表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
164/435

158話 ライナルト主任教授室での一コマ -面接を行いますね-

早速、ロサをライナルトの所に連れて来ました。

「そう言う事で、後は若い者同士で話してもらって、年寄りは失礼しますね」


「いやいやいや!軍曹!何言ってるんですか?突然、意味の分からない事を言って帰ろうとしないでくださいよ!それに、この中では軍曹が最年少ですからね!」


「リョージ君!流石に紹介もされずに放置されるのは、私もちょっときつい!」


 亮二がお見合いのノリで「後は若い人に任せて」と言い放って部屋を出ようとしたが、2人から当然のごとく引き止められた。亮二は「ノリが悪いな」と呟きながら扉を閉めると、ソファーに座って立っている2人にも座るように伝えるのだった。


「ライナルト。いつもの準備は?」


「大丈夫ですよ。盗聴の魔道具は停止させてます」


「えぇ!盗聴の魔道具?そんな物がこの部屋に有るの?」


 亮二とライナルトにとってはいつもの会話だがロサからすると、盗聴なんてされるのは何か怪しい事をしている以外何物でもなかった。ロサの引きつった顔を見て、亮二は盗聴器を見せながら事情を説明するのだった。


 ◇□◇□◇□


「学院長がライナルト主任教授の情報を仕入れる為に盗聴してるなんてね。かなり幻滅なんだけど。まあ、冒険者時代からいい噂は聞かなかったけどね」


「それについては、幻滅してくれて本当に良かったよ。これから、ライナルトの助手をするなら学院長とも対立する可能性があるからね」


 亮二から事情を説明されたロサはため息をつきながら納得していたが、ライナルトはロサの事を見もせずに亮二に対して質問を始めた。


「ところで、今日は何の用事なんですか?この女性は特別クラスで軍曹の学友ですよね?先ほど、助手との単語が出ていましたが?」


「ああ、そうだよ。彼女の名前はロサって言うんだよ。ライナルトに助手を紹介しようと思ってね。どう?かなりの逸材だよ」


 亮二の答えにライナルトは苦笑すると、ロサに向かって話しかけた。


「さっき、軍曹からかなりの逸材と言われたけど、君は何ができるの?これから僕はかなり革新的な研究をするのだけど、何を手伝ってもらえるのかな?」


「今日、“初級探索者ダンジョン”に潜って最優秀生徒として評価されました」


「あっ!ライナルト!『それだけですか?』って言おうとしただろ!ちなみに無詠唱の研究はどこまで進んでる?」


 急に違う話題を振られたライナルトは首を傾げながら「まだ、イメージがつかめなくて」と答えた。それを聞いた亮二は嬉しそうに笑うと、ライナルトに向かってロサの背中を押しながら熱弁を振るった。


「そんな貴方に朗報です!ここにいる彼女は詠唱短縮に魔法を2連で撃つ事が出来ます!さらに冒険者としても活動していたので徹夜も大丈夫!そして!俺が個人的にやっている授業でも理解が一番早くて助手のような立場で頑張ってくれている!そしてさらに!彼女を雇った人には更に特典が!なんと俺から無詠唱以外の研究題材をプレゼント!先着1名様だけの特典だよ!さあ!どうする!」


「雇います!ぜひ研究所に来てもらって下さい!いや、お願いですから来てください!給料はどうさせてもらいましょうか?あまりお渡しする事は出来ませんが、1ヶ月金貨2枚くらいでいいですかね?足ります?」


「ちょ、ちょっと待って下さい!急に態度が変わって付いていけない!ライナルト主任教授は私の事を雇って下さるんですよね?」


 亮二の怒涛のメリット説明にライナルトが異常なほど喰い付いて、その様子を見たロサは引きつった顔で半歩ほど下がりながらも「雇って下さるんですよね?」と問い掛けると、ライナルトは嬉しそうに頷いて手を差し伸べてくるのだった。


 ◇□◇□◇□


「よし!じゃあ、これでロサはライナルトの助手って事でいいよね?」


「もちろんです。ロサさんよろしくお願いします。ところで詠唱短縮が出来るとの事ですが、早速見せてもらっていいですかね?取り敢えず修練場に行きましょう。軍曹も来られますか?」


 ロサから再度確認されたライナルトは満面の笑顔で答えると、ロサに詠唱短縮を見せて欲しいと頼み込んで修練場に亮二と3人で向かった。


「じゃあ、早速、普通の撃ち方と、短縮での撃ち方をお願いします!」


『我、ここに熱き流れを呼び出し、敵を撃たん!”ファイアアロー”』


 ロサの魔法をペンを持ちながら眺めていたライナルトは「次は短縮」と短く指示を出した。


「は、はい!『我、敵を撃たん!”ファイアアロー”』」


「おぉ!本当に短縮された!ロサさん!どうやって短縮が可能になったんですか?なぜ『ここに熱き流れを呼び出し』の部分を省略しようと思われたんですか?魔力の流れは変わらないのですか?魔力の消費量は?【火】属性のファイアアロー以外にも出来ますか?それと…痛ぃぃ!何するんですか!軍曹!何ですか?その不思議な棒のような紙のような蛇腹のような武器?ですか?物凄くいい音がしましたけど?」


「ロサが固まってるだろ!そんなに一気に聞いたら答える暇もないじゃないか!ちょっとはユックリと質問しろよ。手に持ってる紙は何だよ。聞いた事を書くためだろ?で、ライナルトを叩いたのは俺の国で伝説の武器と呼ばれている“ハリセン”だ。通常は紙で作るんだが、蛇腹の部分はミスリルで、持ち手の部分は銀で作ってみた!ちなみに攻撃力は無い!大きな音が鳴るのと、びっくりして、思わず「痛ぃ!」と言ってしまう効果が有るだけだ!魔力も込めて作ってあるから破れずに永久に使えるぞ!」


 2人のやり取りを聞きながら「ミスリルの無駄遣いじゃない?」と呟くロサだった。

ハリセンは後でマルコに進呈しよう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ