141話 ポーション改良計画 -ヒット商品を作りますね-
ポーション改良計画の始まりです!
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ポーション作成話の中に出てくる”丸薬”や”錠剤”、”少し柔らかい棒状”については感想やメッセージで頂いたものを利用させてもらっております。
## お一人からは許可とお二人からは「駄目なら連絡下さい」と書きましたが
## お返事が無かったので使わせてもらっています。
## 駄目なら連絡下さい。修正します。
情報のご提供感謝です!
「じゃあ、これからリョージによる食べるポーション作りを始めます! はい拍手!」
「え? 何が始まりますの? オルランドから『リョージ君が一大イベントを行うらしい』と聞きましたから、やって来ましたのに」
亮二の掛け声に、まばらな拍手とエリーザベトの呟きが聞こえてきた。今回の参加者メンバーはマルコ、カレナリエン、ルシア、マテオ、マイシカ、オルランド、エリーザベトであり、場所は亮二の屋敷で行なっていた。
「では、さっそく材料の説明から始めます。まずはウチノ家特製の5倍ポーションを取り出します。これを飲み物から食べ物に変えていきます。食べ物に変える材料としては? はい! 助手のルシアさん」
「え?私が助手? いいけど、今日は初回との事で色々とお父さんに用意してもらったわよ。まずは、果物野菜でしょ。干し肉、生肉、魚、小麦、木の実なんかも用意してあるわ。どれから使ってみる?助手のマテオ君?」
亮二の無茶振りにルシアはノリノリの勢いで答えるとマテオにバトンを渡した。
「え? 僕もするの? この前の授業の時にポーションを飲み過ぎてお腹がタプタプになったから食べるポーションを作るんだよね? だったら、量は少なくで良いかな。今度はお腹が膨れて動けなくなりそうだから」
「じゃあ、俺の国にある丸薬とか錠剤とか少し柔らかい棒状とかにしてみようか」
マテオからの提案に亮二は3種類をイメージして作り始めるのだった。
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「出来たよ! まず1作目の丸薬です。だだん!」
勢い良く出してきた丸薬と言った物を一同はじっくり見つめ続けた後で亮二の顔をなんとも言えない顔で眺めた。亮二は一斉に自分に向いている視線を受け流そうと明後日の方向を見たが、額と頬に汗が浮いているのを見逃さなかった。
「リョージ様? これは?」
「もちろん、丸薬だよ。これを食べれば通常のポーションと同じくらいには効果があって、お腹もタプタプにならない! 凄いよね! マルコ食べてみてよ」
カレナリエンからの冷静な問い掛けに亮二はまくし立てるように一気に喋って試食をマルコに進めてきたが返ってきたのはツッコミだった。
「でけえよ! なんでこんなに大きくなってるんだよ! さっき、そこの坊主が『量は少なくで良いかな。今度はお腹が膨れて動けなくなりそうだから』って言ってただろう! 拳より大きい丸薬なんて食いきれるわけ無いだろう! しかも通常のポーションと同じ効果しかないのかよ!」
マルコの手でも収まりきらない大きさの丸薬を亮二に突きつけながら「却下!」と答えるのだった。
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「では、第2弾です! どどん!」
亮二は手に持っている皿を一同に見せた。更には小指の爪ほどの大きさの錠剤が大量に入っていて、先ほど見た丸薬の大きさに比べると飲みやすくも有り、一見良さげに見えるのだった。
「リョージさん。これは良さそうですね。1回の服用量はどのくらいなんですか? 五錠くらいですかね?」
「七〇錠」
「え?七錠ですか?」
「七〇錠だよ! この皿に入っている分を全部飲んで下さい! エリーザベトさんどうぞ!」
「こんな数を戦闘中に飲めませんわよ! 休憩中でも嫌ですわ! これ全部飲めって言うんですか? しかも1回で? 噛み潰しちゃ駄目なんですよね?」
「錠剤なんで水で飲んで下さい」
「だったら、普通にポーションを飲みますわ! さっきの丸薬と仰った物体もそうですが、この錠剤も何故こんなに大量なんですの?」
「ほら、そこはお約束かなって?」
「何のお約束ですの!」
エリーザベトの突っ込みに亮二は「マルコの後釜見っけ」と呟いて、マルコからは嬉しそうなエリーザベトからは「後釜?何の事ですの?」と戸惑った顔が返ってくるのだった。
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「どろどろどろどん! これが本日の本命です! 大きさも丸薬よりも圧倒的に小さくて、錠剤みたいに大量に飲まなくてもいい。腹持ちが良くて高カロリー低脂肪で女性にも安心! それに味のバリエーションも増やす事も出来る! さらにジェル状にする事でポーションと固形物の間の子にも出来る! どうですか? 奥さん!」
「リョージさんの台詞の中で分からない単語が多すぎて困るのですが、奥さんって誰に言ってますの? カレナリエン様とメルタさんにですか?」
亮二の勢い良く説明が終わったと同時にエリーザベトが困惑した表情で返事をすると、カレナリエンとメルタは真っ赤になり、亮二もそんなツッコミが返って来るとは思わず戸惑った表情をするのだった。
「ごほん。では結論としては最後のこの固形物でいいかな?」
「むしろ、なんで残りの2つが紹介されたのかを聞きたいですわね」
亮二の結論にエリーザベトが疲れた表情でツッコむと一同からも頷きが返ってきた。亮二は嬉しそうに「だって、せっかく作ったから見て欲しいじゃん」と元気よく言い放つのだった。
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最後に提案された食べるポーションは、空腹で力が出ない上に長時間戦闘で傷を負った場面において、冒険者達が「ずじゅるぅぅぅぅぅぅぅっ! ぷっは! 生き返ったぜっ!」とジェル状のポーションを飲み九死に一生を得た食べ物的として爆発的な人気を得るのは1年後の話であった。
また、錠剤については体力が落ちた年寄りや食事が取れない乳幼児向けの体力増強補助食品として1日5錠で販売され、丸薬については疲れたお父さんに! と銘打たれて晩酌のお供として細かく細長くされた状態でおつまみ状態で販売されるのだった。
丸薬は後でスタッフ(マルコ)が美味しく頂きました。