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真・恋姫†夢想~世界樹の史~  作者: genji丸
真・恋姫†夢想~歩みの葉編
9/23

第壱廻 またね

第一章の完結に伴い、新章に突入です。

強い一刀とオリキャラも登場します。

第壱廻 またね



荘周「貴方は誰?」


一刀「北郷一刀。」


荘周「君は誰?」


一刀「北郷一刀。」


荘周「お前は誰?」


一刀「北郷一刀。」


荘周「貴方の目的は破壊?」


一刀「いいえ。」


荘周「君の目的は修繕?」


一刀「はい。」


荘周「お前は---


   何処から来たの?」


一刀「   」


荘周「どこから…来たの?」


一刀「   」


荘周「どこから…ぐっ、えぐっ」

貂蝉「もう止めなさい荘周ちゃん。

   もう懲り懲りだわ、こんな姿のご主人様を眺めるのも、貴方の涙を見るのも。」


荘周「どうして!なんでなの!

   いつもみたいに軽口を言ってみせてよ!!もう一度…もう一度笑って見せてよ!!」

貂蝉「荘周ちゃん…。」


虚ろな瞳で横たわる青年。

彼の名は北郷一刀。歴史に名を残さない彼は外史での英雄である。


彼自身は気がついていないが、救ってきた外史の数は294,312廻。

三国志という狭い外史の中で、外史という広い世界の中で、喜びも痛みも蓄積していった。


プツリと切れた彼の糸は、もう戻ることはないと物語るかのように行き場をなくした。


英雄の歩みが止まると、外史の時間も寄り添うように歩幅を合わせる。

彼は歴史に名を残せない。

外史の発端から悠久の旅に出る彼は、とても曖昧な存在だから。


それでも、私にとっては何にも代え難い存在。

294,312…この数が示す通り、私は随分と長い、永い時を彼と過ごしたのだろう。


荘周「だから…言わなかったのかな?」

貂蝉「…。」


荘周「ううん、言えなかっただけ。

   貴方がもし、もしももう一度笑ってくれたら…その時は伝えるね?」

貂蝉「荘周ちゃん…。」


荘周「だから今はおやすみなさい、愛しの君。

   また…ね。」


英雄は消える。何も残さずに。







英雄の歩みとともに、彼女たちも歩みを止めた。



外史の根は、正史の草に。



正史の幹は、外史の葉に。



しかし、正史も外史も関係なく、物語は唐突に始まるのだった。







聖フランチェスカ

一刀は友人の及川とともに、教室で昼食をとっていた。


及川「…納得できん。」


一刀「何だよ藪から棒に。」


及川「なんでかずピーばっかりモテるんや!わいかて頑張っとるのに!!」


一刀「いやいやいや、別にモテてないだろ!

   彼女いた事ないし…あ~、いかん落ち込んできた…。」


及川「ほんまか~?こないだ不動先輩とデートしとったんちゃうん?」


一刀「ぶっ!

   違う違う!道着が破れちゃったって言ったら付き添ってくれて…」


及川「そら不思議やな~、道着を買うのに付き添いなんか要るん?」


一刀「ん~、不動先輩が言うには部活の備品のようなものだから…って。」


及川「朴念仁。」


一刀「なんか言った?」


及川「い~や、何も言っとらんよ。」


そこで及川は深呼吸をすると、急に大声で話しだした。


及川「そうか~!!一刀は誰とも付き合うてないんや~!!」


キラン☆

一刀「おい、恥ずかしいだろ!」

女生徒A「北郷くん!!」

一刀「はいぃぃ!!?」

女生徒A「今日の放課後なんだけど」

女生徒B「こら!抜け駆け禁止!!ところで北郷くん、よければ今度の日曜日…」

女生徒C「ちょっとちょっと!休日は反則!なら北郷くん、今晩私とホテルに」

女生徒AB「アウトーーー!!!!!」


一刀「あ、あははっ、みんな気を使ってくれてありがとう。

   でも大丈夫だよ!俺には部活があるし!一人な分頑張らなきゃ!」


女生徒「「「(全然伝わってない~~~~><)」」」


一刀「気持ちは嬉しかったよ。」にこっ


女生徒A「(きゅんっ)」

女生徒B「(きゅんっ)」

女生徒C「(じゅんっ)ちょっと私トイレに」

女生徒AB「アウト~~~///」


及川「はぁ~~~、こら不動先輩も苦労するわ。」




放課後、使い古した道着入れを持ち、そそくさと席を立つ一刀。


及川「なんや かずピー、今日も部活かいな。」


一刀「おう。大会も近いしな。」


及川「近い言うても、全国大会じゃ相手おらんやろ。

   別種目やのに世界選抜でトップランカーやし。」


一刀「そんなことないよ。強い相手も沢山いるし。」


及川「北郷流の本種目の合気道・盾剣術やったらどないになってまうん。」


一刀「あははっ、あまり使うことないからなぁ。

   でも、修行してもっと強くならないと!この間も熊に負けそうになったし!」


及川「…はい?え、ちょっと待って、熊?」


一刀「うん、爺さんの道場に向かう途中でさ、縄張り争いしてる三頭のヒグマが出てきてビックリしたよ。

   一本取られるかとヒヤヒヤした。」


及川「ヒグマを三頭て…。引くわ。

   え、そのヒグマはどないしたん?」


一刀「美味しかった~!」ほっこり


女生徒A「(きゅんっ)」

女生徒B「(きゅんっ)」

女生徒C「(じゅんっ)ちょっと私トイレに」

女生徒AB「え、何で?!」


及川「はぁ~、そないに強なって、修行に打ち込んでどないするん?」


一刀「約束したんだ。修行を怠らないって。」


及川「誰と?」


一刀「誰とだろう?」


ズッコける及川。


及川「な、なんやそれ。」


一刀「誰かがね、夢で俺に語りかけてくるんだ。『またね。』って。多分その人かな?」


及川「夢の誰かて…そらまた曖昧な存在やな。」


一刀「曖昧でもいいんだよ。俺には届いてるんだから。

   じゃ、そろそろ行くよ。またな。」


及川「はいは~い、行ってらっしゃい。


   ん?おたくらは何してるん?」


女生徒A「あぁ、お気になさらず。この超高性能ウルトラハイスピードカメラはただの情報収集用ですから。」

女生徒B「そうね、この暗視ゴーグルと発信機も念のため持っているだけですわ。」

女生徒C「えぇ、もちろん今履いてるパンツもすり替える用です。」

女生徒AB「アウトーーーー!!」

女生徒C「あっ。」


及川「おい、どないしたん?」


女生徒C「お気になさらず。軽くイッただけですので。」

及川「色々と大丈夫なんあんた!!??」






聖フランチェスカ・道場にて



不動「せいっ!!やぁ!!!」

刀弦「甘いわい。」

不動「なっ?!あっ!

   …参りました。」


刀弦「ホッホ、腕を上げたがまだまだじゃの。」


不動「やはり、まだまだ修行が足りないでござるな。」


刀弦「まぁまぁ。不動の娘だけあって筋が良いからのう。まだこれからじゃろ。」


不動「有り難うございます!」


刀弦「ところで…。」


不動「はい?」


刀弦「もうウチの孫は落としたかの?」


不動「なっ///ななななな何をおっしゃってごじゃる?!///」


刀弦「なんじゃ、その様子じゃとまだのようじゃの。」


不動「うっ///」


刀弦「あ奴も朴念仁じゃからのう。

   もうあれじゃ、裸で迫ったらどうじゃ?」


不動「んなっ!?で、ででででできるわけありませんっ!!!」


刀弦「初心じゃのう。

   あやつも年頃。持っとるえっちなビデオは迫られるしちゅえーしょんが多いのう。」

不動「その話詳しく聞かせてください!!!!」

刀弦「ホッホ、ひ孫の顔が楽しみじゃ。」

不動「///」



女生徒A「聞きました?」

女生徒B「勿論聞きましたわ。」

女生徒C「えぇ、しっかりとイキました。」

女生徒AB「天丼は三回まで!!」

女生徒C「あふっ♪」





一刀「失礼します!!

   って、爺ちゃん来てたの?!」


刀弦「おぉ、一刀!邪魔しとるぞい。」


一刀「せっかくだし組手しようよ!」


刀弦「馬鹿モン!この老耄じゃもう神童には敵わんわい。」


一刀「う~、じゃあ不動先輩!百本組手お願いします!!」

不動「殺す気でござるか?!」


刀弦「やれやれ、一刀や。お主の強さは技術でも、力でもない。

   心の強さと素直さ、そしてその吸収力じゃ。

   

   足りぬものは覚悟のみ。」


一刀「覚悟…。」


刀弦「そうじゃな。

   例えばじゃ、北郷流は元来殺しに特化した技術じゃ。

   今の世じゃそうそう使わんじゃろう。


   じゃがな、もし悪漢に不動のお嬢ちゃんが襲われていたとしよう。それも、お主と同じくらい強く邪悪なものにじゃ。」


一刀「…。」


刀弦「お主、その悪漢を殺せるか?

   もちろん、殺しは良くないことじゃが、何かを守るというのはそれと同様の覚悟が必要じゃ。」


一刀「俺は…。」


刀弦「…。」


一刀「出来るよ。」


刀弦「辛いぞ?」


一刀「不動先輩を失うほうが辛い。」バタッ


刀弦「…よう言うた。それでえぇ。

   とうとう免許皆伝じゃな。」


一刀「えぇ?!良いの?!」


刀弦「当然じゃ。

   その為に来たんじゃから。ほれ、皆伝の証に我が家に伝わる盾と剣を授けよう。」


一刀「これは…すごく綺麗な盾だね。

   ん?裏に収納スペースがある!もう住めそうだここに!」


刀弦「(住む??)この盾と剣はな、いつの間にか我が家に伝わったものじゃそうじゃが…。」


一刀「どうかしたの?」


刀弦「切れんのじゃよ。刃こぼれ一つしとらんのに、全くな。

   盾も同じじゃ。どんな使い手が使おうとも、ことごとく敗れ去る。」


一刀「いわく付きってやつ??」


刀弦「うむ。それでも長きに渡り伝わったということは…この武具も探しておるんじゃろうな。使い手を。」


一刀「そうか…。

   見てよ不動先輩!この盾…不動先輩?!」


刀弦「あぁ、嬢ちゃんならさっきから気絶しとるぞ。」


一刀「なぜ?!」


刀弦「…お主の言葉を思い出すとえぇわい。」


一刀「ふ、不動先輩!不動先輩!」

不動「うにゅ~~~~~~~~///」ぷしゅー


刀弦「(何やら胸騒ぎがして来てみたが…やつの目が旅の時を告げておる。

    ホッホ、ひ孫は当分お預けかの。)」





聖フランチェスカ・寮へと続く林道


一刀「ふ~っ、すっかり遅くなちゃったな。」


いつものように林道を抜けると、視界を何かが横切った。


一刀「ん?

   …ここの生徒じゃないな。あっちは確か…展示館があるはず。」


後を追う一刀。

展示館の一角、青銅の鏡の前にその男は居た。


左慈「ちっ、ここでも無いか。」


一刀「おい!」


左慈「っ?!バカな。見つかった!?」


一刀「そこで何をしてる!」


左慈「北郷…一刀だと?!」


一刀「え?どこかで会ったかな?」


左慈「そんなバカな!お前は…!」


一刀「何をそんなに狼狽えてるんだ?」


左慈「お前は存在しないはずだ!!」


一刀「…え?」


左慈「何故お前がここに居る?!

   いや、そんな事はどうでもいい。


   説明している時間がないから手短に言う。貴様が死んで止まった外史がまた動き出した。

   それも、我ら管理者を受け付けずにな。」


一刀「俺が死んで?外史?ちょ、ちょっと何だよそれ!」


左慈「説明している時間はないと言ったはずだ!

   早くこの鏡の前に立て!!」


一刀「え、ちょっ!」


左慈「思い浮かべろ!」

一刀「何を?!」

左慈「扉でも何でもいい!!」

一刀「思えって言われても…

        ドクン

            えっ?

    ドクン

      ドクン

  『またね。』

           ドクン

         ドクン

       『笑ってよ。』

                ドクン。」





         【外史の扉を開きましょう。】







まばゆい光が舞い降りる。


荘周「うそ…でしょ?」

貂蝉「ありえないわ!!ご主人様はもう!!」


暗い空間をただただ照らす流星を、荘周は必死に追った。

躓いても構わない。涙で目が霞んで見えなくても、その光を追う。


その光は突如として現れた扉に吸い込まれていった。

光から聞こえた声は幻聴だったか。

荘周の耳には『またね。』と確かに響いていた。


荘周「こんなことが…。」

貂蝉「見て!荘周ちゃん!外史が!」

荘周「?!」

貂蝉「外史が動き出したわ!英雄の帰還よ!!」



あれがもし、私の希望の光りなら。

もし待ち焦がれた光なら。

私は今度こそ間違わない!!












Another view 董卓



賈詡「ごめんね月~、こんなに遅くなっちゃって。」


董卓「ううん、仕方ないよ。お仕事忙しかったもんね?」


賈詡「あの領主…小娘だと思って足元見てくれちゃって…!

   月を夜道に歩かせるなんて危ないのに!」


華雄「何を異な事を。その為に我らが要るのだろう?」

張遼「せやせや。」


董卓「ふふっ、いつも有り難うございます。


   あ、そうだ。皆さん、こんな話を御存知ですか?」


賈詡「??」


董卓「流星より天の御遣いが舞い降り、そのものは天下に平和をもたらす…って。」


賈詡「何かと思えば、管路のインチキ占いじゃない。

   (でも、そんな人が本当に現れてくれたら…。月だけでも守ってほしい。)」


董卓「ふふっ。」


賈詡「ど、どうしたの月?」


董卓「詠ちゃん、本当は占いとか大好きだもんね?」


賈詡「ち、ちがっ!」

張遼「なっ?!」

賈詡「そんなに驚くことないじゃない!!」

張遼「ちゃうちゃう!!みんな上見てみ!!」


私は言われたとおりに夜空を見上げました。

そこには眩いばかりの流星が一筋流れていました。


賈詡「まさか…本当に天の御遣い?!」

華雄「なぁ、流星とは…あんなに長くとどまるものなのか?」

張遼「ていうか…だんだん大きくなっとらん?あれ。」

賈詡「ちょ、ちょっと!こっちに向かってきてるわよ?!」

董卓「きゃっ!!」


その時、私達を光が包みました。

お日様のように暖かな、とても柔らかな光でした。



賈詡「な、なんなのよもう!!」

華雄「私もいささか驚いた…ん?」

張遼「およ??」


皆が私の足元を見ています。

なんだろう?そう思って私も視線を下ろしました。


そこには綺麗な白い服を身にまとい、盾と剣を携えた男の人が倒れていました。

私は詠ちゃんの言葉を聞かずに、ただ導かれるままにその方の頬へ手を伸ばしました。


触れた瞬間に、いえ、目にした瞬間には気が付いていました。

この方が、お日様だと。




今回もお読み頂き誠に有り難うございます。

新しいスタートは如何でしたでしょうか。

読みにくい文章かも知れませんが、これからも何卒宜しくお願い致します。

コメント、メッセージなどお待ちしております。

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