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154話 ダンジョンでの初戦闘 -最初はお手本を見せますね-

ダンジョンが思っていたよりも広くてビックリです。

 亮二達が左側の扉を開けると前方に通路が伸びていた。ダンジョンの横幅は5m程で高さは3m弱程であり、すべてが石で作られ、亮二達が歩く音以外は静寂に包まれていた。


「やっぱり、ここのダンジョンって綺麗だよね」


「リョージ様。綺麗なんて、そんな事をこんな場所で言われると恥ずかしいです」


「いやいや、カレナリエンに言ったわけじゃないよ。しっかりとダンジョンって言ったよね?カレナリエンが綺麗なのは言わなくてもわかるじゃ…痛っ!」


「よし!そこまで!2人ともダンジョンのアタックが終わったら説教だからね!」


 亮二が呟いたダンジョンの感想にカレナリエンが誤解して、もじもじするのを見た亮二は否定しながらもカレナリエンを褒めて手を握って2人の世界に入ろうとしたのをルシアが怒りと共に“棒”で亮二を突いて遮った。


「なに?その“棒”ってひょっとして?」


「そうよ!マルコさんから預かったマルセル王から授かった由緒ある“棒”よ!マルコさんから『リョージが暴走したらこの“棒”で止めてくれ!』って言われているのよ!」


「何してんだよ!マルコ!お前が“棒”を持たないと意味が無いだろ!それにルシアは“棒”で人を突く時は手加減を忘れないように。地味に痛いからね」


 全力で“棒”で突いてきたルシアに亮二は眉を寄せながら注意すると「ダンジョンでいちゃつくリョージ君が悪いんでしょ!」と舌を出すのだった。


 ◇□◇□◇□


 亮二達が通路を進んでいると扉がある場所に到着した。シャルロッタから「扉を開けると魔物が出ると思って下さい」と言われていたので、亮二達は扉の前で相談を始めた。


「さぁ、この扉を開けたら初めての戦闘になるけど皆は気持ち的に大丈夫?」


「だ、大丈夫だよ。魔物と戦うのは初めてだけど、リョージくんもカレナリエンさんも居るからね。それに冒険者をしていたロサもいるんだから!」


「あっ、私は皆が危険な状態にならないと助けに入らないよ?それを忘れないようにして作戦を考えてね」


 亮二の言葉にマイシカが緊張気味に返事を返したが、カレナリエンからは攻撃に参加しないと宣言されて不安な顔になったマイシカを見た亮二がロサを見ると、ロサも亮二を見ており2人で小さく頷くと一同に向かって話しかけた。


「じゃあ、まずは最初だから俺とロサで戦闘をするからどんな感じか見てみてよ。いいよね?ロサ?」


「ええ、良いわよ。どうするの?」


 亮二からの提案に一同は頷いて了承するのを見てインタフェースを起動して索敵すると、部屋には魔物が5体居ることが分かった。


「この部屋には魔物が5体居る。俺が扉を開けて突っ込むから、2体同時に襲いかかってきそうだったら1体の牽制を頼むよ。それ以外は臨機応変で頼む。皆は戦闘の様子を見といて。終わった後で解説をするから」


 亮二はそう告げると扉を開けて勢い良く部屋に突入するのだった。


 ◇□◇□◇□


 部屋に突入した亮二達を待ち受けていたのは緑狼2匹と犬人3体であった。扉を開けて突入してきた亮二とロサを見ると、犬人達は緑狼に対して攻撃するように指示を出すと、自分たちも錆びた剣を抜剣しながら奇声を上げて襲いかかってきた。


 亮二は向かってきた緑狼の一体をギリギリまで引きつけて“コージモの剣”に【雷】属性魔法を纏わせ緑狼の首を落とすと、飛びかかってきたもう1匹の緑狼の前足を切り落とした。痛みにのたうち回っている緑狼には目もくれずに犬人との距離を詰めようとすると、背後から「我、敵を撃たん!”ファイアアロー”」と詠唱が聞こえ、亮二を追い越すように“ファイアアロー”が犬人の1匹に命中した。


「おぉ!やるじゃん!詠唱短縮じゃん!」


 亮二はロサに向かって叫びながら“ファイアアロー”が肩に命中して身体にまとわりついている炎に意識が集中している犬人を袈裟斬りに切り捨てると“不可視の盾型ガントレット”で左側から襲いかかってきた犬人の横薙ぎの一撃を防いだ。


 必殺の一撃を“不可視の盾型ガントレット”で防がれた犬人は、やっと亮二の実力が尋常では無い事に気付いてもう1匹と連携しようと横を見たが、ロサからの“ファイアアロー”2連を受けてすでに絶命していた。残りが自分1匹なのを愕然とした思いで把握した犬人は「逃げよう」と意識を働かせたのが人生最後の思考となった。


「ふう、それにしてもロサはいつの間に詠唱短縮と2連を自分の物にしたの?」


 亮二が最後の犬人を倒した後に死体となった5体をストレージに収納してから、一同の方に振り向くと唖然とした4名と達観した表情のカレナリエンの視線が亮二に集中していた。


「え?どうしたの?何で俺に視線が集中してるの?」


「いやいや、そりゃ集中するでしょ!倒した魔物はどこにやったの?それも魔法なの?」


「魔物をまるごとアイテムボックスに収納なんてリョージ様だから出来るんですよ。みなさん、リョージ様はイオルス神が作ったと言われるアイテムボックスを持ってるんですよ」


 キョトンとした亮二にルシアがツッコミを入れた事に対して、亮二の代わりにカレナリエンが答えた。イオルス神が作ったアイテムボックスを持っていると聞かされた一同は、呆然としながら亮二の腰に付いている皮袋に視線を集めるのだった。

ストレージの性能の異常さをすぐに忘れてしまいます。

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