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140話 道具屋でのやりとり -商売の話ですよね?-

武器を買う前に食べるポーションの話を片付ける事になりました。

「ここがルシアの道具屋?」


「私じゃなくてお父さんの道具屋だけどね」


 亮二の問い掛けにルシアが苦笑しながら訂正すると、一同からも感嘆の声が上がった。


「凄いでしょ!物凄く大きくて、みんなが満足出来る品物が置いてあるんだよ」


「私も冒険者時代にお世話になってたけど、まさかルシアの実家とはね」


「お嬢様じゃないか!買い物について行った時に大量買いするお金がある理由が分かったよ!」


 3人からの感想にルシアは「止めてよね。私がお金持ちって訳じゃ無いから」と言いながら道具屋の中に入った。


「お帰りなさいませ!お嬢…「ただいま。お父さんはどこ?」」


 中に居た店員がルシアに気付いて声を掛けてきたが、遮るようにルシアが父親であるハビエルの場所を尋ねると「書斎におられます」との返事が返ってきた。


「有難う。書斎みたいだから上がって」


「ねぇ、いまお嬢様って言われなかった?」


「完全に聞き間違いよ。書斎はこっちよ」


 マイシカのツッコミを聞き間違いの一言で一刀両断すると、書斎の扉を開くのだった。


 ◇□◇□◇□


「ただいま。お父さんに相談があるんだけど時間有る?」


「お帰りぃぃぃ!ルシアにいつも言ってるじゃないか!お父さんじゃなくて“パパァ!”って呼んでっていつも言ってるじゃないか!じゃないかぁ!」


 書斎に入ったルシアに対して、椅子に座っていた男性は勢い良く立ち上がって頬ずりしながら抱き上げた。なすがままの状態で溜息を付きながらルシアはハビエルに話しかけた。


「“じゃないか”ばっかりで鬱陶しい。そんな過保護はいいから。お父さんに仕事の話を持ってきたんだよ」


「ん?仕事の話?急にどうしたんだい?」


 ルシアを下ろした男性は真面目な顔をすると、亮二達に気が付いて目線を向けてきた。


「パパに友達を見せるために連れて来たんじゃ無いのか?ん?男が2人もいるぞ!どういう事だ!お前にはパパって男がいるじゃないか!『大きくなったらパパと結婚する!』って子供の頃は言っていたのにぃ!」


「いや、言ってないからね。それにお父さんはただのお父さんだから。それに仕事の話は彼からしてもらうわよ。“ドリュグルの英雄”のリョージ君だよ」


 ルシアの言葉に傷付いた顔をしながらもハビエルは亮二の顔を値踏みするように眺めてきた。亮二が笑顔で応えると男性は胡散臭げな顔になってルシアを振り向いた。


「彼が“ドリュグルの英雄”?噂では身長2mで武器は3mの大剣を使って、魔物の姿を見たら暴走すると聞いたが?気に食わない人間はすれ違った瞬間に抹殺するんだろ?」


「誰だよ!もう、どんな人間かイメージすら出来ねぇよ!」


「俺の噂はどうなってるんだよ」あまりの噂の尾ひれの凄さに亮二が頭を抱えていると、笑いながらハビエルが話しかけてきた。


「始めまして。リョージ様。ルシアの父親のハビエルです。ちょっとした冗談だったんですが、それほど頭を抱えさせるとは申し訳有りません。先日は娘に素敵な”ミスリルの杖”を頂き有り難うございます。しかし、ルシアを貴方に嫁がせる訳にはいきませ…「お父さん!仕事の話!」おっ、すまん。それで今日は商売の話をしに来られたとか?」


「安心して、“ミスリルの杖”はルシアだけじゃなくて他のみんなにも渡してるから。それで仕事の話になるんだけど、食べるポーションを作って販売しようと思ってね」


「ポーションは飲み物なのに食べる?もう少し分かりやすく説明をしてもらえませんかね?」


 ハビエルが首を捻って説明を求めてきたので、亮二は私的に行っている授業の中で出てきた“食べるポーション”の話を始めた。


 最後まで亮二の話を聞いていたハビエルは目を閉じると眠り込んだように考え始めた。余りにも沈黙が続いたのでルシアが「お父さん?」と声を掛けると、静かに目を開けて亮二に話し始めた。


「リョージ様はこの話を誰かにされましたか?」


「ん?ここに居る人だけだよ」


「私の他に商人の知り合いは居ますか?」


「ドリュグルの街のアウレリオって商人と知り合いだよ。一緒に商売とか領地経営をするくらい仲がいいよ」


「ほう、カルカーノ商会の麒麟児ですか。彼となら手を組んでもいいかな」


「で、結局はどうなの?リョージ君の考えた“食べるポーション”は商売の種になりそう?」


「もちろん!商売の種どころか、いきなり大木を手に入れたも同然だよ。さすがは私の愛しい愛しいルシアだよ。よくぞリョージ様と友達になってくれたね」


 亮二とハビエルの会話を聞いていたルシアは痺れを切らしたように「どうなの?お父さん?」と会話に参加してきた。ハビエルは再び抱え上げてルシアの顔を見ると嬉しそうに「さすが私の娘だ」と頷きながら答えるのだった。


 ◇□◇□◇□


「当たり前よ!入学試験の時に目を付けたんだからね!リョージ君を見かけた時に運命を感じたわ!」


「なに!運命を感じただと!駄目だぞ!駄目だ駄目だ!ルシアはパパと結婚するんだからな!リョージの野郎なんかには絶対に渡さん!」


「いや、渡されても困るからね。俺には婚約者が2人もいるんだから」


「なにぃ!うちのルシアが可愛くないとでも言うのか!」


「どっちなんだよ!面倒くさいオッサンだな!」


「だれがオッサンか!俺はハビエル!可愛い可愛いルシアのパパなんだぞ!」


「いや、本当に面倒くさいよ?」

危ない人じゃなくてバカ親だよね?

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― 新着の感想 ―
[一言] 食べるポーション… それってレーションだよね…
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