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第47話 どうせ全員殺すのなら救護兵や民間人は先に殺せ

「蹴散らせ。」


「はい。」



緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)に対し、

摂理は羽を出す雰囲気は無い。


「摂理、羽は?」


「他者の迷宮(めいきゅう)内では負担が大きいので…。」



「そうか、なら燃やせばいい。

徹底的に燃やしつくせ。」


「…いいですけど煙くなったりしませんか?

この階層は埃っぽくてやけに天井も狭そうですし。」



「それも解かって言っている。

やってくれるよね。」


「はい。」



僕は僕のやるべきことをする。

薙刀の刃を構え、突き刺し、突き刺し、突き刺す。

醜劣悪人(ゴブリン)達より、遥かに俊敏さも優れている。


力はどうかわからないけれど、

爪の代わりにシュシュの様な腕の先から出ている3本の骨はなかなか鋭そうだ。


掴まって試してみるつもりは無い。

そう思いながらただひたすらに無駄を省き、

けれども安全圏を確保したまま

緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)細長い手足の先からでた骨以上に長い薙刀でその腕を切り裂く。


薙刀と槍の違いは切り裂きに薙刀の方が向いていること。

槍で相手の長物の柄を切ることは難しいけれど薙刀ではそれほどでもない。

薙刀対槍の技術をこういうところで生かせるとは思ってもいなかった。



水に浮かんだ危ない廃油の様な黒ずんだ緑色の血を流し、

緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)達が地面に倒れていく。

何故かその身体が糸状になって地面に解けそうになっていく手前で、

他の緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)が口に仲間を詰め込んだり、

他の仲間の口に緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)を押し込んで、

破裂を繰り返しては数を戻そうとしている。


…なるほど?

食用とはいえ、仲間がそのまま死んで身体が解けていくのは嫌なわけだね。



「まずは1体。」


取り敢えず1体を殺す。

そうするとそれを明らかに意識した動きで他の緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)が駆け寄る。


そこを、刺す。


「2体目。」


「3体目。」

それに駆け寄る3体目も同様に殺す。


まるで負傷兵を助けに来る救護兵を撃ち殺す狙撃手(スナイパー)の気分だ。

救護兵を殺すのが国際法的にどうなのかは知らないけれど、

この世界には少なくともそのような法は無い。

軍人だって無い法には従わない。

この戦場の法は、勝者(ぼく)が決める。



…そろそろかな。

摂理がつけた火が煙を上げて燃え上がっている。

松明(グリーンスレイブス)がいいのかもしれない。


周囲の緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)が気が付くのも時間の問題かもしれない。

少しは遅れるかな、僕達に気が付くのも遅かったから。


「…6体目―――来た。」


ようやく緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)達が気が付いたようだ。

煙が嫌なのかどうなのかわからないけれど逃げ出している。

まあよくわからない重油の様な何かが燃えているからね。

その煙を吸っていい気分はしないだろう。



そして問題は緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)が皆揃って逃げ出した方向だ。

そこに第2階層脱出口(第3階層の入り口)がある。


それにしても…。


「摂理、燃やし過ぎじゃないのかな。」

あちらこちらから火の手が上がっている。

まるでここが火葬場のようだ。


「わっ、私じゃありません。」



じゃあいったい誰が…。

その疑問はすぐに解決した。


「見てくれ、あの緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)の束を。」


僕の指差した方向には確かに第3階層への入り淵があった。

けれども、その手前で全ての緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)がふら付いている。

煙がまわるには早すぎる。


そう思っていると第3階層に一番近かった緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)が両腕を齧り、

隣で同じようにした緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)と腕の切り口を繋げて、

その緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)も同じように更に横の緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)と腕の切り口を繋げる。

そうして輪を作った中には何体かの緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)が固まっていた。


それら全ての緑色乃奴隷(グリーンスレイブス)が一斉に震えだし、

口から緑色の液体のような煙か靄の様なものを吐き出し、

バタバタと倒れては身体が解けて地面に沈んでいった。


その吐き出された煙だけが空に蠢いている。



「やはり、ここはあの子の…。」


摂理…、君は何を、知っている?

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