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177話 新たなデザートの登場です -ホットケーキは無敵ですね-

難しい話は一旦置いといてデザートです!

 食事も滞りなく終了し亮二はデザートを楽しみに待っていると、料理長が自信満々の表情でデザートを持ってきた。料理長が持ってきた物を見た亮二は目を見開くとデザートに釘付けになった。


「これってホットケーキ?」


「え?“ほっとけーき”ですか?特に名前は無くて、私が考えた料理なのですがリョージ様の国にはあるのですね。せっかくリョージ様がお越しになると聞いて、頑張って“でざーと”を考えたのですが、まだまだ修行が足りないようです」


「いや、違うんですよ!俺の国では確かに同じような物がありますが、こっちに来てから見たことがなくて、“俺の国にしかない”と思っていたので出て来てビックリしたんですよ」


 亮二の呟きを聞いてがっかりとした表情をしている料理長を見て、亮二は慌てて手と頭を振りながらフォローを始めた。そんな2人のやり取りを聞きながらシャルロッタは興味深そうにホットケーキを眺めると、おもむろにフォークでホットケーキをつつきながら亮二に質問をした。


「リョージ君。このお菓子の名前は“でざーと”なのですか?さっきは“ほっとけーき”と言っていましたが?どっちなんですか?食事の後にお菓子が出てくるなんて、貴族の食事はやっぱり別格なんですね」


「シャルロッタ学院長。食べ物をフォークでつつくなんて行儀が悪いですよ。これは、俺の国ではホットケーキと呼ばれていますね。まさか、この国でホットケーキに出会えるとは思いませんでした。さすがは、ハーロルト公の料理人ですね」


 シャルロッタと亮二がホットケーキについて話していると、ハーロルトが楽しそうにデザートについての補足を始めた。


「シャルロッタ学院長。それはちょっと違うな。リョージがエレナ姫との食事会で初めて“でざーと”の事を伝えて、その存在を知ったエレナ姫が王都に戻ってから食後の“でざーと”として広めたのじゃ。ちなみに味はどうじゃ?リョージよ?」


「ええ。とても美味しいですね。もう、ホットケーキだけでお店を開けますね。ちなみに、俺の国のホットケーキも作ってみましょうか?料理長さえ宜しけ…「ぜひ!お願いします!リョージ様の国の“ほっとけーき”の作り方を教えて下さい!お願いします!王宮の料理長には負けたくないのです!」わ、分かりました!近い!顔が近い!なんでこの国の人はお願い事する時はこんなに顔が近くなるんですか!」


 亮二の軽い冗談のつもりで言った提案に対して、料理長から顔がぶつかる勢いで食い気味に依頼された亮二は料理長の顔を抑えて、ハーロルトとシャルロッタに了承を貰うと調理場に向かうのだった。


 ◇□◇□◇□


「おぉ。さすがに公爵家の調理場ですね。これだけ器具や材料が有れば思う存分に腕をふるう事が出来ますよ。では、ふるいと泡立て器はありますか?」


「ふるいはありますが、泡立て器なるものは有りません。何に使われるのですか?」


「ふるいは小麦粉を溶いている時にダマが出来ないようにするためです。ダマがあると口に入れたときの食感が気になりますからね。泡立て器は卵白を泡立てる時に使います。棒でかき混ぜるよりも泡のキメが細やかになって、ホットケーキがふんわりした感じになります」


 亮二はストレージから“ミスリル鉱石”を取り出して、スキル“抽出 5”で糸状にして、泡立て機をイメージしながら魔力を通して加工を行い、1分ほどで泡立て機を作った。亮二がおもむろに調理器具を作り出したことに驚いている料理長に対して実際の使い方を見せた。


「おぉ!これは凄い!こんなに簡単に泡立てる事が出来るとは!ちなみに材料は何で作られたのですか?この光り方だと鉄ではないですね。銀ですか?かなり高価な材料を使われたようですが?」


「材料は気にしないで下さい。これくらいの量でしたら問題は有りません。今日は素晴らしいホットケーキを頂いたので、お礼としてこの泡立て器はプレゼントさせて頂きますよ」


 亮二から泡立て機をプレゼントすると聞いた料理長は「我が家の家宝にします!」と涙を流しながら喜ぶのだった。


 ◇□◇□◇□


「お待たせしました。ニホン国で人気のホットケーキです。こちらの蜂蜜かベリージャムをかけてお召し上がり下さい」


 亮二からホットケーキを薦められたシャルロッタとハーロルトは驚愕の表情になった。先ほどの料理長が作ったホットケーキと柔らかさが格段に違うからである。


「リョージ君!なんですかこれ!なんでこんなに中は柔らかいのに、外はしっかりとしているんですか?今までこんなに柔らかい食べ物を見た事も聞いた事も無いですよ!それに蜂蜜をかけて食べると甘さが引き立ちますし、ベリージャムをかけて食べたら甘酸っぱさがいい感じで口の中に残って、芳醇な香りを演出します!食べ物でこんなに幸せになるなんて、私は今日のこの日を記念日にしたいくらいですよ!」


「おぉ!まるで食レポみたいですね!シャルロッタ学院長」


 シャルロッタのホットケーキを食べた感想に亮二が「食レポみたい」と言ったが、もちろん意味は伝わらず「“しょくれぽ”ってなんですか?」と質問が返ってきたので、「美味しいって意味ですよ」と応えると、シャルロッタは「本当にホットケーキは“しょくれぽ”ですねぇ」と感想を述べながらホットケーキを本格的に堪能するのだった。


 ◇□◇□◇□


「ところで、料理長よ。なぜ、涙を流しておるのじゃ?それに、その手に持っている棒は何じゃ?」


 涙を流している料理長を訝しげに眺めながら質問をしたハーロルトに、料理長は泡立て器の入手した経緯と使い方を説明しながら手渡した。手に取った泡立て器を眺めていたハーロルトが眉を寄せて信じられない思いで亮二を見ると、「さすが、ハーロルト公!そうです!ミスリルで作ったんですよ」との嬉しそうな亮二の返事に「ミスリルで調理道具を作るとは…」と愕然とするのだった。

ミスリルの使い方が間違っているような目で見られました。

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