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148話 ライナルト主任教授との共同研究3 -最終確認をしますね-

人間で試す前にもう少し段階が必要なのを思い出しました。

「バッタは上手くいったな。人間で試す前に、もう少し生き物を試した方がいいよな?」


「そうですね。バッタは生き物と言っても小さいですからね。次はネズミから始めて、少しずつ大きくしていきましょうか?」


「そうだな。その前にちょっと休憩しよう。俺はこのバッタを逃がしてくるから、ライナルトは生き物の選別を頼むよ。でも、そんな生き物は調達できるのか?」


「それは大丈夫です。市場に行けば色々な動物や魔物が取り扱われていますので、そちらで購入することが出来ます」


「魔物も購入できるのか?」


「そうですね。緑狼、魔ウサギやキノコのお化けなどは生け捕りも可能です。キノコのお化けが結構な頻度で市場に出回ってるので買っときますね」


「…キノコのお化けは止めとこう。それよりも犬か猿は買える?」


 亮二は宇宙に飛び立つ時には猿か犬が使われていた事を思い出してライナルトに確認したが「犬は買えますが、猿は無理ですね」との答えが返って来たので、「よし、最終は犬にしよう」と決めるのだった。


 ◇□◇□◇□


 取り敢えず捕まえたバッタを学院の庭に逃がした亮二は、休憩がてら道具屋で2人分の軽食と飲み物を買って、打ち合わせの続きをする為にライナルトの研究所に戻ってきた。


「なっ!ライナルト何やってる!」


 亮二が扉を開けるとライナルトが魔法陣に乗って転移を繰り返していた。ライナルトは亮二に気付くと嬉しそうに魔法陣から降りて走り寄ると、満面の笑みで興奮気味に話し始めた。


「軍曹!見てくれましたか?成功ですよ!人間でも全く問題なく成功したんですよ!これで論文を書いて発表することが出来ます!もちろん、共同研究者として軍曹の名前も書かせてもらいますからね!聞いてますか!軍曹!軍曹?どうされました?なんで、そんなに笑顔なのに目が笑って無いんですか?」


「なあ、ライナルト。『バッタで成功したからネズミから始めて、少しずつ大きな動物にしよう。最終は犬だな』って話をしていたよな?さっきの俺との話し合いは何だったんだ?お前は俺の話を無視する位に偉くなったのか?俺は誰だ?ライナルト」


 亮二が笑顔でライナルトに近付くと、目が笑っていない事に気付いたライナルトは少しずつ後ずさりながら亮二の質問に答えた。


「ぐ、軍曹です!」


「上官の命令は?」


「絶対であります!軍曹!目が怖いであります!痛っ!痛いぃぃでぇぇありぃまぁす!サー!」


「当たり前だ!痛いようにしているからな。上官の命令に逆らう奴には教育が必要なんだよ!」


「申し訳ありません!しません!もうしませんので、こめかみを掴んで頭を握りつぶそうとしている力を弛めて欲しいであります!サー!」


「次からは実験の時は絶対に決めた手順を踏めよ?たまたま結果が良かっただけだからな?次やったら”試練の洞窟”で穴を掘って埋め戻す作業を半年させるからな」


「わ、分かりました!もうしませんので許してください」


 亮二からの言葉と、こめかみに込められている握力にライナルトは半泣きになりながら、これからは必ず手順を踏んで実験をする事を誓うのだった。


 ◇□◇□◇□


「まっ、結果的に良かったから問題無しとして、俺も試してみていいのかな?」


「軍曹の台詞が軽い。結果的に良かったのなら、別に…いえ、なんでも有りません。魔法陣を見ていたら居ても立っても居られなくて、思わずちょっとだけ飛び乗ってしまいましたが大丈夫ですよ。私で10回ほどは試しているので」


 亮二からの軽い感じで問われた内容に不条理な感じがしたライナルトは愚痴ろうとしたが、亮二からの無言の圧力を感じて慌てて首を振って誤魔化すと、魔法陣に乗っても問題ない事を亮二に伝えた。


「よし!じゃあ、早速試してみよう」


 亮二が思い切って魔法陣に飛び乗ると景色がブレるように一瞬揺れて、次の瞬間には対角線上の魔法陣に転移していた。魔法陣から飛び降りた亮二は、もう一度魔法陣に飛び乗ると問題なく転移が出来る事に満足して、ライナルトに話しかけた。


「なあ、転移に関しては問題ないとして、次は距離だよな?どうする?」


「そうですね。少しずつ距離を伸ばしていきたいですよね?まずは人が来ない場所に移動させたいんですが運ぶのも一苦労なんですよね」


「じゃあ、移動距離の検証は俺が担当するから借りていいか?」


「もちろんです。第1号は軍曹にさし上げますよ。お好きな場所に設置して下さい。その代わりに、これからどんどんと作っていくので魔力の注入はお願いしますね」


「おう、それは任せてくれ。1日に1セットなら問題なく出来るぞ。この第1号は屋敷に置いて、もう1台は駐屯地の屋敷に置くつもりでいるから。ライナルトも使いたかったら、いつでも使ってくれていいからな」


 亮二はライナルトから許可をもらうと転移台をストレージに収納した。その様子を眺めていたライナルトは「そのアイテムボックス本当に羨ましいです」と溜息を吐きながら羨ましそうに伝えてくるのだった。


 ◇□◇□◇□


「「お帰りなさいませ。リョージ様。どうされたんですか?物凄く嬉しそうですが?」」


「やっぱり分かる?実はね、ライナルトと共同で転移魔法陣を完成させたんだよ!凄いでしょ!」


 亮二の嬉しそうな声に、出迎えたカレナリエンとメルタの動きが笑顔のままで止まった。カレナリエンはメルタの袖を引っ張ると「聞き間違いかな?転移魔法陣って言った?」と囁くように聞いたが反応が無く、怪訝に思ってメルタを見ると笑顔のままで固まっていた。


「ちょっ!メルタ!どこに旅だったか知らないけど、帰ってきて!私一人じゃ受け止められない!」


「大丈夫?メルタ?」


 亮二の声にハッと我に返ったメルタは、ぎこちない動きで亮二を見ると恐る恐る確認を始めた。


「リョージ様?いま、転移魔法陣を完成させたと、聞こえたのですが?」


「そう!凄いでしょ!」


「ライナルト主任教授と共同開発されて、試作用の転移魔法陣が出来たんですよね?」


「え?完成品だよ?見てみる?」


 メルタの問いかけに亮二は嬉しそうにストレージから転移魔法陣の台座を出すと離れた場所にもう1台を置いて「えいっ!」との掛け声とともに魔法陣に乗った。


「え?リョージ様!どこ?」


「こっち、こっち!」


 魔法陣に乗った亮二が突然消えた事にパニックになった2人に背後から亮二の声が上がった。2人が振り返ると、もう一方の魔法陣の上に亮二が乗っており、嬉しそうに魔法陣から降りると2人に近付いて「どう凄いでしょ!」と改めて胸を張るのだった。

これで、駐屯地との行き来が簡単に出来る!

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