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157話 帰還パーティー -楽しいですね-

マルコのお陰で奢る事になりました。

「初めてのダンジョンアタックが問題なく終わって、全員が無事に帰って来た事と、次のアタックも上手くいく事を願って!乾杯!」


 亮二の乾杯の音頭に一同から「「「リョージ君の気前の良さに乾杯!」」」との返事が返ってきた。マルコがダンジョンのアタックが終わったら奢るとの約束をしたため、亮二は自宅を開放して前回と同じように屋台街の店主達に声を掛けて急きょ料理の準備をしてもらっていた。


「助かったよ。いつも無理言ってごめんね」


「何を水臭い!リョージさんのお蔭で王都でも名の売れた屋台となって、店も持てるようになりそうなんですよ!リョージさんの為だったら無理くらいしますって!」


 亮二に話しかけられた屋台の店主は、嬉しそうに今後の展望についても話しながら料理の追加を作り始めた。今回のパーティーは飲み物についてはマルコが、知り合いの酒場から調達しており、食べ物については亮二が屋台街に出向いて、屋台ごと屋敷に持って来てもらっていた。亮二達が行った初日の生還パーティーは生徒達やシャルロッタから絶賛され、次年度以降は学院が主体になって執り行われる事となるのだった。


 □◇□◇□◇


「有難う、リョージ君。君のお陰で最優秀生徒になる事が出来たよ。しかもリョージ君への“お願い”も出来るなんてね」


「手加減してよね。出来る範囲なら聞くけど、内容によってはカレナリエンとメルタの許可がいるから」


 ロサからの感謝の言葉とお願い事について話しかけられた亮二は苦笑しながら答えていた。それを横で聞いていたマルコが日頃の分をまとめて返すかの勢いで話しかけてきた。


「女性に言い寄られる男はツライな!これからも女性から狙われないように気をつけろよ!」


「なに言ってるんだよ、マルコ?俺がカレナリエンとメルタの許可がいるって言ったのは金の話だぞ?大人なマルコさんに質問です!それ以外で許可が必要な事って何ですか?11才の僕にも分かるように教えて下さい!」


 マルコからニヤニヤ笑いながら話しかけられた亮二はキョトンとした顔をして、何を言っているのか分からないと返すと、最後にマルコにだけ見えるようにニヤリと笑った。


「てめぇ!はめやがったな!ふざけんなよ!」


「なんの事?大きな声では言えない事なの?奥さんに連絡する?」


「それだけは勘弁して下さい。出来る事は何でもしますので」


 怒り顔で食って掛かってきたマルコに伝家の宝刀である『奥さんに話すよ』を発動させると、一瞬で土下座をする勢いで謝罪するマルコだった。


 □◇□◇□◇


「よし、マルコへの仕返しはこれくらいにして、みんな楽しんでる?」


「もちろんだよ!これを楽しまない人なんて居ると思う?」


 亮二の語りかけにルシアが嬉しそうに話しかけた。マイシカも食事を楽しんでおりロサもシャルロッタと楽しそうに話し合っていた。そんな中でマテオが亮二の方を向いて一箇所を指差した。マテオが指した先にはエリーザベトが赤い目をしたまま「誰も話しかけないでください」と、オーラ全開で食事をしていた。


「えっと、なんでエリーザベトさんは今日の集まりに来たんだろう?」


「あぁ、それは父親のハーロルト公爵から『リョージから誘われたパーティーは断るな』って言われているかららしいよ」


 亮二が首を傾げながら呟くと、後ろから楽しそうな顔のオルランドがやって来て説明を行った。亮二は何故エリーザベトの事情を知っているのかとオルランドに聞くと「本人に聞いた」との返事が返ってきた。


「オルランドとエリーザベトさんって仲がいいね」


「そりゃあ、同じパーティーだしね。それに彼女と話していると楽しいんだよ。向こう見ずだけど一生懸命なのは伝わってくるからさ。殆どが空回りしているのが玉にキズだけどね」


「それって、ほぼ駄目ってことじゃない?」


 マイシカがオルランドに「エリーザベトさんと仲がいいね」と話しかけると、オルランドは嬉しそうに話し始めた。その様子を眺めていた亮二は「オルランドは特殊だね」と呟くのだった。


 ◇□◇□◇□


「よし!ロサ!じゃあ、そろそろリョージに“お願い”をしようか!」


「分かりました。リョージ君にお願いしたい事はライナルト主任教授の助手になりたいから、口添えしてくれないかな?」


「ん?そんな事でいいの?だったら明日にでも、ライナルト主任教授と会う予定があるから紹介してあげるよ」


 ロサからの“お願い”に一同から「おぉ!」との声が上がり、亮二が軽く了承した事に「えぇ!」「嘘でしょ!」「それだったら私も一緒に紹介して!」などと、周りから悲鳴が混じった声が聞こえてくるのだった。


「え?え?なんで、こんな大騒動になってるの?ライナルトに紹介するだけだよな?」


 周りのパニック状態に亮二が挙動不信になっていると、カレナリエンが溜息を吐きながら話し掛けてきた。


「当たり前じゃないですか。ライナルト人気は王都では有名ですよ。王立魔術学院の主任教授で地位も有れば給与も高い、性格は分からないですけど顔も悪くは無いですからね」


「なるほどね。そう言えばルシアが『優良物件』って最初にライナルトに会った時に言ってたな」


 亮二は納得しながら周りの騒動を眺めるのだった。

相変わらずライナルトはモテますね。

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