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189話 ネイハムとの個人授業4 -最終仕上げをしますね-

せっかく特訓するんでライナルト達も呼んでみました。

「あの?今日はなぜ我々はリョージ伯爵の屋敷に呼ばれたのでしょうか?」


「ああ、よく来てくれた。最近、学院で頑張ってくれてるお前達に感謝の気持ちを込めて、食事会を企画したんだ。“試練の洞窟”の深部での探索が終わってから会ってなかったにもかかわらず、突然声を掛けたのに快く学院に来てくれて本当に感謝している。今日は食事を食べながら昔を思い出して楽しんで欲しい」


 屋敷に呼ばれたライナルトと、亮二と一緒に“試練の洞窟”の深部を探索したメンバーの5人が不思議な顔で、突然呼ばれた理由を亮二に問い掛けてきた。亮二は嬉しそうに企画の趣旨を説明すると、ライナルト達を食堂に案内するのだった。


「え?今、変な感覚があったのですが?」


「さすが、ライナルトだな。この感覚久しぶりだろ?」


 ライナルトが不思議な感覚に首を傾げていると、亮二が振り返りながら話し掛けてきた。残りの5人も違和感を感じながらも食堂に到着すると、席に座って亮二の言葉を待った。亮二はライナルト達が席に座ったのを確認してカレナリエンとメルタ、シーヴやメイド達に飲み物を持ってくるように伝えると、奥の扉からネイハムを連れて来て紹介を始めた。


「彼の名前はネイハムだ。ライナルトは主任教授として知っているよな?【白】勲章の持ち主で明後日にバカ貴族のバカ息子と決闘に近い事をするんだが?」


「ああ、その件ならシャルロッタ学院長から聞いてますよ。ネイハム君、申し訳ないね。本来なら我々教授陣や講師が君のような生徒を守る為に注意して見ないといけないのに」


 ライナルトから謝罪を受けたネイハムは恐縮した表情で「とんでも有りません。お会いできて光栄です」と頭を下げていた。そんな様子を眺めていた亮二だったが、ライナルトがネイハムに謝罪をした瞬間に椅子から立ち上がると「全員起立!」と号令を掛けるのだった。


 ◇□◇□◇□


「おい!お前ら!仕事内容がたるんでるんじゃないのか!“試練の洞窟”で『この方は考えるしか能の無いゴミ屑だった我々を戦士として生まれ変わらせて頂いた救世主なのです!』と生まれ変わったと答えたのは嘘か!もう一度、その根性を叩き直してやる!これから森に入って訓練を始める!40秒で用意しろ!分かったな!」


「「「「「「Yes!サー!」」」」」」


「えぇ!ちょっと待って下さい兄貴!な、なにをいきなり始めてるんですか?俺は兄貴から『今日はライナルト主任教授や教授達を特別講師として呼んだから、それぞれの得意分野をしっかりと勉強して明後日の決闘に備えるんだぞ』って聞いたんですが!」


「ネイハム!まだ、調きょ…洗脳が足りなかったな。いや、間違った。教育だ!俺の事は軍曹だと言っているだろ!」


「間違いなく今、調教と言おうして洗脳って言い切りましたよね!教育って言い直しても駄目ですからね!」


「おぉ!あのぐんそうに意見をしているぞ!ネイハムは我らよりも一歩先に進んでいるな!」


「いや!先生方もなに言ってるんですか!学院なら間違いなく先生方が上なんですからね!突然呼ばれて特訓なんて怒ってもいいはずなんですよ!」


 亮二の突然の特訓宣言にライナルト達は素早く椅子から立ち上がると、アイテムボックスから森への探索に適した装備に着替え始めた。そんな様子を一瞬呆然とした表情で眺めたネイハムだったが、我に返ると亮二に抗議を始めた。亮二からの回答にさらにツッコミを入れていると、ライナルト達から驚愕の声と共に尊敬の眼差しが向けられるのだった。


 ◇□◇□◇□


「でも、結局は森に来るわけですね。ところでこの森ってどこなんですか?」


「当たり前じゃないかネイハムさん!我々がぐんそうに口答えなんて出来るわけがないんだよ!」


「なんで、俺に『さん』付け?」


 ネイハムの疑問にライナルトが代表で答えたが、先頭を歩いていた亮二から叱責の声が響いた。


「行軍中に私語とはなにごとか!次の戦闘ではライナルトとネイハムが担当だ!」


「兄貴!俺は戦った事がない!」


「誰でも”初めて”はある!早いか遅いかだけだ!お前の後ろには“試練の洞窟”の深部を探索したメンバーに“ドリュグルの英雄”がいる!気にせずに魔法をぶちかませ!ほら!前方からキノコのお化けが2体来てるぞ!」


 亮二の言葉に一同が前方に意識を向けると、30メートル前方からキノコのお化けが触手を振りかざしながら向かってきていた。ネイハムはパニックになりながら魔法の詠唱を始めると、キノコのお化けに向かって“ファイアアロー”を撃った。


「早い!届いてないぞ!もっと引きつけてから撃つんだ!もう一度、“ファイアアロー”を撃て!そのタイミングが攻撃のタイミングだ!」


「Yes!サー!”我、ここに熱き流れを呼び出し、敵を撃たん!”ファイアアロー””!よし!当たった!あぁ!」


 最初の攻撃はキノコのお化けに届かず、亮二からのアドバイスで、再度“ファイアアロー”を撃ったネイハムは、“ファイアアロー”が吸い込まれるようにキノコのお化けに突き刺さり燃え上がって動かなくなったのを確認し、初めて魔物を倒した事に意識が行ってしまった。もう1匹の存在に気付いた時には詠唱する暇もないほどキノコのお化けが近付いており、防御姿勢を取る暇もないまま触手が飛んでくるのを眺める事しか出来ない状態で思わず目をつぶってしまった。


「初めての戦闘なら仕方有りませんが、目をつぶってはいけませんね。ネイハムさんはもう少し下がりながら魔法を撃つ、もしくは周りにサポートを頼む事を覚えた方がいいですね」


 思わず閉じてしまった目を開くと目の前に亮二が立っており、キノコのお化けの触手を薄い青色の盾で防いでおり、キノコのお化け自体はライナルトが詠唱短縮をした“ファイアアロー”で倒していた。


「そうだぞ!ネイハムは自分が初心者であることを忘れるな!出来る事と出来ない事をしっかりと見極めて戦うように!戦いが終わったらすぐにマナポーションを飲むんだ!」


「Yes!サー!」


 初めての戦闘で魔物を倒したネイハムは興奮した状態で亮二からのアドバイスを聞きながらマナポーションを飲み干すのだった。


 ◇□◇□◇□


「お疲れ。今回の特訓はこのくらいにしておこうか。ネイハムもよく頑張ったぞ!明日の決闘ではバカ貴族の大バカ息子に目にもの見せてやれ!お前達も久々の特訓で楽しかったぞ!これから屋敷に帰って食事会の続きをするから思う存分食べてくれ」


「お疲れ様でした!サー!久しぶりのぐんそうの特訓は為になりました!これからも付いて行きますので見捨てないでください!サー!」


「俺がお前達の事を見捨てるわけ無いだろ!こんなに可愛い部下を見捨てる上官がどこに居る!本当にお前達は最高だ!」


「「「「「「ぐんそう!」」」」」


 亮二とライナルトや教授達との熱い抱擁を、疲労困憊の状態で眺めていたネイハムは、2日に渡る実践を交えた特訓をやりきった自分なら、明日のイェフとの決闘も簡単だと感じるのだった。


 ◇□◇□◇□


「ところで、リョージ様。突然、『特訓だ』と叫んで飛び出されましたが、皆さんにここの場所を説明されたのですか?」


「え?別にしてないけど?ここがドリュグルの近くにある“キノコの森”って分かってるんじゃないの?メイドにシーヴとかも居たし、転移魔法陣で王都から飛んできたって気づいたと思うけど?」


「王都の方々はシーヴを知らないと思いますが、それに諸事情を説明しないと分からないままだと思いますが…」

そういえば、場所の説明を全くしてませんでした。

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