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104話 王都に到着4 -戦いに決着が付きましたね-

自重しないで勢いで行きます。

「お、俺の剣が!」


 門番は目の前には有るはずの剣がなくなっている事に理解が追いつかず呆然としたまま柄と鍔だけになった手元を眺めていた。亮二は笑顔の状態で門番に少しずつ近づいて行くと、門番は真っ青な顔になりながら少しずつ後退っていきながらも亮二の事を睨み付けていた。


 - 結構粘るな。どうするかな、このままだったら禍根を残しそうだな。君には悪いけど俺が王都で安心して楽しめるようにさせてもらうよ -


 亮二はそう考えながら門番に対して一歩づつ近付きながら”ライトニングニードル”と唱えた。亮二の頭上に光り輝く針が現れ、「Go!」の掛け声と共に門番の足元に突き刺さった。驚いた門番は大きく飛び退ると亮二は更に一歩進んで”ライトニングニードル2連”と唱えて再び解き放つと、門番の右足と左足のすぐ近くに突き刺さった。


「おい!ふざけるな!」


「”ライトニングニードル4連”」


「やめろ!」


「”ライトニングニードル16連”」


「ちょ、ちょっと待…「”ライトニングニードル64連”」」


 16連を足元に受けた時に真っ青な顔が蒼白になって足を縺れさせて倒れており、64連が体を掠った時には足が空回りするような状態になっていた。門番の顔色が蒼白な顔から土気色になっているのを確認した亮二は、無表情で一歩ずつ近付くと「”ライトニングニードル256連”」と呟いて「動くなよ、動くと死ぬぞ」と呟きながら解き放った”ライトニングニードル”は門番の周りに突き刺さったが、消える事なくそのままの状態で突き刺さると檻のようになった。檻になった時点で初めて亮二は満面の笑みを浮かべると、爽やかな声で門番に語りかけた。


「喧嘩を売る相手を間違ったよね。大丈夫だよ。怪我なんてさせないから。これ以上、俺の事を思い出したくもないようにするだけだから。って事で”ライトニングニードル512連”いってみようか」


「そこまでにしてもらおう。リョージ殿」


 亮二が”ライトニングニードル”を発動する直前に背後から声がかかった。亮二は困ったような顔をしながら背後を振り向くと、声を掛けてきた人物に語りかけた。


「邪魔しないでもらえますか?こっちは謂れのない強制連行をされそうになっていて、仕方なしに緊急避難的な戦いを強いられているんですよ。今この瞬間にも反撃されるかもしれないってのに」


「非がどちらにあるかは確認済みだ。よって君に罰が下ることはないから安心してくれ」


「彼の恨みを買っています。それに彼は随伴している兵士に男爵次男である事を強調して戦闘を強要してました。その対応もしておかないと」


「その心配もない。そいつの心は折れているようにしか見えないから、恨みについても大丈夫だろうし、兵士達については男爵の力が及ばない事をここで約束させてもらおう」


 そう言い切られたので亮二はゆとりを持って相手の姿を眺める事が出来た。亮二の前に立っていたのは全身鎧を身に纏っている長身の男性であり、背中にはラージシールドを背負い腰には長剣を下げていた。


「貴方の名前は?いきなり見ず知らずの方に『止めろ』と言われましても困ります。兵士さん達の事もお願いしたいので」


「そうか、それは済まなかった。我が名は”マクシモヴィチ=ガミドフ”。そこで土気色をしている門番の兄でもある」


 亮二は”マクシモヴィチ=ガミドフ”と名乗った男性に対して目を見開くと「兄?」と聞き返した。マクシモヴィチは亮二の問いかけには答えずに、亮二の横を通り過ぎると門番に近付き見下ろした。


「兄さん、助けてください!殺されてしまいます。あ奴は我ら貴族に対して反逆を行ったのです。たかだか騎士の分際で男爵家次男の私に暴力を振るったのですよ!」


「その割にはどこも怪我をしていないようだが?それに、彼が貴族に対して反逆を行った証拠でもあるのか?」


「証拠は私です!見てくださいこの剣を!こんなになるまで攻撃を受けたのですよ!これが証拠です!」


「いい加減にしろ!」


 マクシモヴィチの一喝に門番は体を震わせると「しかし…」と続けようとしたが、”ライトニングニードル”で檻のようになった場所から門番を引きずり出されると、胸ぐらを掴んで思いっきり殴りつけられた。


「まだ言うか!このガミドフ家の面汚しが!この件については父に報告させてもらう。何とか門番としての職を用意した父の顔にも泥を塗りおって!もう庇いきれん。これからは修道院で性根を叩き直してもうからそのつもりでいろ!リョージ殿、本当に済まなかった。この詫びに関しては後日改めてさせてもらおう」


 マクシモヴィチの言葉に門番は完全に打ちひしがれるように動かなくなったのを確認すると、兵士達に向かって「リョージ殿をハーロルト公の下に連れて行ってくれ」と命令して門番を担ぎ上げてマクシモヴィチは去っていった。


「上手くやられたね」


「上手くやられたんですか?」


「そうだよ、結局あの門番の罪を問えなかったじゃん。あそこまで言われたらこれ以上追及できないよね。あっ!大事なことを忘れてた!」


 突然、亮二が叫びだしたので全員が驚いた顔をして亮二を見て、カレナリエンが代表で「何を忘れてたんですか?」と問い質した。


「誰か、あの門番の名前を教えてよ!俺はお兄さんの”マクシモヴィチ=ガミドフ”って名前しか聞いてないよ!このままだったら彼は”門番A”で終わるよ?」


 亮二の真剣な声に全員から「「「どうでもいい」」」とツッコミが入るのだった。


◇□◇□◇□


「ちなみにリョージ様。あの”ライトニングニードル”ってどこまでやるつもりだったんですか?」


「え?取り敢えず2の倍数で行くつもりだったから、最後は65536連まではするつもりだったよ?」


「…絶対に止めて下さいね」

結局、マクシモヴィチさんにいいとこ全部持ってかれました……。

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