132話 授業2日目 -パーティーを結成しますね-
エリーザベトから勢い良く好敵手ビームが出てる感じです。
「なぜそんな盛大な溜息を?お父様の手紙に何が書いてあったのか教えなさい!」
「別に大した事は書いてませんよ。例の件に対する謝罪とお願いが書かれているだけです」
「例の件とは何?教えなさい!」
"例の件"との亮二の発言に不安な顔を一瞬浮かべたエリーザベトだったが、首を振って胸を張ると亮二に詰め寄って「教えなさい」と迫ったが「貴族同士の秘密事ですので」と答えた亮二に反論が出来ずに口籠もりながらも引き下がると、エリーザベトは口を真一文字に結んで亮二を睨みつけて席に座った。
エリーザベトが着席したのを確認した周囲からは緊張の溶けた空気が流れだし、シャルロッタも安堵の溜息を吐くと立っている生徒達に着席するように伝えて今後の授業について説明を始めた。
「全員着席しましたね。ではエリーザベトさんも登校して全員が揃いましたので今後の授業の進め方について説明しますね。学院での授業は4日行い、2日はダンジョンに潜るか魔術の練習になります。残りの1日は学院を閉めますので自由時間になりますね。何か質問はありますか?」
「はい!ダンジョンに潜るのは何故2日なんですか?それと2日間潜りっぱなしでも良いのですか?」
「基本的に学生の魔力は低いために日数制限を設けています。それと2日間潜りっぱなしと2日連続でのダンジョン挑戦も禁止です。禁を破った人は退学になりますので気を付けて下さいね」
「追加質問です!ダンジョンに潜っている時間をどうやって把握するんですか?」
亮二の質問にシャルロッタは「よくぞ聞いてくれました!」と嬉しそうに懐から小さな水晶球を取り出して教卓の上に置いた。
「リョージ君から質問が有ったので先にこれの説明しますね。これは”時間玉”といって経過時間が分かる魔道具になっています。これに魔力を注ぐと12時間は光ります。最初の6時間は白色で、その後の2時間は青色でさらに2時間経つと黄色に、最後の2時間は赤色になります。基本的には青になった時点で帰還してください。皆さんが8時間経っても帰ってこない場合は捜索隊を出します。そして12時間経っても発見出来ない場合は捜索を中止します。さらに2日経ったらご家族に死亡確定連絡をいれます。学院が出来てから死亡者は数えるほどで、この10年は1人も居ませんが十分に気をつけてくださいね。他に質問はありますか?」
「ダンジョンに潜るのはソロでも可能ですか?それともパーティーを組む必要がありますか?」
エリーザベトの質問にシャルロッタは力強く頷くと「ソロは禁止です。パーティーは5名で構成することになります」と説明するのだった。
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「では先生、早速パーティーを決めても構いませんか?」
「そうですね。折角だから今日パーティーを決めちゃいましょう!じゃあ、【黒】のリョージ君と【紫】のエリーザベトさんがリーダーとなってパーティーを作って下さい」
シャルロッタの声にエリーザベトが椅子から立ち上がると、周りに向かって大きな声でパーティーの募集を行った。
「誰かこの私とパーティーを組みませんか?エリーザベト=コルトレツィスとパーティーを組める事は名誉な事だと思われませんか?それに学院が所有している”初級探索者ダンジョン”は魔法を中心としたダンジョンです。確かにリョージさんは”ドリュグルの英雄”と言われておりますが、あくまでも剣の才能によってです。私は3属性魔法を使えて魔力量も歴代最高レベルと言われており、魔法での評価が高いです。最短記録で攻略をするなら私と組みましょう!」
エリーザベトの声掛けに【青】の勲章を持っている2人と【赤】の勲章を持っている2人が参加を表明した。
「え?オルランドはエリーザベトさんのパーティーに行くの?」
「そうだね。シャルロッタ先生も言っていたけどパーティーは5名だよね。リョージ君の所はルシアとマテオにマイシカ、ロサが入れば丁度じゃない。だったら僕はエリーザベトさんについていくよ。元々、リョージ君の返事に保留をしてたくらいだしね」
「オルランドさんでしたっけ?私のパーティーに参加希望との事ですので認めてあげますわ。”初級探索者ダンジョン”の最短攻略者として一緒に名前を刻みましょう!」
エリーザベトの勢いのいい掛け声にオルランドは「負けないよリョージ君」と笑顔で宣戦布告をするのだった。
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「じゃあ、後は残り物チームって事で」
「なんでいつもの勢いじゃないのよ!"ノリと勢い"で最短攻略を目指すんじゃないの?」
「それもいいんだけど、"試練の洞窟"の時は【B】ランクの冒険者が沢山居たから無茶できたし、"盤面の森"の時はソロでやったから"ノリと勢い"だけで攻略したけど、今回は初心者と一緒に潜るじゃないか。別にルシア達のレベルが低いと言ってる訳じゃなくて、リーダーとして人を引っ張るのは今回が初めてで用心深くなっているだけだから気にしないで」
「一人ぼっちか、リーダーを誰かにお願いしないと全力が出せないって事?」
「そんな身も蓋もない言い方は止めようね。地味に傷付くから……」
珍しい亮二の弱気発言にルシアが毒舌気味にツッコむと苦笑しながら亮二は答えて、ルシア、マテオ、マイシカ、ロサの5名でパーティーを結成するのだった。
ルシアの言った通り"ノリと勢い"で頑張りますか!