらないでください!」


「リョージ君の人生って面白さがほとんどだと思うんですけどね」

噂がどんどん大きくなってる…。

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