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第112話 姫宮遥はヘタレ攻め

「残念です。では、あなたの持つ全てのコアと天使は私が喰らって神を殺す力にするとしましょう。」


そう言った男の背中から

左方向だけに4つの天使の羽が顕現する。

全く、共同経営者になる代わりに奥さんと家宝を全部下さいとは、

悪徳商売にも程があるね。



「後悔しても知りませんよ?」

男は発生した黒い球体を手袋の様につけている。



「後悔なんてするわけないさ。」

後悔など――――――――とうに終えた。



「この翼はすなわち私が喰らった天使の権能。

それぞれ、

モンスターの出入り許可。

モンスターの強化。

モンスターのコスト軽減。

人類種のモンスター扱い。


交渉は決裂だ。

出てこい、私の大勇者(モンスター)たちっ!!」



そう慇懃な訪問販売員のような口調から偉そうな言い方に変わった男が言うと、

その後ろから現れたのは、人間達だった。

欧州人の鎧武者、遊牧民風の騎馬兵、女子高生、ホステス風の女、眼鏡の男。


これが―――――――奴のモンスターか。

協力とはよく言ったものだ。

完全に彼の配下じゃないか。




「彼らは全員元マスターで私が捕えた天使を捕食済みだ。

この迷宮(ダンジョン)に大量のコアがあることは調べてある。

あの少年の迷宮に入れていた見張りのモンスターが、

少なくとも彼のダンジョンのコアを持ち去ったことは確認したからな。

後はあなたを倒して奪い返したコア融合能力で、

彼らにコアを食わせれば神を殺す兵士達の完成だ。」


他のコアが調べられていることは、

最初の全てのコアと、の時点で理解しているから再度説明してくれなくても結構だ。

それ以前に、なんというか、

「……無様だね。」


「なんですってっ!?」

ホステスが叫ぶ。そんなに怒りやすい女では店のNO1どころか、

問題を起こして店を辞めさせられそうだね。

第一僕はそのようなお店に興味が無いけれど、

仮に連れて行かれることがあっても恐らく僕が連れて行かれるような店のランクには入店できない類の女だ。



「だってそうだろう?

君達はかつて管理者たる一国一城の主だったんだろう?

それが今では一平社員となって係長(そのおとこ)に仕えている。

まあ、君達がどう落ちぶれようがどうでもいいけれどね。

ところで―――――――――君達の迷宮核(ダンジョンコア)は?」



「天界へ行くための移動手段、

『バベル』作製の為に使ったの。」

女子高生が答えてくれた。

ホステスよりは話が通じそうでありがたい。


「バベルについて説明してくれるかな。」


「いいよ。バベルは天界への移動手段を持たない私達が展開に行くための塔なの。

世界に対する認識阻害能力と迷宮の中以外のあらゆる場所への移動手段を持つ凄いものなんだから。」



「有益な情報をありがとう。…ところでこちら側についてみる気は無いかな。」


「うん、それは無理。さっきおじさんが喋っていたのを聞いてたけれど、

お金持ちで男の子なんでしょ?

凄く魅力的だけれど、わたしはこの5人では唯一自分の天使(しんゆう)を騙して殺したの。

世界を救う為にね。……あの子の為にも今更戻れない。」


そうか。それは仕方ない。


「ええっ!?それアタシ聞いてなかったんだけど。

イケメンでお金持ちなの?う~ん、アタシそっちについてあげるの考えてあげてもいいわよ?」


「そうか、ではお願いしようかな。」



「じゃあ、アタシを奥さんにして~。」

ホステスがそう言っていた時だった。


「兄さん。」

「もうやってる。」

女子高生に兄と呼ばれた眼鏡の男が伸ばした傘の持ち手の所で首を掛けられたホステス風の女は、

そのまま女子高生に何かを突き立てられた。



「ごめんなさい。別にあなたの事は嫌いでは無かったよ。裏切らなければ。

『DELETE』。」


「なによ、そんな…アタシなにかワルいこと、した…?」



下半身が粉になると共に、

ダルマ落としのように上半身が落ちていく。

見ようによっては女は地面に吸い込まれていくようにも見えた。


……なんだ、アレは。


呆然とする僕に馬に乗った男が軽い口調で言う。

「へ~嬢ちゃん、いや、坊ちゃんだったか。

まぁオレっちどっちでもイケるけど。

元の世界なら身代金も…いや失礼、忘れてくれ。

今の見てビビっちゃった?

降参してくれるなら許してくれるかもしれないよ?

うちのボス利益になることにはカシコイ人だから。

坊ちゃんもカシコクなれよ?」


凄いとしか言いようがない。

「本当に凄いね。感心するよ。

世界を敵に回そうとするメンバーの一人が、

こんなにも簡単にやられてしまうのだから。」




「へぇ、強がり言っちゃってる、

ワケじゃなさそーだな。ボス、この坊ちゃんオレっちにヤラせてよ。」


「構わない。味方に付かないのならマイナスをゼロにすることは私は推奨する。

解かってるとは思うが、やるからには結果を出せよエスク。」


「当然っしょ。オレっち結果出すオトコだから。」

騎馬兵と園出が会話する。会話の端から性質がにじみ出ている。



怜早(れいさ)、…BLは好きか?」


「兄さん、わたしを腐女子扱いしないで。」



「では彼は受けだと思う、攻めだと思う?俺には総受けに見える。」


「どう見てもヘタレ攻め…って違う、違うの。

兄さんのバカっ。」


こちらの兄妹の会話は聞いておく必要はなさそうだ。

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