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第124話 Get back

僕達(ぼく)恩人(こいがたき)が光の粉となり、再び無の世界へと還っていく。

彼が最後に見せた黄金の翼と同じ色だった。

…借金回収に黄金の光。

つくづく『金』に縁がある男だ。

金を集めに奔走した男が、金をばら撒きながら無へと帰っていく。

何処か皮肉で、何処か一貫して成し遂げられたその死には、

ある意味羨ましさを覚えなくもない。

…少なくとも、一番大事なものは彼はその流儀に従って護りぬいたわけだから。



感じるのは感謝と憂愁と敗北感。

姫宮家は負けてはいけない。

姫宮遥は負けない。

『僕』は負けたくない。


けれどこの胸に宿る2度目の弱者の敗北を胸に刻め。


かつて僕が助かりたいが為にお母様に僕をその命を代償に助けさせたこと。

そして摂理を小難しいリスク回避の為に見捨てさせようとしたこと。


勝利への奢りではなく敗北への恐怖から敗者の道を辿るなど決して赦してはいけない。

勝利への最適解へ辿り着け。それが姫宮家の答えであり、姫宮遥の答えであり、

この世界に生きる『僕』の答えだ。




隣にいる摂理に視線を流すと哀愁漂う彼女はまだあの男が消えた場所を眺めていた。

かつての上司と部下であり、共に仕事を重ねてきた身だ。

思い出すことも多くあるだろう。


けれどここで待っていて再び神がここに現れないとも限らない。

そしてその時現状では勝ち得る手段が無い。

相手に強制的に絶望(バッドエンド)を誘導するシステムへの勝利手段は現状には無い。


「…摂理。帰ろうか、僕らの家へ。」


「…はい。遥さん。」




壊れた外壁には僕達を待つように海氷女皇雀蜂(デュカリス)が羽ばたいている。

僕達はその背に飛び乗って天界領域(しんいき)を去った。





「勝利の為ならば、その命を奉げられるかな。」


「…遥さん?」

ふと考え事をして呟いた声に摂理が反応する。


ああ、違うんだ摂理。

別に君にそれを言ったわけではないから。

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