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123話 屋敷購入への第一歩 -自分で屋敷を買うのは初めてですね-

学院長との会話で心底疲れました……。

「お帰りなさいませ、リョージ様。入学式はどうでしたか?クリストフェル学院長の話は無駄に長くで全くて意味が無かったでしょう?」


「学院長の事知ってるの?」


「残念ながら知っているんです。ドリュグルの街に彼が来た時にちょっとした出来事が有りまして…、彼はずっと『俺は凄い』って言っていましたよ」


 宿舎に帰った亮二を迎えたカレナリエンは亮二から学院長から聞かされた話と「貴族派に入れてやっても良い」の発言を聞くとカレナリエンは大きな溜息を吐いた。


「相変わらずですね彼は。リョージ様に『本来ならば1週間後に面談』と言っていますが、入学式が終わった後に面談をするのが恒例行事ですからね」


「え?何でそんなちっちゃな嘘をつく必要が?」


「大方の予想ですが『学院長である私が時間を作ってまで会ってやるんだから尊敬しろ』って事でしょうね」


「あの態度と喋り方で『尊敬しろ』って言われてもな。むしろ評価が駄々下がりなんだけど?100点満点で25点くらいだよ、現時点ですでに」


 カレナリエンは亮二からクリストフェルの評価を聞いて、亮二に「お疲れ様でした」とクスクス笑いながらお茶を出しながら話を続けるのだった。


「一回会っただけでその評価なら、リョージ様が卒業される時の評価はどのくらいなんでしょうね?」


「その時はクリストフェル学院長は額縁に入れて飾られる前学院長・・・・になってるよ」


 クスクスと笑っていたカレナリエンの顔が一瞬引きつると「彼を抹殺したりしませんよね?」と聞いてきた。


「殺さないからね!物理的に抹殺しなくても、精神的か社会的には抹殺するかな?後釜にはライナルトもいるし問題ないよね?」


 笑顔でカレナリエンの言葉を修正しながら美味しそうにお茶を飲んで溜息を吐いている亮二を見ながら「軽い冗談のつもりだったんですけどね」と呟くカレナリエンだった。


 ◇□◇□◇□


「そう言えば、入学式で出来た友達と”入学お祝いパーティー”をする事になったんだよ。宿舎じゃ手狭だから良い所無いかな?」


「それでしたら、リョージ様の授業が始まるのは1週間後ですから宿舎じゃなくて、王都での屋敷を探されてからにしては?族長さん達の住む場所も早めに用意した方が良いでしょうし」


「そうだな。明日は不動産屋さんに行くとするか。もちろん、カレナリエンとメルタも付いて来てくれるよね?」


 亮二の問い掛けにカレナリエンは嬉しそうに「もちろんです。喜んでお供させて頂きます」と答えるのだった。


 ◇□◇□◇□


「あれ?リョージ君じゃん。どこかに行くの?」


 翌朝、亮二がカレナリエンとメルタを伴って不動産屋に向かっている途中でルシアとマテオに出会った。


「これから学院に通う為に屋敷を買いに行こうと思ってね。そっちは女王様と下僕の荷物持ちか?」


「ちょっと!女王様って私の事じゃないよね?私達はたまたま・・・・買う物が一緒だったから行動を共にしているだけで、荷物はマテオが『女の子に荷物を持たせられないよ』って持ってくれているのよ!ねぇマテオ、そうでしょ?」


 亮二達がマテオを一斉に見ると、人生すべてを悟った仙人のような穏やかな顔で「ルシアの言うとおりだよ」と答えるのだった。


「ね!マテオは喜んで荷物持ちをしてくれているのよ!まだ1軒目だから、あと3軒は回るけどね!」


 ルシアの言葉に仙人のような穏やかな顔をしていたマテオが、明日世界が滅ぶのを聞いたような顔をして亮二に「本気で助けて下さい」と目線で訴えてきた。


「なあ、休憩がてら一緒に不動産屋に行かないか?昼飯は奢るし、その間の荷物は俺のアイテムボックスに収納するからさ」


「良い話じゃないか!昼ご飯を奢ってくれるんだよ!残りの買い物にも付き合ってくれるみたいだし!」


「「「それはない(です)」」」


 マテオが嬉しそうに亮二の提案を強く押してさらに亮二達を巻き込もうとしたが、即座に3人から却下されて絶望した顔にはルシアは気付かずに、亮二の提案に乗ってきた。


「そうね、お昼ご飯を奢って貰えるのは魅力的ね。昼から5軒は回るから、買い物前に体力を回復してもらいたいし」


 ルシアの言葉に「数が増えてるよ?」と弱々しく上げたマテオの抗議の声は綺麗に流され、一同は不動産屋に向かうのだった。


 ◇□◇□◇□


「いらっしゃいませ、本日はどのような物件を…冷やかしなら帰ってくれ!」


 亮二達が店に入ると、店員らしき男性が挨拶もそこそこに、亮二達を見ると怒鳴ってきた。


「客に対する態度じゃないよね?俺が金持ちだったり、貴族だったらどうするの?」


「はっ!お前みたいなガキが金持ちや貴族な訳ないだろ!それだったら俺は王侯一族だわ」


 店員は明らかに馬鹿にした様子で亮二の対応をすると「暇じゃないんだ、さっさと帰れ」と睨みを利かせてきた。亮二は店員を冷めた目で一瞬だけ見ると笑顔で話し始めた。


「さっきからずっと喧嘩腰だけど、俺に何か恨みでもあるの?もしかして、俺が美少女を2人も連れてるから?みっともないよ男の嫉妬は」


 明らかに煽る喋り方で店員の顔を真っ赤にして青筋を浮かべさせるとさらに煽るように話し始めた。


「で、この勲章は子爵の証で、これが短剣ね。それと宝石って見た事ある?ここに20個は有るけど。俺が金持ちだったり貴族じゃないって何で決めつけたの?下っ端が出てくる幕じゃ無いんだよ。さっさと店長を呼んでくれる?」


「は、はい!すぐに呼んでまいります!少々お待ち下さい」


 店員は短剣や勲章、宝石を見て真っ青な顔をすると椅子から転がり落ちる様な勢いでバックヤードに消えて行くのだった。

なんで、あの店員は絡んできたんだろう?

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