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真・恋姫†夢想~世界樹の史~  作者: genji丸
真・恋姫†夢想~歩みの葉編
15/23

第七廻 悪戯

新キャラ登場です。




本拠地を天水から洛陽へと移した董卓軍

ここ洛陽の城では今、授与式がひっそりと執り行われていた。


蘭「董卓様、面をあげてください。」


月「はいっ…。」


蘭「わたくしの名において、貴女に相国の位を授けます。

  どうか民のために健やかなる政を期待しております。」


月「承りました。」


蘭「それでは、堅苦しい式典はこれまでです。

  僅かばかりですがお食事やお酒をご用意いたしました。

  是非、お楽しみください。」


その式典は、あらゆる意味を周囲に知らしめていた。

まず、陛下が自らを「わたくし」と呼称したこと。

これは『皇帝』であることを半ば捨て去ったように捉えられる。


そして、共に食事を取るまでに相国の董卓を信頼し、政を託したと言うこと。


本当に近しい豪族や古参の将のみが集められたその式典は、

新しい漢をここから始める為の意識改革に大いに役立っていた。






--洛陽の町--

ここでは、北郷隊の面々による初仕事があった。

商店や民家などに顔を出し、洛陽の統治が変わったことを伝えるためである。



おばちゃん「…。」

一刀「こんにちは~。」

おばちゃん「ひっ!」バタン

一刀「あ~…。」


店主「…。」

一刀「こんにちは~。」

店主「か、かかか金ならない!!」バタン

一刀「…。」


どこで誰に声をかけても、そそくさと逃げていく人々。

よほど宦官たちに苦しめられていたようだ。


それでも一刀は、めげずに毎日毎日声をかけ続けた。

北郷隊は揃ってお掃除大作戦を決行し、壊れた建物の修復や道路の清掃を始め、

それにつられて何事かと人々が注意を向けるようになった。


徐々に、本当に少しずつだが、町の人々は『この町は変わったんじゃないか』と思い始める。

数日後には所々荒れ果てていた洛陽の町も綺麗になり、町を所狭しと走り回る子どもたちや出店などが増え、

完全にとまではいかないまでも町は賑やかさを取り戻していった。


点心屋「おっ、隊長さん!なんか食ってくかい!」

一刀「じゃあ肉まんもらおうかな?おっちゃんの点心美味いからな~!」

点心屋「へへっ、煽ててもまけねぇぞ?」

一刀「ありゃ、残念。はははっ」


おばちゃん「ちょっと隊長さん聞いとくれよ!」

一刀「どうかしたの?」

おばちゃん「ウチの近くにでっかい蛇が住み着いてるみたいで…手を貸してもらえないかい?」

一刀「お安いご用だよ!」


子供「たいちょー!あそんでー!」

一刀「お、ごめんな~今仕事中なんだ。」

子供「うぅ~…。」

一刀「じゃあ…肩車してあげるから、一緒に警邏ごっこしようか!」

子供「ほんとっ?わ~い!」



司馬防「…。」

時暮「どうですか?お父様。」

司馬防「な、何がだ?」

時暮「一刀様です。本当に…あの方は凄いと思います。」

司馬防「…。」

時暮「人の心を開かせるなんて、誰にでもできることじゃありません。

   それでもあの方はやり遂げるんです。とても簡単そうに。」

司馬防「…ま、まぁ、それは認めてやらんことも…ないんじゃないかな?」

時暮「お父様…。」

司馬防「あ、あくまでちょっとだ!ほんのちょっとだぞ!」

時暮「はいはい。ふふふっ」







--洛陽・場内の中庭にて--

月「蘭さん、お茶が入りました。」


蘭「あら、ありがとうございます。

  …月さんのお茶は本当に美味しいわ。」


月「へぅ…ありがとうございます。」


霞「あっ!月~、ウチにも~!」


月「はい、どうぞ。」


霞「おおきに~!」


桜花「しあ!みてみて~、きれいなお花~!」


霞「お、協ちんよう見つけたな~!」


桜花「えへへ~、かゆにあげるの!」


霞「え、なんで華雄に?」


桜花「かゆ、お花にあうにあうすると、おもしろいのっ!」


霞「ぷっ、くくくっ、せやな~!それは面白そうやっ!」


蘭「…こんな風に人とお茶を楽しむことなど、もう一生できないと思っておりました。」


月「蘭さん…。」


蘭「あの男が現れてから、一度は本当に死を覚悟しましたから。」


霞「ウチかて、まさか皇帝陛下や姫様とこんな風に普通に話せるとか思ってへんかったで。」


蘭「ふふふっ、今までが間違っていたのです。

  こうしてお話をしてみないと、水か毒かなんて分かるはずがないのですから。」


月「本当に、そう思います。

  そういえば…花蘭さんはどちらへ?」


蘭「あぁ、あの子でしたら…きっと一刀様の部屋の前でオロオロしてると思います。」


霞「そらまた何でやろ?」


蘭「あの子、この間司馬防様より『数え役萬☆姉妹』の二人分の券を頂いたのですが…

  一刀様を誘いたくても勇気が出ないようで。ふふふっ。もう三日も暇があればああしております。」


月「ふふっ、可愛いです~。」


忍隊(心の別働隊の通称)「失礼します。」


霞「お、どないしたん?」


忍隊「ご報告申し上げます。

   河北の袁紹により、各諸侯が『反董卓連合軍』なる連合を結成した模様。」


霞「何やて?!」

月「っ?!」


忍隊「既に各諸侯は続々と集まっております。」


蘭「何ということ…。その者たちの目的は?」


忍隊「…どうやら董卓様と北郷様を討ち、皇帝陛下をお救いすると謳っているようです。」


蘭「ど、どうしてそんな事に!」


月「至急、軍議を開きます!みんなを集めてください!」


忍隊「はっ!」





---陳留にて---


荀彧「華琳様、北郷一刀に関する情報を入手いたしました。」


曹操「そう、聞かせてちょうだい。」


荀彧「はっ、天水に放った細作の話では、知勇兼備の名将でかなりの人望がある人物のようです。」


曹操「…どういうことかしら?」


荀彧「わかりません…。ただ、誰に話を聞こうとも手放しに褒め称えていたと。」


曹操「ふむ…。」


荀彧「如何がいたしましょうか。」


曹操「この連合…大分きな臭いわね。」


夏侯淵「では、参加を取りやめに?」


曹操「いえ、予定通り本日出発するわ。

   ただし、各自慎重に行動すること。いいわね?」


「「「はっ!」」」






---平原にて---


劉備「…。」


関羽「桃香様、そろそろ準備が整います。」


劉備「…うん。」


関羽「…天の御遣いのことを考えておいでで?」


劉備「私、やっぱり信じられなくて…。」


関羽「桃香様…。」


劉備「朱里ちゃん、この連合…参加して大丈夫なのかな?」


諸葛亮「…正直申し上げて、かなり怪しい部分があります。」


龐統「そうだね、朱里ちゃん。私も違和感があるの。」


趙雲「ふむ…。では参加は取りやめますかな?」


劉備「ううん…行こう、みんな!」


諸葛亮「はわわ!」

龐統「あわわ!」


劉備「私、連合はどうでもいいけど、確かめに行きたい!

   もし噂が本当なら、洛陽の人たちを助けられるはずだし!」


張飛「にゃはは~、お姉ちゃんらしいのだ!」





---南陽にて---


周喩「…雪蓮。」


孫策「どうしたの、冥琳?」


周喩「この戦、かなりマズイかもしれん。」


孫策「…あら、やっぱり?なんかそんな気がしてるのよね。」


周喩「いつもながら良い感だな。

   放った細作の話では、宦官を殺した北郷一刀は民に慕われている名将らしい。

   この連合…何か裏があるやもしれん」


孫策「そう…。でも、私達はここで引けないわ。

   この機に乗じで宿願に一歩でも近づくの。」


周喩「あぁ、そうだな。

   藪をつついて鬼が出なければいいが…。」






---洛陽・玉座にて---


詠「皆集まったみたいね。なら早速始めるわ。

  心、集まった情報を報告してちょうだい。」


心「はっ。袁紹により結成された連合の目的は、月様、一刀様の首と陛下の救出です。

  現在汜水関の南へ大規模な本陣を構築中で、既に参加を決めている代表的な諸侯は【曹操】【袁術】【馬騰】【公孫瓚】【張邈】【鮑信】です。


  それと…袁紹は各諸侯へ一刀様を帝への反逆者、董卓様を民を苦しめる暴君と喧伝しております。」


蘭「あぁ、何ということでしょう…。」


月「へぅ…暴君…。」


一刀「あっははっ、凄い言われようだ。

   それはそうと、その諸侯の中に劉備とか孫策って名前はなかった?」


心「ございました。平原の相である劉備は少勢力ながら猛将を従えているとのこと。孫策に関しましては袁術の客将のようです。

  この方々がどうかいたしましたか?」


一刀「いや、俺の世界の歴史では、これから先曹操・劉備・孫策の三人が天下を三分して争うんだよ。

   だから三国志って呼ばれてたんだけど。」


時暮「ふむ…とても興味深いですが…ならばその三名は要注意という事ですね。それほどの人物なればこの戦できっと頭角を現すはず。」


詠「えぇそうね。でもボクらはまず、汜水関でそいつらを食い止めないといけない。

  全く、どうしてこんな事に!」


一刀「あ~…きっとこれ俺のせいだわ。」


詠「はっ?」


一刀「えっと、言うの忘れちゃってて。

   歴史では、宦官が一掃されたことが引き金になって、反董卓連合軍が組まれるんだ。」


詠「ちょ、ちょっと待って?天の国の歴史でもこの連合が組まれたわけ?!」


一刀「うん。でもって、俺が宦官をやっちゃったから…。」


詠「もーー!!だから言ったじゃない!!」


一刀「あ、あはは…ごめんなさい。」


蘭「一刀様は悪くありませんわ。わたくしがここに生きていられるのも、この洛陽が生き返ったのも一刀様のおかげですもの。」


詠「それは…」


兵士「失礼します!皇帝陛下にお客人がいらしております!」


蘭「あら私に?こんな時にどなたかしら…。

  今手が離せないと伝えてもらえますか?」


兵士「は、はっ!それが…」

馬騰「邪魔するよ~。」

兵士「あっ、こ、困ります!」

馬騰「な~んだ硬ぇこと言うなよ。

   よ~っす、蘭元気か~?」


蘭「はぎ?!貴女、連合に参加してるんじゃないの?!」

馬騰「あっはっはっ、ありゃアタシの名代で娘を参加させてるだけさ。

   毎日毎日、槍振り回してばっかの馬鹿娘に見聞を広めてこいってね。」

蘭「貴女って人はほんとにもう…。

  皆さん、ご紹介します。わたくしの昔からの友人で…」

馬騰「馬騰。字は寿成ってんだ。よろしく。」


一刀「よろしくお願いします。(この人が涼州騎馬民族のボスか…綺麗な人だな~。でもやっぱり女性なのね…)」


馬騰「ん?お?お~?」


一刀「ど、どうかしました?」


馬騰「ちょいと蘭!あんた、良い男囲ってるじゃないか!」


蘭「囲ってるわけじゃありません!…まぁ、素敵な殿方ではありますけど。」


馬騰「ちょっと味見させておくれよ。」


蘭「だ、駄目に決まっているでしょう?!」


馬騰「ちょっとくらい良いじゃないかケチ。」


蘭「ケチでもなんでも結構です。

  それより、貴女こんな時に何をしに来たの?」


馬騰「あ~、娘っ子どもが居なくなって暇だったから。

   それにこの前けっこうな騒動があったみたいじゃん?その様子見。」


蘭「式典の誘いは無視しておいて…。まあ良いです。邪魔はしないでくださいね?」


馬騰「ういうい。大人しくしてるよ。」

そう言うと、馬騰はこっそり一刀のお尻に手を伸ばす。


蘭「それも駄目です。」


馬騰「ちぇ。」


蘭「ごめんなさい皆さん。」


月「い、いえっ。(一刀さんを守らなきゃっ)」


詠「え、えぇ。じゃあ軍議を続けます!(一刀のバーカ…)」


時暮「そうですね。ご挨拶はまた後ほどと言うことで。(全く、次から次へと困ったものです…)」


焔「がるるるるるるるっ」


心「私に春は来るんでしょうか…。(では現在の連合の状況ですが、)」


霞「あんた、逆になってるで?」


心「はっ?!」


一刀「一つ提案があるんだけどいい?」


詠「言ってみて。

  ただし!またのこのこ敵地に乗り込むのは却下よ?」


一刀「あ、あはは…

   いっその事、洛陽から居なくなっちゃうのはどう?」


全員「「「…はい??」」」


一刀「多分、連合の人たちはこう思ってるはずなんだ。

   『洛陽にさえ行けば自分たちの勝ちだ』って。あくまで月と俺が蘭を脅してるって思ってるわけじゃない?」


時暮「そうですね。」


一刀「でも、まだまだ余力十分なまま洛陽まで押しかけられたら、ここの民もたまったもんじゃない。」


月「うん、折角皆さん元気になったのに…。」


一刀「だから連合には汜水関・虎牢関でたっぷりと悪戯して弱ってもらおう。」


心「一刀様が考える悪戯は…何というかお人が悪いですからね。」


蘭「うふふっ、そうですね。連合の方々が可哀想になってきます。ふふっ」


詠「一体何したのよ…。」


一刀「それは秘密♪

   とりあえず、汜水関の守りには俺と華雄と焔が行く。あ、心と忍隊も付いて来て。

   虎牢関は恋と音々音が待機。」


霞「あ、ズルい!なぁ一刀~、ウチは~?」


一刀「霞は時暮とお隣の長安を落としてくれ。」


霞「おぉ~っウチは攻めか!よっしゃ燃えてきたっ!」


時暮「長安といえば今は丁原様が治めていますね。

   でも…そう簡単にいくでしょうか?」


詠「そうよ!こんな時に二面作戦なんて…どう考えても兵が足りないわ!

  それに、蘭さんには悪いですが、洛陽の禁軍は質が低すぎて兵力としては計算出来ない。」


一刀「禁軍は出さないよ。それにこれは二面作戦じゃない。あくまでこっちの目的は長安を落とすこと。

   だから汜水関は一万の兵で良い。あ、旗はいっぱい持って行くけどね。」


詠「なっ?!連合は十五万は居るのよ?!たった一万でそれをどう受け止めるのよ!」


一刀「十五万が一気に押し寄せてくるわけじゃないよ。それに、汜水関も虎牢関も守る必要はない。

   ただ、ありとあらゆる悪戯を仕掛けて足止めするだけ。洛陽についたらヘロヘロになるくらいのね。」


時暮「連合に対する兵が本当にそれだけで構わないなら、長安は楽に落とせそうですが…。

   丁原様は随分と平和ボケしているようですから。まさかこんな時に自分が攻め入られるなんて思っても居ないでしょうし。」


詠「ほ、本当に大丈夫なんでしょうね?」


一刀「大丈夫大丈夫。あ、詠には洛陽の民に仕込みをお願い。」


月「へぅ…悪戯って何をするんですか?」


一刀「ん?それはね…」


そう言うと、一刀は楽しそうに笑うのだった。






---連合本陣---

そこには、各諸侯が続々と集まってきていた。


趙忠「ホホッ。袁紹殿、首尾はどうじゃ?」


袁紹「つつがなく進行中ですわ!

   まぁ、このワタクシの…四代にわたり三公を輩出した袁家の呼びかけですもの!

   それはもう各諸侯が我先にと集ってきておりますわ!オ~ッホッホッホッホッホ!」


趙忠「それは結構。ホホッ。

   (今に見ておれ北郷一刀め…ワシの地位を脅かした恨み、無惨な死をもって償ってもらうぞ。)」


袁紹「ところで趙忠様、その北郷一刀という不届き者…一体どのような下男でございますの?

   もし戦場で捕縛した時のために教えて下さいませんですこと?」


趙忠「(しまった…!あの時はワシの影武者が参加しておったからワシは奴を見ておらん…!)

   そ、それはじゃな…あ~、あれじゃ。それはそれは酷く不細工な小太りの男じゃよ。」


袁紹「まぁ!そんな汚らしい下男ですの?!ますますもって不快ですわ!」


顔良「(あれ?細作の話では容姿端麗と聞いていたのに…やっぱり何か変だよこれ。)」





その頃、長安の丁原は---


丁原「あ~…お茶が旨い。

   ところで、朝餉はまだかの?」

女中「丁原様、朝餉はもう済ませましたよ?(大丈夫なのかしらこの人…)」






---汜水関---

ここでは北郷一刀プレゼンツ、悪戯祭りの準備が着々と進んでいた。


華雄「おい一刀、この看板はこんな感じでどうだ?」


一刀「うん、それで良いよ。」


焔「一刀様!こっちの穴はもう完了しました!」


一刀「ありがとう!」


焔「えへへ~。」


一刀「心、連合への情報操作は頼んだよ?

   あと、忍隊には斥候への対処を頼む。バレたら大変だからね。」


心「はっ!」

忍隊「「「御意に。」」」


一刀「さぁ、あと一息だ!頑張ろう!」


今回もお読み頂き、誠に有り難うございます。

果たして一刀君はどんな悪戯を仕掛けるのか…乞うご期待です。

そして、次回はキャラ紹介編です。おまけもあります。

であ、ご意見・ご感想お待ちしております。

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