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149話 転移魔法陣狂騒曲 -思ったより大事みたいですね-

2人の顔が面白いように固まってるね。

「「リョージ様!正座!」」


「え?何でハモって?え?え?正座?なんで?」


「「いいから正座!」」


 亮二が首を傾げながら正座をしたのを確認して、カレナリエンとメルタは顔を突き合わせて相談を始めた。


「取り敢えず、リョージ様を正座させたのは良いんだけど、この後どうする?」


「私も一緒に言ったけど、どうしたらいいんだろう?」


「ねえ、俺なんで正座させられてるの?」


「転移魔法陣って、そんな簡単に作れるものだったっけ?」


「少なくとも遺失技術で、現存するのは固定で設置されているダンジョンと、王城にあるって噂を聞いたことがあるくらいよ」


「そうだよね。私も移動式の転移魔法陣なんて見た事も聞いた事もないわよ」


「ねぇ!ちょっと!俺の話を聞いて!」


「ここに有るのは完成品って事だけど、ライナルトは研究結果として発表するのかな?先にマルセル王に相談した方が良いんじゃない?」


「だよね。でも、これはどうするの?すでに完成してるし、リョージ様のあの雰囲気だったら、ライナルトさんから貰ってるよね?」


「ねぇ、正座の状態で無視されると精神がゴリゴリと削られるんだけど!」


「ちょっと、その辺の情報も集めとこうか?」


 カレナリエンとメルタは正座をさせた亮二から少し離れた場所で相談をしており、亮二から声が掛かっても気付かないまま相談を続けていた。カレナリエンとメルタの中でやっと結論が出たので、改めて亮二の方に視線を向けると「やっと、こっちを見てくれた」と溜息を吐きながら2人に対して正座を命じた理由の説明を求めるのだった。


 ◇□◇□◇□


「やっと、こっち見てくれた。ずっと、放置されていたからどうしようかと思ったよ。で、そろそろ正座をさせられている理由を教えてもらっていい?」


「取り敢えず、リョージ様が移転魔法陣を突然出されて使われたのでパニックになって、落ち着く為に正座をしてもらいました」


「えっ?カレナリエンとメルタが落ち着くために俺が正座?何で?普通は逆じゃない?俺の国では自ら落ち着くために正座をするんだけど?」


「私達の国でもそうですよ。瞑想する時は正座か胡座ですよね」


「うぉい!だったら、俺が正座しなくてもいいじゃん!次からちゃんと理由を説明してから正座って言ってよね。あぁ、足が痺れたよ」


 亮二が痺れた足を擦りながらソファに座るとカレナリエンとメルタにお茶を持ってくるように伝えて、一旦は転移魔法陣をストレージにしまうのだった。


 ◇□◇□◇□


「結局、リョージ様が作った転移魔法陣はそれだけなんですか?」


「そうだよ。今のところはこれ1セットだけ。ライナルトにお願いしたら1ヶ月位で作ってくれると思うよ。今回の1号機…取り敢えず1号機って言うけど、ライナルトが検証したくてほとんど徹夜で作っても1週間は掛かってるからね。もちろん材料費か必要な材料をライナルトに渡す必要は有るし、【時空】属性魔法を俺が注ぐ必要が有るけどね」


「それって、リョージ様とライナルト以外に誰が知ってます?」


 亮二から思っていた以上に短期で完成する事を聞かされたカレナリエンは、転移魔法陣が完成している事を知っているのが亮二とライナルトだけだと聞いて、緊急謁見の申請をするようにユーハンにお願いをするために亮二とメルタを連れて宿舎に向かった。ユーハンとマルコが滞在している宿舎に向かう馬車の中で転移魔法陣についての情報を集める為に亮二に引き続き質問を行っていた。


「それで、リョージ様。転移魔法陣を起動するのに、どのくらいの魔力が必要なんですか?」


「起動するためには俺の【時空】属性魔法が必要で、大きさによって注ぐ魔力量は変わってくるね。ちなみに、1号機の台座に注ぐのだったら俺の魔力がほとんど必要だったね」


 カレナリエンから転移回数や距離、危険性について質問があったので亮二は転移回数の制限の確認は100回までしか出来ていない事と、距離についてはこれから検証予定で、マルコが帰る時に片方を馬車に積んで時間を決めて行き来が出来るか確認し、最終的には駐屯地の屋敷に設置予定である事を伝えた。


「駐屯地の屋敷に設置するんですか?確かに便利ですよね。ちゃんと起動するならシーヴも王都に呼びやすくなりますしね」


「そうだね。それにアウレリオに頼まれているポーションも緊急時はすぐに渡せるだろ?毎回やると輸送費は抑えられるけど、あちこちから苦情が来そうだよね」


 亮二とカレナリエンの話を聞きながら、輸送費が完全にゼロになる事を期待していたメルタは小さくため息を吐くと気を取り直してドリュグルの街と駐屯地に送るポーションの輸送費についての詳細を計算するのだった。


 ◇□◇□◇□


「夜分遅くにごめんね。ちょっと、緊急事態だからユーハンとマルコをすぐに呼んでくれる?」


 入り口で警備をしていた兵士に伝言を頼むとカレナリエンは待ち合わせ部屋で2人が来るのを待った。5分もせずに現れたユーハンとマルコを有無を言わせない勢いで馬車に来るように伝えると、2人は訝しげにしながらも付いてきてくれた。


「やっ!マルコ元気?」


「どうした?リョージまた何かやらかしたのか?俺達はそろそろ自領に戻るから迷惑をかけんじゃねえぞ」


「大丈夫!もうすでに迷惑をかけ始めてるらしいから!」


 マルコの冗談に亮二がニヤリと笑って答えるとマルコと後から馬車に乗り込んだユーハンが引き攣った顔をするのだった。

何か、かなり大事になる予感が…。

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