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166話 ダンジョンでの大規模戦闘4 -裏マップに行きますね-

見た事のない魔物に心が踊ります。

 亮二とオルランドは“2つ首ドラゴン”に向かって走りながら作戦について話し合っていた。


「で、どうするの?リョージ君?」


「取り敢えず様子を見るために、剣でも魔法でもいいから左右に別れて攻撃をしようか。オルランドはどっちがいい?」


「じゃあ、左側に行くからリョージ君は右側をよろしく!魔法は単体用でいくから!」


 オルランドの言葉に亮二は頷くと“2つ首ドラゴン”の右側に向かって「“ファイアロー”5連」と唱えて撃ちだした後に、“ミスリルの剣”で左足に斬りかかった。厚い皮膚に守られている身体に痛みが走った事に“2つ首ドラゴン”は苛立ちを募らせると、亮二に向かって速射性のブレスを連続で吐き出した。


「おっと!こっちが当たりか!でもブレス攻撃は喰らった事があるから対策済みだよ!」


 “2つ首ドラゴン”が大きく息を吸った動作を見た亮二は、ブレス攻撃が来る前に“不可視の盾型ガントレット”と全身に【水】属性魔法を纏わせて速射性のブレスを防ぐと、再び剣を構え直して同じ場所に斬りかかるのだった。


 ◇□◇□◇□


「おぉ!やっぱり“ドリュグルの英雄”は思い切りが違うね!じゃあ僕も遠慮無く!」


 オルランドは亮二から借り受けた“コージモの剣”に【火】属性魔法を二重で掛けると“2つ首ドラゴン”の側面から斬りかかった。“2つ首ドラゴン” にとっては厄日だったろう。通常の剣なら厚い皮膚によってダメージを防いでくれるが、今回の相手は剣に【雷】と【火】属性魔法を掛けて攻撃してくるのだ。ダメージ自体は大きくないが、“2つ首ドラゴン”は両脇から攻撃される事に苛立ちを覚えると、亮二に対して速射性ブレスを吐いて距離を取らせ、オルランドに対して尻尾で攻撃を行った。


「あ、危ない!」


 観客席から悲鳴が上がった。エリーザベトやルシア達の目には“2つ首ドラゴン”の尻尾攻撃がオルランドに直撃するように見え、エリーザベトは蒼白になりながら「オルランドさん!」と叫んでいた。防音になっているためエリーザベトの叫びは聞こえないはずだが、尻尾の影からオルランドが顔を出すとエリーザベトが居る観客席に向かって手を振ってきた。


「手を振ってる場合ではありませんわ!リョージさんはブレス攻撃をされても上手く躱して攻撃を続けておられますが、オルランドさんはギリギリで攻撃を躱してるように見えるのですが大丈夫なのですか?」


「それはオルランドにしか分からないよね。でもオルランドを見てると、余裕があるようにしか見えないんだけどな」


 エリーザベトの呟きにマテオが答えるとルシアやマイシカ、ロサも同じように頷いた。


「そうなのよね。オルランドの動きを見ていると、リョージ君と同じような匂いを感じるんだよね」


「そうそう。でも、なんだろう?何かが同じようには感じるけど、それが分からないからモヤモヤするね」


「冒険者の目線で見てると、2人とも全力を出しているように見えないんだよね。戦っている感じじゃなくて、舞っている感じ?かな?」


 ロサの言葉に一同が亮二とオルランドを見ると、確かに“2つ首ドラゴン”へ攻撃をしている2人は踊りながら戦闘を楽しんでいるように見えるのだった。


 ◇□◇□◇□


「それにしても、強いじゃないか!」


「“ドリュグルの英雄”にそう言ってもらえると嬉しいね!でも、ちょっと攻撃力が足りないような気がするけど、どう思う?」


 亮二からの称賛の声にオルランドは嬉しそうにしながらも、“2つ首ドラゴン”に対して決定力が足りない事を不満に感じながら亮二に質問をしてきた。


「そうだな。俺はまだ火力を上げられるし、危なくなったら魔力で力押しで倒そうと思っているけど。オルランドはどうなの?」


「僕も、火力ならもうちょっと上げられるかな。流石にリョージ君みたいに魔力で力押しは出来そうもないけど」


「了解!じゃあ、次のブレス攻撃が終わったら、一旦中央で合流して火力量を見てどうするか決めよう」


「分かった。ブレス攻撃は連続で出来ないようだから、その間って事だね」


 2人は “2つ首ドラゴン”と接近戦で攻撃と防御を行いながら気楽な感じで会話をしており、観覧席に居るロサに『踊って見える』と言われた所以である。亮二は“2つ首ドラゴン”からの速射性ブレス攻撃を躱すと、オルランドに分かるように詠唱短縮を始めた。


「“我、敵を撃たん!”ファイアロー“”5連!それと、“我、敵を撃たん!”アイスアロー“3連”っと!」


 亮二から撃ち放たれた“ファイアロー”と“アイスアロー”が時間差で“2つ首ドラゴン”に当たると、大量の霧が発生して視界がゼロになった。霧の中から“2つ首ドラゴン”の咆哮が聞こえてき、アチコチに攻撃をしているようだったが、2人はすでに別の場所で合流していた。


「で、リョージ君の火力アップってなに?」


「あぁ、簡単だよ。こんな感じだね」


 オルランドの問い掛けに亮二は“ミスリルの剣”に【雷】属性魔法を三重で重ね掛けを行った。三重掛けを行った“ミスリルの剣”からは火花が飛び散り、剣の周りに稲妻が飛び交っているようになった。


「おぉ!凄いね。リョージ君がいい物を見せてくれたから、僕も本気になるよ。これから5分ほど別の人と代わるけど気にしないでね」


「え?誰かと代わる?」


「幸福の神“イオルス”の名において、彼の者に幸福の神の加護を授けん。“イオルス”は慈悲深き神であり、母なる大地である。その御力を我に宿し目の前の敵を討て」


 オルランドは亮二の問い掛けには答えずに詠唱を始めると、オルランドの身体が徐々に光り輝きながら神々しさが備わったようにみえた。目を閉じて詠唱をしていたオルランドが全ての詠唱が終わると目をユックリ開け、亮二を見ながら「お久しぶりです。亮二さん(・・・・)」と嬉しそうに話しかけるのだった。

イオルスが降りてきたって感じかな?

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