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188話 ネイハムとの個人授業3 -属性に目覚めますね-

貴族の息子から喧嘩を買ったようです。

「申し訳ありません。リョージ様。無用な騒動を引き起こしてしまいました」


「いや!メルタさんは悪くないよ!俺がイェフの言葉を気にせずに受け流していたら問題無かったんだよ。兄貴本当にすまない」


 ネイハムと一緒に昼食を食べる為に特別クラスで待っていた亮二に、メルタとネイハムから昼休みの騒動についての謝罪を受けた。詳細な内容を聞いた亮二は少し考え込むと「ネイハムは食事をしてて」と伝えて、メルタと共にシャルロッタ学院長の元に向かった。


「失礼します。学院長。亮二ですが入ってもよろしいでしょうか?」


「どうぞ。急にどうしたんですか?」


 来訪を告げるノックの音と亮二の声にシャルロッタが扉を開けて中に招き入れた。亮二とメルタは学院長室に入ると、念のために魔力感知を行い盗聴器が仕掛けられていない事を確認すると、昼休みに起こった騒動について説明を始めた。


「今日のお昼やすみにネイハムとイェフって伯爵の息子が喧嘩したそうです。で、話の流れでネイハムとイェフが入学試験の時に行った試験をもう一度する事になったんですけど、立会人をお願いしていいですか?」


「そうですね。学院長としては生徒同士で争うのは認めたくないのですが、ネイハム君とイェフ君ですか。また、対照的な二人が喧嘩をしたものですね。対照的だから喧嘩になったのかな?」


 シャルロッタはぶつぶつと呟ぶやいていたが、亮二とメルタの視線を感じると説明を始めた。2人は対照的な存在として学院に認識されており、ネイハムは成績こそ悪いが真面目に学院での授業に取り組んでいるのに対して、イェフは伯爵家の息子として前学院長からかなり優遇されていたとの事だった。特別クラスへの編入こそなかったが、伯爵家の権力を使ってダンジョンアタックする際には護衛が毎回付き、アイテムも使い放題で、ダンジョンで得た素材なども学院に納めずにいた。


「なんで、そんな事を許してるのですか?」


「私も許した訳では無くて、学院長として伯爵家に申し入れを何度も送っています。ただ、何度手紙を送っても『ご忠告感謝します。近いうちに対応します』としか返って来ないのよ」


「なるほど。前学院長が甘やかしたのと、シャルロッタ先生が貴族じゃないから対応が雑なんだな。貴族派ってのは似たような奴しか居ないのか?ハーロルト公にお願いしてみるか」


 シャルロッタの困り果てた言葉に亮二は頷くと、ハーロルトに協力を求めるために手紙をしたためるのだった。


 ◇□◇□◇□


「なるほどの。イェフ=レームか。貴族派の伯爵子息か。リョージの部下はおもしろい奴と喧嘩をしたな。なるほど、なるほど。伯爵家の地位を乱用して学院で好き放題してるとはの。教授や講師だけに目を向けてたから完全に見落としてたの。今度、そのネイハムとやらに会ったら褒めの言葉でも掛けてやるか」


「嬉しそうですね。ハーロルト公。レーム伯爵となにかあったんですか?」


 亮二に事の経緯を聞いたハーロルトは嬉しそうに頷いたり、思案顔になりながら沈黙が続いたかと思うと手を打って手紙を書いて封蝋をすると執事に渡して、すっきりした顔をすると亮二に貧民対策と学院改革について確認を始めるのだった。


「レーム伯爵との事は置いといて。どうじゃ。最近の貧民対策の進み具合は?」


「そうですね。リカルドが頑張ってくれてますよ。騎士に任命してから、こっちが心配するくらいに働いていますね。学院の改革に力を注ぎたいので助かっていますが、一区切り付いたら長期休暇を与えようと思っていますよ」


「長期休暇?ふむ。それもニホン国では家臣に与えてるのかの?」


 亮二の長期休暇の言葉にハーロルトが反応した。亮二は学生の春休み感覚で2週間程の休暇を与えて、慰労金も渡す予定であることを伝えるとハーロルトは感心したように頷いて、自領でも取り入れる事を決めるのだった。


 ◇□◇□◇□


「じゃあ、早速特訓の続きを始めようか。イェフとの決闘は1週間後で連絡をしているから気合を入れていけよ!」


「Yes!サー!」


 ハーロルトの屋敷から帰ってきた亮二は学院でネイハムを拾って自分の屋敷に戻ると、特訓のカリキュラムを進めるために昨日のおさらいである魔力を魔石に注入をする練習を時間を短縮してするように伝えた。


「昨日は30分で50個だったから、今日は15分で50個いこう。これは毎日の作業になる。時間をどんどん短くしていくぞ!最終日は5分で出来ることを目指せ!」


「分かりました!サー!」


「魔石への魔力注入が終わったら、属性を付与の授業に移る」


「え?ですが、俺には属性が無いのですが…」


「今回は許してやるが、次からは俺の行ったことは『はい』か『Yes』か『分かりました』だ!安心しろ!お前には属性はある!間違いなく俺が引き出してやるから付いて来い!」


 ネイハムから弱気の発言が出たが、亮二は問題なく出来ることを告げると授業を続けるのだった。


「いいか、まずはほとんどの人が持っている【火】属性から始めるぞ。ここにドラゴンの魔石がある。俺がこの魔石に【火】属性を入れ込んでいるから魔力を流してみろ!」


「はい!ど、ドラゴンの魔石ですか?分かりました!魔力を注いでみます!サー」


 ネイハムがドラゴンの魔石に魔力を注ぎこむと、魔石が反応して暖かさを感じ始めた。ネイハムが魔力を注げば注ぐほど、温度が上がる感覚とともに今まで感じたことのない【火】属性の感覚が突然理解できるようになった。


「ぐんそう!突然ですが【火】属性の感覚が分かるようになりました!サー!」


「よし!その感覚を忘れないようにしろ!魔力が尽きそうならマナポーションを飲め!この屋敷だけだぞ!マナポーションが飲み放題なのは!学院で同じ特訓が出来ると思うな!」


「分かりました!サー!」


 ネイハムは【火】属性が身体の中から出てくる感覚に戸惑いながらも歓喜に打ち震えるのだった。

ネイハムが【火】属性に目覚めた!

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