第6話 ずーっと下にスクロールした所に書いてある規約について
また次の日、朝起きると105ptポイントが回復していた。
昨日よりも自然回復量が5pt増えたということは僕自身が成長したということか。
これで現在は295pt。
モーニングは摂理がコーヒーとパンを用意してくれていた。
因みに2人分で1ptかかった。
「ありがとう。」
でも僕は紅茶の方が好きかな。
「明日からは紅茶をお願いしてもいいかな?」
大容量紅茶お得セットに4pt使った。
早速、第一階層、浅瀬(未開放)の様子を見てみる。
この浅瀬というステージは実際には砂浜の方が多い。
割合で言うと砂浜70%浅瀬30%というところだ。
取り敢えずは本命の礁湖雀蜂の様子を見る。
良かった。元気そうだ。彼女はいずれ成虫になった時には此処のボスになってもらおうと思っている。
生き延びていてもらわなければ困るのだ。
そして彼女の王国を作ってもらう。
大量の働き蜂による群体だ。
その為に、単体生殖のほかに対してスキルを持たない御剛沙蚕をチョイスした。
摂理曰く捕食などによってスキルが追加されることもあるそうだ。
それを活用したい。
後は毒にも強いそうなので、いずれは毒しか強みが無いようなモンスターをエサとして与えてやろうとも思う。
ゴゴゴカイ達の1匹が偶然目に入ったが、
これは昨日の個体だろうか?
……まだ流石に繁殖はしていないだろうと思う。
今日は宣伝用アイテムにポイントをつぎ込むことにする。
宣伝に80pt
宣伝につぎ込むポイントは任意だ。
多くつぎ込めばビラが配られる範囲が増える。
そして配送速度に速達と普通と鈍足があるが、鈍足にしておくと割安になる。
今回は鈍足にしてある。
その上でこの80ptだ。
80ptも使うのはやり過ぎだというものもいるかもしれないが、
僕はそうは思わない。
そして見栄だけではない。
中身もそろえておく。
最大アイテム発生個数増加で30pt
アイテムの質向上に20pt
一部中にアイテムが入っている宝箱を開けるのに、
スキルや道具など所要の手間がかかる、
そして宝箱用の鍵に10ptだ。
多少中身が伴わなくても鍵がかかった開けられない宝箱があるというだけで、
此処のアイテムへの期待値が上がるうえに、
その時開けられなかった者は、
リピーターになってまた今度は鍵を開ける用意をしたうえで来るかもしれない。
宣伝が届くのに鈍足にした理由は、ビラにも書いてある通り、
オープンはだいぶ先だ。それまでは唯一の1階層ですら未開放だ。
そして第二の理由として、速達だと届く速度がほぼ一律だが、
鈍足にしておくと近いところから徐々に徐々に情報が広がる。
運が良ければビラを見て情報を知ったものが別の町に行った時にもう一度ビラを見て、
欲望が刺激されるかもしれない。
更にこうすることで人々の記憶の風化の防止にもつとまるし、
一度に人が押し寄せることもなくなるからだ。
この世界がまだ未開だからこそこの手段だ。
高速情報化社会なら完成間近になってから一気に速達で送った方が効率がいいはずだ。
残りポイントが150ptになったので、まだセール中の御剛沙蚕を更に買い込む。
30pt消費して更に5匹だ。
とここまでしていた時、何処かいけ好かない顔をした男がやってきた。
どことなく僕の父親をチャラ男にしたような風貌で、
好意的に思える要素が何一つ見当たらない。
「ちわーっす。借金取りです。
ダンジョンのレンタル料貰いに来ました。」
おまけに利益的にもこいつは受け入れられないな。
「レンタル?ダンジョンは購入じゃないのか?」
情報を隠していた摂理を睨みつけてやりたいが部下をうまく使いこなせなかった僕にも責任はある。
様々なものにptがかかる以上ダンジョンの精製コストも聞いておけばよかったと考えればわかることだ。
僕の落ち度だ。
「だったらもっとたけ~よ。ほらレンタル代金。」
「幾らだ。」
「1週間で10pt。半月で17pt。1ヶ月で30ptでーす。
……払ってくれるよなぁ。」
払ってやろう。払ってやろうとも。
「因みに購入するにはおいくらで?」
「1000pt。…無理っしょ。
因みに階層が増えるごとに更に1000pt追加ね。」
なるほど。
この世界でダンジョンマスターをしていくにあたって、
初期ポイントと回復量が重要なことはよく解かった。
「解かった。今回は2週間分払ってやる。2週間後、
いや既に3日経ったから10日後にまた来い。」
「まいど~。あぁ摂理ちゃん最近お話してないねぇ。
また今度た~っぷりお話ししようか。じゃあ、まいど。」
僕は借金取りだとかいう男に17pt払った。
「……摂理、話がある。」
「御免なさい。遥さん。私、この事は口止めされていて。」
だろうね。新米ダンジョンマスターを引っかけるいい罠だ。
「そんなことはどうでもいい。奴は誰だ。」
「すみません。それも言えません。」
それでだいたいわかった。
摂理が口止めされて逆らえない相手。
そんなものは一つしかいない。
世界かその駒か、だ。
「摂理。」
「はい。」
「ダンジョンの成長は暫く遅くしておいてくれ。
それと、――――――今日からの10日間。節約生活だ。」
姫宮遥のポイント 残り103pt