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117話 入学試験の受付する前の一コマ -友達が出来そうですね-

これから新しいステージの幕開けですよ!

「おぉ、ここが王立魔術学院か。思ってたより大きいな」


「そうですね。魔術を学ぶなら王立魔術学院と言われますからね。最近は政治の世界の縮小版になっているので質が下がり気味ですが」


 亮二の呟きにカレナリエンが顔を顰めながら相槌を打ってきた。


「ユーハン伯も似たような事を言ってたけど、縮小版ってどんな感じなの?学年ごとにサロンみたいなのが有って、爵位の高い貴族の子供達が集まって運営してたり、学院理念の誰でも学べる学舎ってのが崩れてきてるとか?」


「そ、そうですね。ひょっとしてリョージ様、王立魔術学院についてお詳しいですか?」


 亮二の話が的を射すぎているので「知ってるんですか?」と思わず聞き返したが、亮二からは「まさにテンプレだよね」との返事が返ってきた。


「まあ、リョージ様ですし色々情報をお持ちなんでしょうね」


「ちょっと待って!そのリョージ様シリーズを定着させるのはやめて!前のリョージ様だからから種類が増えてるじゃん!学院でも流行りそうな予感がするからお願い!」


 カレナリエンのリョージ様ですし発言に対してパターンが増えた事に対する撤回要望を出したが、カレナリエンの満面の笑みを見て受け入れて貰えないと悟る亮二だった。


 ◇□◇□◇□


 正門から入ってすぐに受付を見付けたが、思っていたよりも長い行列が出来ていた。行列に並ぶのが苦手な亮二はカレナリエンの方を見るとゲンナリとしながら確認を行った。


「ねぇ、カレナリエン。この行列って並ぶ必要があるの?」


「これは入学試験の申し込みですので並ぶ必要が有るかと言われると無いですって返事になりますね。待つのが嫌なんですか?」


「だって、並んでいてもすること無いじゃん!屋台とか有ったら暇つぶしが出来るのに」


 亮二の発言に周りから「これから試験なのに屋台とかあり得ない」「誰だよあいつ?超可愛い子と一緒にいるけど」「これだから子供って嫌なのよね」「どうせ平民なんでしょ。行列にすら我慢して並べないなんて」などの声とともに冷たい視線が亮二を突き刺した。その中で亮二の事を面白そうに見ている5人程のグループが有ったので、亮二はそちらに向かって歩いて行くとリーダーぽい女の子に話しかけた。


「こんにちは。何で並ばないの?」


「こんにちはドリュグルの英雄さん。並ばないのは貴方と同じ理由だからよ。人数制限が有る訳じゃないし、疲れるから並ぶ必要が無いし、それにここで眺めていると楽しいのよ。行列で疲れている皆さんの本性が出てるからね」


「で、この集まりは皆さんお友達なんですか?」


 亮二の質問にリーダーの女の子を始めとして見つめ合うと笑い出した。


「違う、違う。ルシアが声を掛けてくれたから一緒にいるだけだよ。僕の名前はマテオ。で、君がドリュグルの英雄さんなの?噂で聞いた限りじゃもっと大きい人だと思っていた。婚約者の他に愛人が100人いるって本当?」


「違うから!婚約者は居るけど、愛人なんて居ないからね。しかも人数が前に聞いた人数の10倍になっているし!カレナリエンもそんな目をしないの!愛人なんて居ないんだからね!」


「でもリョージ様だから或いは居る可能性が…「居ないからね!それにリョージ様だからは禁止って言ったじゃん!」


 亮二とカレナリエンのやり取りを見ていた5人は、カレナリエンの名前を聞いて驚いたような顔をしたので「どうしたの?」と亮二が問い掛けるとマテオが代表して答えてくれた。


「リョージ君は知らないの?精霊の愛娘 カレナリエンって。ドリュグルの街を中心に活動している【B】ランク冒険者で、ギルドの受付嬢としても人気が高くて、もちろん冒険者としての能力は1級品で精霊魔法と回復魔法が得意なんだよ」


「えぇ!そんな凄い二つ名を持ってるのカレナリエン?1回も聞いたこと無いんだけど?」


「だって、聞かれませんでしたから」


 カレナリエンに二つ名がある事に驚いた亮二よりも、有名人であるカレナリエンがこの場にいる事に一同から質問があった。


「ちなみに、リョージ君とカレナリエンさんの関係って何?ドリュグルの英雄の護衛として依頼を受けて来たの?」


「いえ、私はリョージ様の婚約者でカレナリエンと申します。皆様、リョージ様の事をよろしくお願いしますね。学院での授業を受けるに当たっての助言です。もし、リョージ様と同じクラスになった方は、リョージ様が顔を輝かせた時は注意が必要です。ノリと勢いで物凄い事をしてきますので止められそうならお願いします。無理ならリョージ様だからと諦めて下さい」


「ええ!リョージ君の婚約者がカレナリエンさんなのですか!凄い!また、馴れ初めとか教えて下さい。それと、これから学院で何か有ればリョージ君だからって諦めればいいんですね。了解です!」


「え?了解しないでよ!そんな言葉を広げられたら学院に行きづらくなるじゃん!」


 カレナリエンと一同がいつの間にか馴染んだ感じになったので、亮二は【土】属性魔法でテーブルと椅子を創りだしてストレージから果物や飲み物を取り出すと「座って話そうよ」と切り出した。一同は目の前に突然現れたテーブルと椅子と、その上に置かれた果物や飲み物を唖然として眺めると何かに取り憑かれたように椅子に座った。


「じゃあ、せっかく入学前に友達になれたから乾杯でもしようよ。皆の出会いに乾杯!」


 亮二が勢い良くグラスを掲げて飲み干す様子を見て唖然としたままの一同を見てリョージ様だからとカレナリエンが呟くと、ハッと気付いたかのように一同は気を取り直してグラスを持つと飲み始めるのだった。

カレナリエンと皆が同じ様に悟った目をしていました……。

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