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150話 転移魔法陣の今後について -使い道について話し合いますね-

取り敢えずはマルコとユーハン伯を呼び出しました。

「で、緊急謁見の申請をして欲しいとの事だが、隣国が攻めてくる情報でもあったのか?それとも学院の”初級探索者ダンジョン”がスタンピードでも起こしたのか?」


「ある意味、同じレベルだと思う。リョージ様とライナルトが転移魔法陣を完成させたんだって」


 ユーハンからの問いかけに応えたカレナリエンの言葉は、馬車に乗った2人にとって驚愕的な内容だった。口をパクパクと動かしながら視線を彷徨わせると、「凄いだろう!」と大きく胸を張っている亮二と視線が合った。


「リョージ。取り敢えず、嘘じゃないんだよな?」


「嘘じゃないよ!じゃあ、試してみる?」


 亮二はマルコに向かって語りかけながら”拡張の部屋”の扉を開くと2人を中に招き入れた。"拡張の部屋"については王都に付いた時点で亮二から説明を受けており、部屋に入るのは2回目だったが、前回とは違って中央に魔法陣が描かれた円形の台座が鎮座していた。


「ん?リョージはどこに行った?」


「先に屋敷に戻られましたよ。その魔法陣に乗って頂けますか?2人同時は出来ませんので、お一人ずつでお願いします」


 マルコとユーハンが部屋に入ると中央にある魔法陣の他はメルタしかおらず、不思議に思ったマルコが中にいたメルタに聞くと「先に屋敷に戻られました」との返事が返って来るのだった。


 ◇□◇□◇□


 メルタから魔法陣に乗れば亮二の屋敷に転移すると聞いたマルコとユーハンは相談を始めた。いくら亮二が問題ないと明言したとしても、「はいそうですね」と飛び込めるほどユーハンの立場は軽くなかった。マルコはそんなユーハンの様子を眺めていたが、小さく笑うと軽い調子でユーハンに話しかけた。


「じゃあ、俺が先に行く。3分経っても帰って来なかったら失敗だと思って、絶対に魔法陣には乗らないでくれよ」


「分かった。すまないな、貧乏くじを引かせてしまって」


「当たり前だろ。一介の門番と違ってお前は辺境伯なんだぞ。お前に何かあったら俺が辺境領を見ないといけなくなるじゃないか」


「そっちが本音かよ!さっさと行け!くそ兄貴!」


「はっはっは。じゃあな、問題無かったら1回戻って来るから安心しろ」


 マルコはユーハンに向かって笑いながら語りかけると、笑顔のまま魔法陣に飛び乗った。マルコが飛び乗った瞬間にマルコの姿は消え、後には静寂だけが残った。ユーハンはマルコの消えた魔法陣を眺めていたが、30秒もしない内にマルコが興奮した様子で帰ってきた。


「確かに転移魔法陣のようだぞ。行った先にリョージが待っている。不安なら俺がもう一往復するぞ?」


「大丈夫だ。その様子だと、全く問題ないようだしな」


 興奮気味のマルコを見て、問題ないと判断したユーハンは勢い良く魔法陣に飛び乗るのだった。


 ◇□◇□◇□


「いらっしゃい。ユーハン伯は何を飲みます?エール?ぶどう酒?それとも紅茶?」


「あ?えっ?う、うむ。ぶどう酒で頼む。違う!そうじゃない!俺は本当に転移したのか?」


「間違いなく転移してますよ。なんなら、窓から外を見てみたらどうですか?」


 ユーハンが転移魔法陣から降りると同時に亮二から飲み物のリクエストがあり、混乱したままのユーハンは思わず答えてしまった。転移先は亮二の屋敷にあるダイニングだったようで、様々な種類の飲み物や食べ物がテーブルの上に置かれていた。ユーハンはしばらく呆然とテーブルの上にある料理を眺めていたが、首を振って現実に戻ると現状確認をする為に窓を開けて外を見ると、宿舎ではなく閑静な住宅街で転移していることを改めて理解すると亮二に対して質問を行った。


「確かに、宿舎じゃないな。本物の転移魔法陣か。ところでライナルトは来てるのか?」


「呼んでますから、もうすぐ来ると思いますよ。はい、ぶどう酒をどうぞ」


 亮二からぶどう酒を渡されたユーハンがソファに座って味わっていると、マルコたちも転移してきた。しばらくは亮二から転移魔法陣が出来上がるまでの経緯を聞きながら、用意されていた軽食を食べていたが、ライナルトが到着すると今後の運用についての話し合いが始まった。


「取り敢えずは3日後に通常謁見申請を出そう。そうだな、自領に戻る為の挨拶にしておこうか」


「なんで3日後なの?」


 「3日後に」と言ったユーハンに亮二が首を傾げながら質問すると、ユーハンは苦笑を浮かべながら答えた。


「当たり前だろう。ただでさえ、リョージはマルセル王に気に入られていると噂になってるんだ。そんな中で緊急謁見申請を出してみろ『私たちは物凄い何かを報告します』と公表していると同じだ。取り敢えず、リョージとライナルトは謁見するまではこの件については誰にも喋るなよ」


「分かりました。で、この1号機はどうしたらいいんですか?」


「リョージが保管してくれ。マルセル王の判断によるが、問題ないようだったら駐屯地じゃなくてドリュグルの街にあるリョージの屋敷に置いてくれないか?緊急時は俺達も使えるようにしときたいからな」


 亮二がユーハンにした質問にマルコが横から入って転移魔法陣の今後の使い道を提案すると「使用料はきっちりとるからな!」とにやりと笑って応える亮二だった。

次は王様との謁見ですね。

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