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96話 森に突入5 -報酬がいっぱいですね-

テンション最高潮です!

 息絶えたドラゴンの上に乗り上げて息の荒い亮二が“ミスリルの剣”を高々と掲げて叫んだのを引き継ぐようにファンファーレが鳴り響き、戦闘開始を告げた無機質な女性の声が再び聞こえてきた。


「おめでとうございます。1人モードでのクリア時間は途中でのルール違反によるペナルティーとして2時間を追加し、5日と13時間40分となり最短記録となりました。記録更新されたプレーヤーに対し、特別報酬として“盤面の森”の下位管理者権限がプレゼントされました。名前の登録を行いますか?行われない場合はそのままスキップして下さい。登録作業終了後に報酬の説明に入ります」


「下位管理者権限?なんだそれ?」


 空から降ってきている声に対して亮二が呟くと先ほどの女性の声で「ヘルプ機能発動、下位管理者権限について説明を行います」と声がすると回答が返ってきた。


「下位管理者権限は“盤面の森”を管理する権限となります。盤面の作り変えや、ラスボスを含む魔物の配置及び休憩所の設置などの他にモードの設定が可能です。但し、設置規定数以上の配置は不可能となります。有効期限は1年間ですが、クリアするユーザーが現れない限りは管理者権限は亮二様のままとなります」


「さっきから俺の世界の言葉を喋ってる感じがするんだけど、気のせいじゃないよね?ラスボスとかクリアとか言ってるし」


「ヘルプ機能に関しては“盤面の森”を作った作成者の情報が元になっています。ご質問の件については私は答えを持っていません」


 亮二の質問に関して的確な答えが返ってきたが、喋っている内容がセーフィリアの世界の単語ではないものが多数混じっており、不思議に思った亮二は重ねて質問をしたが明確な答えは返ってかった。


「まっ、いっか。ちなみに2位のタイムは分かる?」


「2位のタイムは7日と16時間25分となります。プレーヤー名は「アマデオ=サンドストレム」になります。最終ログイン時間は188,596日前です」


「え?プレーヤー名と最終ログイン時間をもう一回!」


「プレーヤー名は「アマデオ=サンドストレム」、最終ログイン時間は188,596日前です」


 - えぇと、なんか凄い数字が出て来たな。188,596日?365日で割って500年前くらいか、随分前から誰もやってなかったんだな。それもそうか、そんな情報が有れば冒険者の誰かがやってるだろうしな -


「プレーヤーの亮二様。名前の登録を行いますか?」


「おぉ、そうだな。じゃあプレーヤー名“リョージ・ウチノ”で登録する」


「畏まりました。プレーヤー名“リョージ・ウチノ”様で登録致しました。同時に下位管理者権限を付与しましたので盤面の変更等が有りましたらご連絡下さい。それでは次に報酬をお渡しさせて頂きます」


 空から流れてくる無機質な女性の声に「待ってました!」と相槌を入れる亮二であった。


 ◇□◇□◇□


「クリア報酬については“ドラゴンの財貨箱”“魔道具2点”“ミスリル鉱石3Kg”“ワイバーン魔石30個”となります」


「まじで!そんなに貰えるの?魔道具2点ってなに?」


 大盤振る舞いと言って良い報酬の質と量に驚きの声を上げた亮二に対して無機質な女性の声が返ってきた。


「魔道具2点は“流水の剣”と“拡張の部屋”になります」


「なんだ?“拡張の部屋”って?検索したら出てくるのか?インタフェース起動、“拡張の部屋”とついでに“流水の剣”を検索」


 - 拡張の部屋 -

 手のひらサイズの箱だが壁に貼り付ける事で扉に変わり、扉を開けて中に入ると台所と10人程度が寝れる大きさの部屋がある。取り外しは自由だが、中に人がいる場合は扉を取り外すことは出来ない


 - 流水の剣 -

 流れるような刃紋が見るものを惹きつける剣。切れ味自体は鉄剣と変わらないが攻撃を行うと【水】属性付与が自動で追加される。


「へぇ、両方共いいじゃん。特に“拡張の部屋”なんて馬車に取り付けたら布団を敷いて寝れるんじゃん」


「報酬は以上となります。その他で何か質問は有りませんか?」


 亮二はドラゴンの前に現れた報酬を全てストレージに仕舞いこみながら空に向かって質問を行った。


「盤面変更時の連絡方法は?」


「そちらに関しては亮二様がお使いのインタフェース経由でメッセージを送って頂ければ対応させて頂きます」


「そんな事も出来るんだ。これって俺だけしか使えないと思っていた」


「原理的には前回の管理者と同じですので微調整で大丈夫です。他にご質問は有りませんか?」


“盤面の森”に関係する質問以外は「ご質問の件については私は答えを持っていません」を繰り返された亮二は、これ以上の情報を収集する事は出来ないと判断し、質問を終わらせた。


「では、1年間よろしくお願いします。ご利用ありがとうございました」


 空から降ってきた声が聞こえなくなったと同時に「リョージ様、ご無事ですか!」とカレナリエンやメルタの声が聞こえてきたので、声の方に向かって手を振ると馬車を連れてくるように指示を出すのだった。


 ◇□◇□◇□


「リョージ様、これってドラゴンですよね」


 呆然とした様子でドラゴンを見上げながら呟いたメルタに対して、亮二は満面の笑みで「そう!倒すの大変だった」と返すと、カレナリエンからこめかみを押さえながら話しかけてきた。


「なんか、マルコの気苦労が物凄く分かった気がします。いいですか、リョージ様。ドラゴンは1人で倒せる魔物ではないんですよ。それこそ【A】ランク冒険者をレイドクラスで集めて作戦を立てて、やっと勝つ見込みが出てくるんですよ。それを1人で倒しちゃうなんて。ひょっとして財宝持ちのドラゴンじゃないから若いドラゴンだったのかな?それだったら強さもそれ程ではないから、リョージ様だったから1人ででも倒せたのかも」


 カレナリエンの最後は独り言になったような返答に“ドラゴンの財貨箱”が報酬にあった事を隠して、報酬を貰ったことを話しだした。


「そう言えば“盤面の森”について分かったよ。これって、最初に魔ウサギが現れた所からこの広場まで来てドラゴンを倒すまでの時間を競うゲームみたい。俺が最短記録を更新したから、この森の管理者になったんだけど問題ないよね?」


「げ、ゲームですか?ドラゴンを倒すのが?流石にそれは王都に行って判断してもらいましょう。領土的にはこちらの貴族の物になりますが、今回の場合はかなり微妙ですので王家に判断を求める事なりますね」


 カレナリエンと亮二の会話を聞きながら何とか平常状態に戻ったメルタや文官たちが会話に参加してきた。


「先程、報酬が出たって仰ってましたけど何が出たんですか?」


「あぁ、それはこれだよ」


 ストレージから“拡張の部屋”と“流水の剣”や“ミスリル鉱石1kg”を取り出すと周りに見えるように置いて説明を始めるのだった。

“ドラゴンの財貨箱”“ワイバーンの魔石”“ミスリル鉱石”はへそくりってコトで…。

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