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133話 授業2日目その2 -道具を買いに行きますね-

ダンジョンですよ!奥さん!

「では、早速ダンジョン!って訳にもいきませんよね?」


「もちろんです。いくら学院が所有している”初級探索者ダンジョン”とはいえ、出てくる魔物は本物です。準備も無しに潜るなんてありえません。今日は学院内の道具屋で買い物をしてもらいます。もちろん何を買ったかが大事ですので気を付けて購入してくださいね」


 亮二の元気な声にシャルロッタは苦笑しながら頷いて学院内の道具屋に一同を連れて行くと買い物をするように伝えた。


「先生!予算はどのくらいなんですか?」


「パーティ全員で銀貨15枚までとして下さい。後は自分の装備以外の持ち出しは禁止とします」


「ポーションや魔道具の類いもですか?」


 エリーザベトの質問に予算額を伝えたシャルロッタはさらに質問を受けて買い物の内容について説明を続けた。


「そうですね。便利な魔道具が有ると実力の判断が出来ないので禁止です。装備に関しては先祖代々の武器などがありますので特別に許可をしていますが、武器防具の詳細情報を登録の上で使用許可を出しています」


「でもそれだと、アイテムボックスに入れていた道具をこっそり使っても分からないですよね?」


 ルシアの疑問に一同が頷くと、シャルロッタはアイテムボックスから水晶玉を出して再び説明を始めた。


「ルシアさんの疑問は当然です。この水晶球は所有者が質問した事に回答すると色で判別が出来る"嘘見の水晶球"と言われている魔道具です。試しにやってみましょうか?『ルシアさん、貴方は男性ですか?』ね、水晶球が赤色になったでしょ?嘘を吐くと水晶球は赤色になります。これは皆さんがダンジョンから戻られたら使用しますので覚えておいて下さいね」


 シャルロッタは説明と"嘘見の水晶球"を使って実践をすると「ね、これで不正は出来ないと分かったでしょう?」と微笑むのだった。


 ◇□◇□◇□


「わかりましたわ、シャルロッタ先生。では早速買い物を始めさせて頂きます。リョージさん!」


「え?何?」


「勝負ですわ!私達と貴方達のどちらがダンジョンに臨むに相応しい道具を用意できるか!」


 シャルロッタの説明を聞いたエリーザベトは大きく頷くと亮二に近付いて指を突き付けると勝負を挑んできた。亮二が困惑しながらも返事をしようとすると遮る様に手の平を亮二に向けて「皆まで言うな」と言わんばかりに大きな声で続けるように話し始めた。


「分かっています!道具を購入するのに何故勝負をする必要が有るかと仰りたいのでしょう?ですが、どんな道具を用意するかは探索者としてダンジョンに潜るには大事な知識になります。ですので授業とはいえ、勝負をする事でお互いに確認し合い、足りないものが有れば勉強になるではないですか!」


「い、いやそうじゃなくてね。俺が言いたいのは…「それとも勝負を受けるのが怖いのですか?私は一向に構いませんよ。エリーザベト=コルトレツィスならば逃げも隠れもしませんけどね!」」


 途中で亮二が口を挟もうとすると「臆病者が逃げるのですが?」と言わんばかりの視線と微笑みで亮二の発言に被せて挑発してきた。亮二は暫くエリーザベトを見て何か言おうとしたが、首を振って溜息を吐くと「後悔してもしらないからね」と応えるとエリーザベトは嬉しそうに頷いて「そうこなくては!負けませんからね!」と応じオルランドやパーティーの仲間を連れて道具屋に元気よく入っていくのだった。エリーザベト達の後ろ姿を暫く眺めていた亮二にマイシカが焦ったように話し掛けてきた。


「ねえ!リョージ君は何でそんなにゆったりしているのかな?ルシアもロサも何でそんなに落ち着いているの?いくら授業の成績に関係なくてもエリーザベトさんとの勝負なんだよ!負けたら何言われるか分からないじゃない!」


「まあ、それ程急がなくても良いかなと思ってるんだけど」


「そうよね。急ぐ必要も感じられないわ」


「確かにね」


 首を傾げる様に3人から返事が返ってきた事にマイシカが驚いていると、亮二が溜息を吐きながらある1点を指すのだった。


 ◇□◇□◇□


「まずは魔物避けが施されているテントが要りますよね?え?金貨1枚?それだけで予算が無くなるじゃないですか!」


「まずは初心者との認識が必要だと思いますよ。ナイフや水袋、干し肉や堅パンなどを人数分買う必要が有りますよね?」


 エリーザベトがテントの値段を見て驚きの声を挙げているとオルランドが呆れ気味に助言をしてきた。エリーザベトは赤ら顔でオルランドを見た後に「わ、分かってますわ!」と答えて日用品が置かれている場所に着くと、オルランドから聞いた必要な物を集めて支払場所に向かうのだった。


 ◇□◇□◇□


 支払いが終わったエリーザベトが店の外にでるとすでに亮二達が待っていた。オルランド以外のメンバーが驚いた顔をしていると亮二は「買い物は出来ましたか?」と声を掛けてきた。


「もちろんですわ!私達にかかればダンジョンに挑戦する際に必要な物を揃える事なんて造作も無い事ですわ!リョージさんの方はどうだったんですか!」


 亮二から声を掛けられたエリーザベトは胸を張って購入した道具を出し始めた。ナイフ、水袋、干し肉、堅パン、羊皮紙、羽根ペン、インクを並べて「どうですか!」と、もう一度胸を張って亮二を見ると、亮二がナップサックのような袋からエリーザベトと同じ物を取り出すと並べ始めた。


「全く同じものですね」


「そうだね。エリーザベトさんはこの道具をどうやって買ったの?」


「もちろん、一つ一つ吟味して選びましたよ。先生から指定された15銀貨で購入しました。リョージさんはどう選ばれたのですか?」


 質問された亮二は「あれ」と道具屋の入り口に積まれている袋を指さした。エリーザベトは亮二の指先にある高く積み上げられている袋を眺めた。そこには"冒険者に必要な道具一式!まとめ販売価格1袋で銀貨2枚!"と書かれており、その下にはナイフを始めとしてダンジョンに潜るために必要な道具一式が書かれていた。


「えっ?え?」


 亮二は可哀想な子を見るような生暖かい目で混乱しているエリーザベトを見ながら「探索者に必要なのは注意力だよ」と伝えるのだった。

内容が理解できたエリーザベトさんは真っ赤な顔をしてどこかに走って行きました。

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