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143話 魔法の特訓 -すぐに使えるようになりますわよね-

早くダンジョンにアタックしたいです。

 属性魔法授業初日にライナルト達が授業参観をした以外は特にイベントもなく、授業内容の理解度をエリーザベトが亮二と競って負けてはハンカチを噛みしめたり、走って教室から出て行ったりするテンプレな展開以外は問題なく進んでいた。


 亮二達が王立魔術学院に入学して2週間経ったが、ダンジョンへのアタックは未だに行われていなかった。学院の方針として10人全員が魔法を撃てるか、剣への属性付与が出来るまでは授業と実習へと振り替えられていたからである。


「先生!早くダンジョンにアタックしたいのですが!」


「駄目です。エリーザベトさんのパーティーのノエリアさんが、スムーズに魔法を使えていません。ノエリアさん、今週中には魔法をスムーズに使えるようになりましょうね。分からない事が有ればなんでも先生に聞いてください」


「先生!大丈夫です。私が、ノエリアさんが魔法を使えるように一緒に頑張りますわ!ノエリアさん!今日は修練場で放課後に特訓ですわよ!」


「はい」


 エリーザベトからダンジョンへの挑戦を求める発言にシャルロッタから不許可が伝えられた。原因であるノエリアに「頑張りましょうね」とシャルロッタが伝えているのを聞いていたエリーザベトから「特訓しますわよ!」と放課後特訓の提案をされたノエリアは縮こまるように首をすくめながら頷くのだった。


 ◇□◇□◇□


「じゃあ、早速特訓を始めますわよ!今日中に先生に認められるレベルになりますからね!」


 修練場でエリーザベトの気合の入った言葉に怯えた表情をしながら頷いたノエリアは“杖”を取り出すと目標に向かって詠唱を始めた。


「じゃあ、いきます!『我、ここに熱き流れを呼び出し、敵を撃たん!”ファイアアロー”』…あぁ、やっぱり届かない!」


 ノエリアのファイアアローは目標に到着するまでにかき消えてしまった。エリーザベトは首を傾げながら「もう一度ですわ」とノエリアに再びファイアアローを撃つように伝えるのだった。


「分かりました。もう一度いきますね。『我、ここに熱き流れを呼び出し、敵を撃たん!”ファイアアロー”』…。あぁ!駄目です。エリーザベトさん。やっぱり届きません!ごめんなさい」


「謝る暇があるなら、もう一度いきますわよ!私も同じように詠唱しますから頑張りましょう!」


 エリーザベトの声に俯き気味だったノエリアは顔を上げると”杖”を構えて詠唱を始めるのだった。


 ◇□◇□◇□


 ノエリアとエリーザベトが特訓を開始してから1時間が経過していた。途中で休憩を入れながら詠唱を続けていたが、魔力も枯渇しかけてきておりエリーザベトの目から見てもノエリアの限界は近いとしか見えなかった。


「ノエリアさん。一旦休憩しましょう。魔力がほとんど無い状態なんでしょ?私は飲み物を買いに行ってきますけど、ノエリアさんはどうされます?」


「わ、私はちょっと休憩してから向かいます。有難うエリーザベトさん。私のために遅くまで付き合わせて」


「べっ!別に気にしなくてもいいのよ!ノエリアさんが魔法を使えるようにならないとダンジョンに挑戦できませんからね!決してノエリアさんの事を心配しているわけじゃないんだから!」


 エリーザベトはノエリアに休憩をするように伝えると、ノエリアから涙目の謝罪が返ってきた。そんな状態のノエリアを見たエリーザベトは焦ったように早口でまくし立てるように伝えると「休憩に行ってきますわ!」と逃げるように修練場から去っていくのだった。


 ◇□◇□◇□


「ちょっと、ノエリア大丈夫?物凄く顔色が悪いわよ?」


「だ、大丈夫だよ。魔法を使い過ぎただけだから休憩すれば魔力は回復するから。有難う。マイシカ」


「ノエリアさん。ちょっとこれを飲まない?随分と気分が良くなると思うよ」


 青い顔をして座り込んでいるノエリアをみたマイシカが心配そうに声を掛け、一緒に修練場にやって来ていた亮二がストレージからマナポーションを取り出すとノエリアに手渡した。


 亮二からマナポーションを受け取ったノエリアは恐る恐る封を開けて一気に飲み切ると、身体の中から枯渇しかけていた魔力が湧き出てくるように回復してくるのを感じて、勢い良く立ち上がってマイシカと亮二の手をにぎるとピョンピョンと飛び始めた。


「凄い!このポーション凄いね!さっきまで枯渇していた魔力が一気に回復したよ?なにこれマナポーションなの?ひょっとして物凄く高いんじゃないの?気にもせずに飲んじゃってごめんなさい」


「大丈夫だよ!俺が作っているマナポーションだから。今の所はドリュグルと駐屯地にしか売ってないから値段も分からないでしょ?だから気にしなくてもいいよ」


「えっ?『値段も分からないでしょ?』って言うくらいに高いの?そんなマナポーションを飲んでしまって、ごめん…「だからいらないって!ところで何をしてたの?」」


 飲んだ直後は魔力の回復量に興奮していたノエリアだったが、時間が経つに連れてマナポーションの効果に高級品である事が実感としてやってきた。


 マナポーションの料金を亮二に問いただしたノエリアに対して「気にしないで」と伝えたが、それが逆に高級品である印象を深めたようで申し訳なさそうな顔をして再度謝ろうとするのを遮って「何してたの?」と質問をする亮二だった。

俺が魔法の使い方を教える!

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