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193話 決闘騒動の後の一コマ -ハーロルト公爵の館にお邪魔しますね-

騒動が終わってハーロルト公爵の館に呼ばれました。

「ところで、伯爵夫人やイェフの兄妹はどうなるの?それに領地はどうなるの?」


「そうですね。レーム伯爵一家は元々、評判が良くなく、黒い噂もありましたので情状酌量の余地は無くて一緒に保養所に行かれます。領地に関しては王家から代官が派遣され当面は領地経営に当たるそうです。それとマルセル王から正式な通知が、明日にはリョージ伯爵にも届くかと思われますので今しばらくお待ちください」


 ハーロルトの屋敷に招待された亮二は執事から紅茶を受け取りながらレーム伯爵家の家族についてや没収された領地などについて、何気に質問すると執事から回答が返ってきた。


「こんな質問しといてなんだけど、執事さんって色々と詳しいよね。それにハーロルト公爵の許可なく大事な情報を俺に勝手に喋っていいの?名前も聞いてなかったけど教えてもらっていい?」


「これは失礼しました。私は公爵にお仕えするシュバルツと申します。情報をお渡しする件についてですが、私がリョージ伯爵のファンなのもご存知ですので『お主が話したいと思ったら全て話して構わん』と許可をもらっております」


 亮二の質問にシュバルツから答えが返ってきた。亮二は修練場でハーロルトから聞いたファンの話を思い出して軽く首を傾げながら震えるように質問をおこなった。


「え?修練場でハーロルト公から聞いた『可愛い』って人ってシュバルツさんの事?俺はてっきり女性だと思い込んでいたよ。って!ふつう女性だと思うじゃん!『可愛い』って言われたら女性だと思うじゃん!プレゼントも用意しちゃったじゃん!装飾品も黒で可愛らしいのを用意しちゃったよ!どうすんのこれ!」


 シュバルツからファンである事を告げられた亮二は最初は冷静に対応していたが、途中からテンションを上げながら叫んでいると、「プレゼントを用意した」との亮二の発言にシュバルツは恥ずかしそうに、嬉しそうに身をくねらせ始めた。


「やめて!俺にはそっちの気は無いからね!かかって来るなら、お前を塵一つ残さない状態で世界から抹消して、この屋敷も全壊させて王国自体から逃げ出すからな!」


「す、スイマセン…。ちょっとした冗談のつもりだったのですが、そこまで拒絶反応をされると、流石に凹みますね。私がリョージ様のファンなのは間違いないですが、公爵が仰っていたのは私の娘の事ですよ。出ておいでクロ」


 シュバルツの告白に亮二が顔面蒼白で恐怖と殺気を纏った魔力を漲らせて立ち上がったのをみて、慌てて冗談である事を説明すると室内に向かって声を掛けるのだった。


 ◇□◇□◇□


 カーテンの影から出て来た少女は恥ずかしそうにシュバルツの後ろに隠れると、頭だけを出してチョコンと首を下げて挨拶をするのだった。


「こら。ちゃんとリョージ様に挨拶をしないか」


「ああ、いいよ別に。クロちゃんだっけ?はじめましてリョージ=ウチノだよ。俺のファンって聞いたけど?」


「強くて格好良いから好き」


 シュバルツの後ろに隠れながら亮二の質問に答えたクロを見て亮二は微笑ましそうに眺めると、ストレージから黒色の鞘に収められた短剣とイヤリングを取り出してクロに手渡した。



「年齢を聞いてから作った方が良かったね。今度来る時に別の物を持ってくるから欲しいのが有れば言ってくれる?」


「リョージ様。ご安心ください。彼女は今の見た目は5才くらいですが、実際の年齢は15歳ですから」


「え?15歳って俺より4才年上って事?幾らなんでもそれはないんじゃない?どう見ても俺の身長の半分しかないぞ?」


「クロ。仕事の状態になりなさい」


 シュバルツの言葉にクロが何かを口ずさむと光が身体を包みこんだ。シュバルツの背後にいた幼女が少女に変化すると、隠れていた時とは性格が違うように亮二の前に出て恭しく膝をついて挨拶を始めた。


「リョージ様にお会いできて光栄です。また、短剣とイヤリングを頂いて嬉しいです!一生付いて行きます!」


「ちょ、ちょっと待って!なに言ってるの?付いてくるってなに?どこに?一生?いや、それよりもなんで急に大きくなってるの?え?大きくなったんだよね?さっきの幼女が少女?せ、説明して!」


 突然、少女に変わったクロから挨拶を受けた亮二はパニックになりながら説明を求めると、クロは嬉しそうに話を始めた。シュバルツとクロは代々ハーロルトに仕えている諜報機関の家系であること。ハーロルトから亮二の話を聞いて興味を持っていたこと。ハーロルトの護衛をしていた時にマルセル王の御前での戦いを見て虜になったこと。初級探索者ダンジョンを攻略した時の新聞を今でも後生大事に持っている事。貧民対策をしている時の姿を遠くから眺めていたこと。今日会える事をハーロルトから聞いて天にも昇る心地になったこと。


「リョージ様についての話でしたら5時間は余裕で話せます!」


「重い!重い!気持ちが重い!ちょっと最初に出て来た時と感じが違い過ぎない?」


「はい!仕事の時はこんな感じです。でも!裏稼業の時に相手と会う時はもっと静かですよ?」


「そうだろうけど!今のテンションで裏稼業やってたら相手も戸惑うよね!」


「ご迷惑でしたか?」


 上目遣いで目を潤ませてうつむき気味に泣きそうな声で「迷惑ですか?」と聞かれた亮二は、頭をガシガシと掻きながら「迷惑なわけ無いでしょ!」と答えるのだった。


 ◇□◇□◇□


「ちなみに通常の時はどんな感じなの?」


「クロ。通常の状態に戻りなさい」


「恥ずかしいから見ないで」


「見た目もそうだけど、性格も変わり過ぎ!ちょっと変わり過ぎじゃない?シュバルツさん」


「暗殺し…諜報員としては便利なんですけどね」


「今、暗殺者って言おうとしなかった?」


「リョージ様。女の子の事を深く詮索しちゃ駄目」


「あぁ!もう!どっから突っ込んでいいか分からん!」

どうやって幼女と少女を切り替えるんだろう?魔法?

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