第10話 海老で鯛を釣る?いえいえ、ミミズなら魚人が連れますよ?
次の日早速侵入者が来た。
男の魚人だった。
……いきなり来たか。
魚人は浅瀬に潜って御剛沙蚕達を捌きながら宝箱を物色していた。
そのうちにまだ深みがあることを発見したのか潜っていった。
そして海底にも宝箱があるのを偶然発見し、
思いの外それがいいものだったので、他にないかと探しているところで次の階層を見つけたようだった。
…なぜそこまでわかるか、だって?
モニターで見ているからさ。
モニターには300ptかかった。1階層だけの時にはその3分の1の値段で買えたらしい。
…惜しい事をした。
魚人が3階に降りてきたときに僕は両方に刃が着いた薙刀を持って水を被った後出迎えた。
「あれ、貴方もこのダンジョンを見つけたのですか?
いや、いいですね貴方は。潜るのが得意そうで。
僕なんてもう少しで溺れ死んでました。」
「そうかい。嬢ちゃんもかい。
それにしてもこのダンジョンはすげえなあ。
出来たばかりなんだろうけど、1階層からいきなり『海』なんてものがある。
この2階層は浅瀬だけど油断はできねえよなぁ。」
そういって僕に背を向けて笑う魚人に薙刀を振るった。
右腕が落ち、胴体の中ほどにまで薙刀が食い込んだ魚人は何か口をパクパクさせている。
…所詮は魚か。酸欠かな?
「僕のダンジョンを褒めていただきありがとうございます。
でも油断はできないといいながら油断するなんて並大抵でやれることじゃないですよ?」
こうして、魚人はダンジョンの贄となった。
1200ptものポイントになってくれたことは非常にありがたい。
次の日は何故こんな辺鄙な場所にやってこれたかは知らないけれど、
人間の少年と少女が来た。
彼らは特に何かするわけでもなく宝箱を一つ開けてすぐに帰っていった。
それくらいが一番賢いと僕は素直に感心した。