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151話 転移魔法陣の今後について2 -色々と決まりました-

王との謁見する事になりました。

 ユーハンとマルコとの会談が終わって3日が経っていた。亮二とライナルトは転移魔法陣に付いてはマルセル王に報告するまでは誰にも話さない事としていた為、この3日間は普段と同じように生活をしていた。


「ところで軍曹、以前お話ししていた無詠唱の件ですが」


「あぁ、転移魔法陣が終わったら研究を開始するって言ってたよな」


「そうなんですよ。まずはイメージが大事との事でしたので、まずは試してみようと思ったんですが、軍曹の話を聞いていても“神からの祝福”と聞いて育ったのでイメージが上手く出来なくて」


 王城に向かう馬車の”拡張の部屋” で亮二とライナルトは無詠唱について話し合っていた。ライナルトからイメージが出来ないと聞いた亮二は首を傾げながらイメージの内容を確認した。


「どうやってイメージしてる?」


「え?そうですね。【火】属性魔法ならファイアアローをイメージしてますよ」


「どんな感じで?」


「どんな感じですか?こう、炎の矢のような」


「まんまじゃん!全くイメージ出来てないじゃん!いいか、【火】属性魔法なら熱いとか暖炉の火とかをイメージするんだよ。ひょっとしてライナルトはファイアアローの威力調整出来ないのか?“試練の洞窟”の調査の時に【水】属性魔法で教えたじゃん!」


「え?威力調整?軍曹がされていた【水】属性魔法を使った応急手当ですよね。あぁ、そうか。そのイメージでいいんですよね。変に考えすぎていましたよ」


 ライナルトから身振り手振りで【火】属性魔法のイメージの仕方を聞いたが、全くイメージの欠片もない状態に亮二は呆れながら、実演を交えてライナルトにイメージの基本を教えていくのだった。


 ◇□◇□◇□


「そろそろ到着するぞ。準備は大丈夫か?」


「もちろん、ところでマルコさんよ。なんで俺はミスリル装備で謁見しないといけないんだ?“ミスリルの剣”なんて装備して王の前に行ってもいいのか?それにユーハン伯はどこに行ったんだよ」


 馬車を降りる時に亮二はマルコに愚痴を言っていた。亮二の服装は冒険に出ている装備であり“ミスリルの剣”“ミスリルの服”“ミスリルの腕輪”“不可視の盾型ガントレット”と最初にイオルスにもらった装備を身に着けていた。


「仕方ないだろ。王直々の命令なんだから。それにユーハンは先に行ってるぞ」


「何でわざわざ。だったらマルコにこれ貸してやるから着ろよ」


「俺が着ても仕方ないだろ。それにサイズが合わねえよ」


 マルコからは王命だから諦めろとしか言われておらず、亮二は首を傾げながらも王の待つ部屋に案内されるのだった。


 ◇□◇□◇□


「リョージ子爵が到着されました」


 亮二達が到着したのは謁見の間であり、亮二とライナルトが戸惑っていると扉が開いて中に入るように促された。2人が謁見の間に足を踏み入れると伯爵以上の主だった貴族が集まっており、亮二とライナルトに対して様々な視線が集中した。貴族派からは妬みの視線が、教皇派からは誇らしげな視線が送られてきた。


「よくぞ参った。リョージ子爵。ライナルト主任教授。その方らが共同で開発した転移魔法陣について聞きたいことがある。王の御前に来るように」


 王の横に立っていたハーロルトからマルセル王の近くに来るように伝えられた亮二とライナルトは玉座に近付くと跪いた。亮二は“礼節 7”があるので自然な動作で対応が出来ているが、慣れないライナルトは亮二の動作を見ながら四苦八苦な対応になっていた。そんな様子を楽しげに眺めていたマルセル王から2人に対して声が掛かった。


「時に、リョージよ。転移魔法陣をライナルトと共同開発をしたと報告が有ったが真か?」


「はい、ですが1点だけ修正が。ライナルト主任教授が魔法陣を完成させました。私はそのお手伝いをしただけです」


「ほう、そうなのか?ライナルトよ」


「は、はい。魔法陣は私が完成させましたが、転移魔法陣を起動させるための属性付与については、ぐん…リョージ子爵にしてもらっております。ですので、リョージ子爵のお力がなければ、この転移魔法陣は完成しておりません」


「なるほどな。2人の力が無ければ完成しなかった訳だな。それと作成には半年かかると聞いておるが真か?」


「いえ、それほ…痛い!」


 マルセル王の問い掛けにライナルトが答えようとした瞬間に亮二から鞘に収められた“ミスリルの剣”でライナルトの脛を思いっきり打ち付けた。王の前なので転がり回る訳にもいかないライナルトは涙目になりながら静かに悶絶していた。そんな様子を気にする事なく亮二はマルセル王に話し始めた。


「御意。その通りで御座います」


「なるほど、では完成は半年後か。距離はどのくらいまでなら行けるのだ?」


「それは、これからの検証となりますので報告は後日で宜しいでしょうか?」


「構わぬ。では、転移魔法陣の距離や人数、安全性について完成したら報告書を持って参れ。転移魔法陣については王家が管理する事とする。そしてリョージを名誉子爵から名誉伯爵に。ライナルトを名誉男爵に命ずる。そしてライナルトは王立魔術学院主任教授と兼任で技術大臣就任を命じる。この命は転移魔法陣を完成させた後に問題なく稼働し、運用に耐えられた場合に実行されると心得よ」


「御意」


 事前に通知されていたが、参列者からは大きなどよめきが起こった。亮二とライナルトは軽く混乱しながらも「謹んでお受けします」と応えるのだった。

まだ、異世界に来てから1年も経ってないのに伯爵になりました。まだ、予定ですが。

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