162話 休日のポーション作成 -来客がありましたね-
そろそろポーションを作らないとアウレリオから怒りの手紙が届きそう。
詠唱短縮授業の終わりを告げる鐘が鳴ったと同時に、参加者から絶賛された亮二は気分よく屋台街に繰り出していた。
「それにしても、相変わらずリョージ君の授業って大人気だよね。でも、今回はライナルト主任教授は来てなかったけど、なにか有ったの?」
「あぁ、ライナルトには詠唱短縮をすでに教えてあるから、聞きに来なくていいと思ったんじゃないかな?それに、転移魔法陣の作成と別の研究準備もあるからね。ロサを受け入れる用意もするって言ってたし」
ルシアからライナルトが授業に来なかった件について聞かれた亮二は、自分の知っている情報をいつものメンバーに伝えた。
「え? ロサってライナルト主任教授の助手になるのがもう決まったの?」
「ええ、詠唱短縮が出来るって分かったら『助手として週2回は来てください』って言われたわ。本当に有難うリョージ君。これからライナルト主任教授の下で働きながら、卒業後も助手として雇ってもらえるように頑張るから!」
マテオからの問い掛けにロサは嬉しそうに答えると、亮二に対して頭を下げながら感謝の言葉を伝えた。亮二は嬉しそうに頷き返すと「よし! 無事に授業が終わったのと、ロサの助手就任祝いだ! 今日は奢るから好きなのを食べてくれ!」と叫ぶと、ルシア、マイシカとマテオから歓声が上がるのだった。
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亮二が無事に授業を終えた週は、特に修練場での訓練もダンジョンアタックでもイベントは発生せずに無事に休日を迎えていた。その日はアウレリオから催促が来ているポーションの作成を行うために、亮二は早朝から作成の準備を始めていた。ヘルマン用のポーション作成見学会は後日となった為、亮二はポーションの作成数を1,500本とし、ヘルマンには「謁見が有るとの事でしたので、出来上がればポーションをお届けに参ります」と手紙を送っていた。
いつも通りの手順で畑から【風】属性魔法で花を刈り取り、【水】属性魔法で壷を満杯にすると【風】属性魔法で中身を混ぜ始めた。5分ほどで壺の中には青い液体が原液となって溜まっていた。
「よし、いつも通りに出来上がったな。これを【水】属性魔法で薄めて……」
「リョージ様。作業中に失礼します。ヘルマン様がお越しですが?」
「え? ヘルマン様? 今日は謁見があるから来ないはずなんだけど?でも、来られたのなら小屋に案内してくれていいよ」
亮二がポーションを作る作業を行っていると、作業中は小屋に入ってこないメルタが申し訳無さそうに小屋に入りながら来客を告げた。亮二は「謁見は中止になったのかな?」と思いながらメルタに小屋まで案内するように伝えると、小瓶の用意をして最終工程の薄める作業を始めるのだった。
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「ようこそ。ヘルマン様。じゃあ、早速ポーションの作成をしますね。っと、言いたいところなんですが! なんで、マルセル王がここに居るんですか!」
「だって、ヘルマンが『リョージ殿の屋敷でポーション作成を見学するから謁見は別の日にして!』って言ってきたんだもん。儂、暇じゃん」
「『もん』って! 『じゃん』って! 王様の言葉じゃないですからね! って、駄目だ! 俺ではツッコミレベルが低すぎる! ちょっと、メルタ。マルコはまだドリュグルに帰ってないよね?」
「え? えぇ、ドリュグルにはユーハン伯爵と一緒に明日立たれる予定です」
「すぐ呼んできて! それまでは俺が頑張るから!」
「マルセル王に対抗できるのはマルコしかいない」との亮二の力説に、メルタは苦笑しながらユーハンとマルコが宿泊している宿舎に向かうのだった。
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「では、リョージ殿。前座は終わった事ですし、そろそろポーション作りを始めてもらっていいでしょうか?」
「そうですね。どこから始めましょうか?」
メルタが宿舎に向かったのを確認した亮二がヘルマンとマルセル王を見ると、ヘルマンが「始めからでお願いします!」と、かなりのハイテンションで、そんな様子を苦笑しながらマルセル王も「最初からで」と伝えてくるのだった。
「分かりました。では、まずはヘルマン様に質問です。ポーションの原材料をご存知ですか?」
「もちろん、赤の花にキノコのお化けの魔石粉末と蒸留水です。そして蒸留水に材料を入れて5分間沸騰させて、ろ過すれば出来上がりですね」
「へぇ、キノコのお化けの魔石粉末なんて使ってるんですね。でも、俺が作るポーションは青の花と【水】属性魔法とそれ意外にも様々な【属性】を使います」
「あ、青い花ですか? 青い花なんて聞いた事も無いですが、そもそも赤い花とは種が違うのですか?」
「種は一緒ですけど【水】属性魔法で育てると、赤い花じゃなくて青い花が咲くんですよ」
亮二はヘルマンとマルセル王が初めて聞いた知識に愕然としている事に気付かずに、すでに刈り取っていた青の花を壷に入れると、同じ手順でポーションの作成を始めた。ポーション作成の手順と、そもそもの材料達が自分の知識と隔たりがある事にヘルマンは感動しながら、マルセル王は諦めの表情で眺めているのだった。
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「この後は100倍に薄めて完成となります。如何でしたか?ヘルマン様」
「あっ、はい。結構なお点前でした」
「何を言っておるのじゃ? ヘルマンの代わりに儂が質問してもいいかの?」
亮二からの問い掛けに陶酔した表情で眺めながら返事をしたヘルマンに、呆れた顔をしながらもマルセル王が質問をしてきた。
「それを100倍に薄めるとの事じゃが、なぜ100倍なんじゃ? わざわざ薄めんでも原液で飲めばもっと回復するもんじゃないのか?」
「そう思って、味見をした事がありますが濃いんですよ。とてもじゃないですけど、飲める濃さではありませんね。味見されますか?」
マルセル王の質問に亮二が壷に棒を突っ込んで原液を付けて2人に差し出した。マルセル王が亮二から棒を受け取るよりも早く、棒を奪い取ったヘルマンが嬉しそうに口に入れた瞬間に「うげぇ、まずい!」と吐き出してしまった。その様子を見た亮二はマルセル王に視線を向けると「と、このような味です。色々と試してみた結果、100倍に薄めるのが一番良かったのですよ」と告げるのだった。
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「ちなみに、ドリュグルで人気なのは蜂蜜味とオレンジ味ですね」
「王都での販売の予定は無いのかの?」
「ポーションとしては有りませんが、お年寄りや乳幼児向け錠剤とお父さん向けとして細長くされた状態の丸薬は王都で販売予定です。どうですか?マルセル王。この丸薬は酒のお供に向いて……痛ぃ! なにすんだよ! マルコ!」
「メルタから緊急事態だと言われたから剣を片手に駆けつけたら、なにやってんだよ! 王様を直接相手に商売してんじゃねえ! そこのヘルマン様が指を喰わえながら、物欲しそうな顔しているから高値で吹っ掛けて売りつければいいだろ!」
「やはりマルコのツッコミはキレが違うの! その手に持っているのはなんじゃ?」
「あぁ、それは我が故郷にある伝説の武器を再現したハリセンでございます。ツッコミ職の前衛には必須の武器で……痛ぃ!」
「だから、俺はツッコミじゃねぇって言ってるだろ! 大体なんだよ! ツッコミ職の前衛って!」
「マルコがツッコミを否定するのは無理だって! マルセル王公認なんだから。ねぇ、王様」
「もちろんじゃ! 伝説の武器を持ったマルコにならツッコミ伯爵の称号を……痛ぃ!」
「なんだよツッコミ伯爵ってのは! 王でも関係ねぇ! そのひん曲がった考えを治してやる!」
「「さすが! マルコ! そのツッコミは天下無双だね(じゃな)!」」
ヘルマン様から錠剤の大量注文を頂きました! マルコはマルセル王からツッコミ職の前衛を命じられるようです。




