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160話 詠唱短縮授業 -講師を務めますね-

特に変わらない日常を過ごしています。

 号外が発表された後も、亮二達の生活は大きく変わることなく学生生活を満喫していた。日々の授業をいつものように受けていたある日の事、シャルロッタから放課後に職員室に来るように言われるのだった。


「失礼します。リョージです。シャルロッタ先生、呼ばれましたが何か問題を起こしたでしょうか?」


「大丈夫ですよ。リョージ君は先生の自慢の生徒ですから。問題を起こす事はないと思っていますし、何か有っても学院にとっていい影響を与える事が多いので嬉しい限りですね」


 職員室に入った亮二は、シャルロッタの席まで来ると何か問題を起こしたのかと質問したが、シャルロッタからは「問題無いですよ」と笑顔で返事が返ってくるのだった。


「では、用事と言うのは何でしょうか?」


「“初級探索者ダンジョン”に潜った初日に、最優秀生徒にロサさんが選ばれましたよね?その理由として詠唱短縮があるのですが、リョージ君からやり方を教わったとの事ですので、他の生徒達にも教えて欲しいんですけど頼めるかな?と思いまして」


「いいですよ。ただ、やり方を教えたからと言って、誰でも詠唱短縮が出来る保証は有りませんよ?」


 亮二の言葉にシャルロッタは「もちろん!じゃあ、お願いしますね」と嬉しそうにするのだった。


 ◇□◇□◇□


 詠唱短縮の講座を依頼された亮二が教壇に立つと、一斉に視線が集中した。亮二が行う詠唱短縮の授業は特別クラスの生徒だけでなく、宮廷魔術師のヘルマンや部下の魔術師が5名に、授業を持っていない学院所属の非常勤講師や教授が10名、マルコの紹介でBランク冒険者の魔術師が3名の総勢30名弱が講義を受けに来ていた。


「それにしても、すごい人数だな」


 教壇に立った亮二の呟きにヘルマンが苦笑しながら「当然でしょう」と話し掛けてきた。


「詠唱短縮なんて、今まで誰も挑戦したことがなかったんですよ。経験豊富な冒険者とはいえ、学院に入学したての生徒が突然出来るようになった。それを教えた人物はマルセル王のお気に入りの“ドリュグルの英雄”だと言う。そして、その“ドリュグルの英雄”が詠唱短縮についての講座を行うと連絡があった。リョージさんはご存じないかもしれませんが、学院長宛に講座に参加したいと大量の問い合わせが有ったんですよ。その数の多さに学院側では大講堂を使っての講座をしようと話があったくらいです」


「えっ!大講堂って入学式の時に生徒が集まっていた場所?やだよ!あんな広い場所で講座をするなんて。もう、講座じゃなくて講演会じゃん!」


「ちなみに、講座については王家が介入することになりまして、今回については厳選したメンバーのみ受けれることになりました。外されたメンバーからは『第2回は必ず呼ぶように』との言葉を貰っています。ちなみに外れたメンバーはラルフ枢機卿や貴族派の方々ですね」


 自分の知らない所で講演会が行われる予定だった事に心底嫌そうな顔をした亮二に対して、ヘルマンは同情したような顔を一瞬だけしたが「そろそろ講義をお願いします」と伝えるのだった。


 ◇□◇□◇□


「じゃあ、早速始めるね。これは俺が個人的にしている授業でも言ってるんだけど、魔法を使う時に属性を持っているのに何で詠唱が必要だと思う?」


「神から与えられた祝福だからですわ!【属性】は神からの力であり、詠唱は神への祈りですわ!詠唱を唱える事で神の力を実現できる。そんな事もご存じないのですか?」


 亮二の問い掛けにエリーザベトが張り切って答えると、講義を聞いていた他の者たちも同じように頷いた。亮二は嬉しそうに頷くと、以前ライナルトに対して説明した詠唱についての持論を話し始めるのだった。


「つまり、リョージ殿は詠唱については、魔力を【属性】に変換するのを容易にする為の補助的な言葉であって、想像力さえ有れば詠唱無しでも魔法を撃つ事が出来ると仰るのですな?」


「その通り!だからこういう事が出来るんだよ。“ウォーターボール”」


 ヘルマンと一緒に講義に参加しいていた部下の魔術師からの質問に亮二は頷くと“ウォーターボール”の詠唱をほとんど短縮して固定した状態で発現させた。一同が驚愕とともに見入っていたので亮二は「こういった事も出来るよ。“ウォーターボール”」と唱えると、先ほどの“ウォーターボール”の横にもう1個の水球が出来上がった。


「ね?これで、詠唱が必要なくても出来るって分かった?」


「で、ですが、それはリョージさんが神に祝福されているから出来るのではないのですか?」


 亮二の言葉にエリーザベトが引きつった顔で反論して来たので、亮二は聴講していたロサを教壇に呼ぶと詠唱するように伝えるのだった。


「でも私威力調整がまだ出来ないよ。え?【水】属性魔法?あれは水が出るくらいなんだけど、見せるくらいだったら丁度いいのか」


「頼むよ。容器は俺が作ったこれに出してくれる?」


 亮二が【土】属性魔法を使って大皿を作ったのをみて、一同は驚愕した顔をしたが亮二は気付くこと無くロサに「さあ、やってみて」と告げるのだった。


 ◇□◇□◇□


「ちなみに、何でラルフ枢機卿は外されたの?」


「それは、『リョージ殿は“ミスリルの腕輪”を使っての講座だよな!』って言葉で落選が決まりました」


「ブレないね。ラルフ枢機卿って」

ラルフ枢機卿にミスリル装備を送ったら引きこもるのかな?

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