第80話 信じるものは足元を掬われる
自称守護者の彼が迷宮主の所へ案内してくれるとのことで、
僕達は彼について迷宮の中に入っていった。
迷宮の中は雪が降る中、
僕の迷宮にもいる、大鬼昼顔を初めとする、
多くの植物系のモンスター達がいたけれど、
どれひとつとして僕達に襲い掛かってはこなかった。
これはきっとこの男が信用されているということなのだろう。
片思いとは言っているが信頼は置かれている、と。
「遥さん。」
「何かな、摂理。」
「女の子が全く何とも思っていない相手をここまで信頼すると思いますか?」
「さあね、でもそれもどうでもいいことだ。」
福音は他ならぬ僕の手で死ぬ。
小声で摂理と話をしていると遂に最後にまで来た。
「次が福音さんの場所です。
アレイクです。入ります。」
どうやら男の名前はアレイクというらしい。
酷くどうでもいい情報だ。
それよりも管理室がありながら管理室ではなく、モンスター達に常に絶対命令権を持った上で、
大量の大鬼昼顔がいるその一つ手前の階層にいるとは随分変わっている。
その最奥にいた雪のように白い髪を持った女性は、
「アレイクと…、お客さん?」
足音で複数人いると聞き分けたのかそう言いながら振り向く。
「せ……摂理様っ!?どうしてここに?」
「そ、それは…。」
摂理は歯切れが悪い。それはそうだろう。知り合いなのだから。
「簡単な事さ。君を殺しに来た。」
そう言いながらアレイクの片腕を薙刀を振り斬り落とす。
「お前「君はそこで見ていると良いさ。
愛するものが奪われる苦しみを味わいながらね。」ぐあ”あ”あ”っっ!!」
ついでにその腕の付け根を蹴飛ばしてやれば、
中々いい反応をしてくれる。
「アレイクッッ!!貴女っ!!」
貴男ではなく貴女と聞こえるのは聞き間違いでは無い筈だ。
「どうするのかな。君の元上司をも従がえる僕に、君の勝ち目は?」
「摂理様…?どうなっているんですか?」
「………ごめんなさい。本当にごめんなさい。」
「摂理は手を出さなくていいよ。
彼女の始末もすぐに終わる。
そんな事よりも迷宮核を取りに行っててくれるかな。
知り合いが死ぬところ、見たくないよね。」
そう言って僕は指をさす。
その先には次の階層への入り口があった。




