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真・恋姫†夢想~世界樹の史~  作者: genji丸
真・恋姫†夢想~歩みの葉編
12/23

第四廻 天に想いを、星に願いを

オリキャラ&一刀君無双に入ります。

自分の印象なんですが…やはり司馬家はこれくらいぶっ飛んでいて欲しいです。

北郷隊---

それは戦場では盾を持ち、町の警邏も司る部隊である。

そんな彼らの日常に迫ります。


時暮(司馬懿)「…ふっ!」


霞「あぶなっ!!

  ちっ、鉄扇使いってのは厄介なもんやな~。」


時暮「ふふっ、飛び道具にもなることをお忘れなきよう。」


霞「それが一番鬱陶しいねん。

  せやけど…これで終いや!!」


力技で鉄扇をなぎ払い、神速の突きを放つ。


時暮「なっ?!…っ。

   ま、参りましたわ。」


霞「なはは~、せやけどえぇ腕やったで。」


時暮「ふぅ、やはり霞様には敵いませんでしたわ。」


焔(高順)「へっ、負けてやんの情けねぇ。

      やっぱり一刀様の一番の部下はアタイだな。」


時暮「…貴方も華雄様に負けたはずでは?」


焔「あぁっ?やんのかコラ?」


時暮「受けて立ちましょう。ガサツな脳筋風情には負けません。」


焔「てめぇ殺す!!」


一刀「みんなお待たせ~!」

焔「一刀様~///」

時暮「お待ちしておりましたわ…///」


一刀「じゃあ、警邏に出ようか。」

心(李厳)「…。」すっ


焔「(あっ、あの野郎…!一刀様の隣を!)」

時暮「(横列をつくっては警邏になりませんものね…ここは諦めましょう。)」


霞「ほなウチは調練行ってくるわ!頑張ってな~、一刀!」


一刀「あぁ、ありがとう!」にこっ


霞「にゃはは///」


一刀「さ、今日は西地区から行くよ~!」


焔「はい~!///(あぁっ、一刀様の背中を眺めるのも良いかも///)」


時暮「はい…。(爺や、お父様にお手紙を『旦那様のおしり最高れすぅ~!キャピッ』と。)


爺や「大旦那様…おいたわしや…。」




天水の町・東地区にて

そこでは北郷隊の面々が警邏にあたっていた。


牛輔「あ~…暇だ。」


孟達「ですね…。」


馬謖「ていうかさ…。」


牛輔「どうした?」


馬謖「上司の中で誰が好みよ?」


牛輔「また下世話な話を…。」


孟達「俺はもう董卓様一択っすね。あの守ってあげたくなる可愛さ…たまらないっす。」


馬謖「あ~、わかるすげぇわかる。

   俺としては賈詡様が一番だけど。」


牛輔「何でまた?」


馬謖「いや、俺ってほら警邏はしてるけど文官側じゃん。

   だから仕事でご一緒する機会があるんだけど。」


孟達「羨ましい話っすね。」


馬謖「よく怒られるんだよね。それが…たまらん。もう山を登るような気持ちだ。」


孟達「良い趣味してますね。牛さんはどうっすか?」


牛輔「華雄将軍に決まっているだろう。」


馬謖「ほ~。」


牛輔「あの凛々しさと脚線美…素晴らしい。」


孟達「深いっす…。」





天水の町・南地区にて

そこには視察に訪れた月と詠、華雄がいた。


華雄「くちゅんっ…」


月・詠「「(くしゃみ可愛い…)」」


華雄「ん?どうした?」


月「い、いえ、なんでもありません。

  お風邪ですか?」


華雄「いや、そんなはずはないだろう。風邪など引いたことないからな。」


詠「…。」


華雄「それにしても、随分と賑やかになったな。」


月「そうですね~。」


詠「一刀の募集で兵や文官の適正にあぶれた人も、この町で暮らしたいって思ってくれたみたいだし。」


華雄「北郷隊に入ったのは二千人くらいか。残りの千人近くは工作兵やら農耕員になれたからな。」


詠「牧場なんてよく思いついたわよね。ボク達には絶対思いつかないわ。」


月「そうだね~。これでお馬さんも食べ物も豊かになるね。

  すごいな…一刀さん///」


詠「ま、まぁそうね。認めてあげてもいいわ。」


華雄「素直じゃないな。」


詠「か、華雄っ///」


月「ふふっ。

  あら?何だろうあれ。」


詠「どうかした?」


平和な時間は、数名の視察団がここ天水に辿り着いたことで終わりを告げる。

その視察団は一つの書簡を手にしていた。


『天を名乗る男、洛陽まで来られたし。陛下との謁見を許可するものなり。

 従わぬ場合は天に背くものとして厳粛に罰する。』


至急軍議が執り行われ、各将が呼び集められた。


一刀「あ~…やっぱりこうなったか。」


詠「厄介ね。断れば月の立場も危うくなるし…。」


時暮「一刀様のお命もです。」


焔「それは駄目だ!!よ、よし、とりあえず霊帝をぶっ飛ばしてくればいいんだな?!」


霞「落ち着かんかいドアホ!」ゴチンっ


焔「アイタっ…酷いっす霞姐さん…。」


月「一刀さん…。」


一刀「ん?そんなに難しい話じゃないんじゃない?」


詠「は?」


一刀「俺が洛陽に行ってお話してくればいいんでしょ?」


時暮「それだけで済むはずがありません!」


詠「そうね…少なくとも、十常侍の奴らは、

  月をさんざん利用してきたクズ共よ。何をしてくるか…。」


兵士「お知らせします!!」


霞「こんな時に何やねん!後にせい!」


兵士「西方十里にある砦が賊に落とされました!!賊はなおもこちらへ進行中!!その数約一万!!」


華雄「何だと?!そこは西都の王允が収めていただろう?」


月「お、王允さんはご無事ですか?!」


兵士「王允様は西都へおりましたのでご無事のようです!」


霞「その王允はんは何しとんねん!」


兵士「王允様に動きはありません!賊は砦へは入場せずまっすぐにこちらへ向かってきています!!」


詠「何よそれ…どういう事?」


時暮「爺や?確かお父様は王允様と懇意にされていたはず。なにか聞いていないかしら?」


爺や「それが…先日王允様は洛陽へ招聘されてつい三日前にお戻りになったとか…。」


時暮「ふむ…ありがとう。

   詠様、差し出がましい事は承知でお願い申し上げます。」


詠「何?」


時暮「この度の戦、私にご命じいただけないでしょうか。」


詠「馬鹿言わないで!少なくとも一刀は洛陽へ行かないといけない。

  敵の数を考えたら北郷隊まで割けないわ!」


一刀「だ~か~ら!こっちは大丈夫だってば!」


詠「何を言って」

一刀「俺は心と別働隊数名だけで洛陽へ行く。

   砦に関しては…時暮に妙案があるんだろう?」


時暮「はい。」


詠「言ってみなさい。」


時暮「痛み入ります。

   まず慎重な王允様の性格として、易易と砦を落とされたことに疑問を感じます。

   そして賊としても折角手に入れた砦を放置し、こちらに向かってきている。

   これは最初から天水を狙っていたから…と考えられないでしょうか?」


華雄「最初から天水を狙っていたなら、なぜわざわざ砦を攻めたのだ?」


時暮「問題はそこです。砦を空にしたら、普通は奪い返されますが…。

   そもそも奪われる心配がなければ如何でしょう?」


霞「どういうこっちゃ。」


時暮「王允様はわざと砦を奪われ、向かってきてる敵ももしや賊ではないのでは?」


華雄「王允が月様を謀ったということか!」


時暮「惜しいですが違います。

   先日洛陽へ招聘され、三日前に戻った王允様。

   そして今日になって落城と一刀様への招聘命令。あまりに機が良すぎませんか?」


詠「そうね。」


時暮「王允様はもしや洛陽で何かを言われたのではと考えます。

   そして私の考えが正しければ…砦を落とされたのも敵が賊というのも全て間違い。」


兵士「そ、そんな!斥候は確かに!」


時暮「砦を落とされたのではなく、その砦の兵士つまりは王允様の兵が賊に扮してこちらへ攻めてきていると言うこと。

   もしや…人質でも取られたのでは?」


詠「なぜそう言い切れるの?」


時暮「四日前が王允様の孫娘である蘭々様の誕生日なのですよ。溺愛している王允様ですから、きっと洛陽にお連れになったでしょうね。

   それに…私が月様へお仕えした際に王允様より贈り物を頂いております。中身はお守りでございました。

   果たして、これから攻め入ろうと考えている方が、お守りを下さるでしょうか?」


霞「…王允はんの動機はわかったで。せやけど今向かってきてる敵はどないすんねん。」


時暮「簡単なお話です。王允様に考え直して頂ければ良いのですから。」


詠「人質取られてるのにどうやって?」


時暮「爺や、お父様は洛陽へ?」


爺や「はい、別荘へおられますが。」


時暮「ではお父様へお手紙を。文面は『王允様の孫娘を助けてあげてください。成功したらご褒美です。』と。」


爺や「喜ばれますなぁ大旦那様は。あの方なら楽なお仕事でしょうな。」


時暮「王允様への早馬もお願い。」


爺や「はぁ、言伝はなんと?」


時暮「お父様が救出に向かったので安心してくださいと。あとは最後にこう書き加えてください。

   『軍を引かないと孫娘犯すぞ♪』と。」


爺や「おいたわしや…。」


詠・霞・華雄「「「(悪党だ…)」」」


月「これで大丈夫…なのかな?一刀さん。

  …一刀さん?」


詠「あれ、一刀はどこに行ったの?」


兵士「北郷様ならとっくに発たれましたが…」


・・・


全員「「「え~~~~~~~~~~??!」」」





天水から洛陽への道中

一刀と心は別働隊数名と馬を飛ばしていた。


心「…大丈夫だったのですか?来てしまって。」


一刀「大丈夫大丈夫。」


心「はあ…しかし、一刀様の御身に何かあればと…。」


一刀「ん~、それなんだけどね?俺ってほら、ある程度この世界の歴史を知ってるじゃない?」


心「はい、聞き及んでおります。御遣い様であらせられますから。」


一刀「そんな大層なものじゃないけどさ。

   …霊帝…劉宏さんだっけ?そろそろ亡くなるはずなんだ。」


心「??!!」


一刀「ある男に毒殺されてね。」


心「それは誠にございますか!?」


一刀「うん。

   でも、その前に話す機会が出来たんだ。もしかしたら防げるかもしれない。」


心「ですが…お言葉ですが今の霊帝に世を統べるお力があるとは思えません。」


一刀「そうだね、でもいきなり拠り所を失った人たちは混乱すると思うよ?

   黄巾だって暴れまわってるし。まぁ、そっちは曹操さんとかが討伐するはずだけど。」


心「一刀様は帝とお会いになってどうしようとお考えですか?」


一刀「…それが不思議なんだ。俺はその人と会ったことがないのに、その人の『想い』を聞いた気がする。」


心「どういう事でしょうか?」


一刀「ん~、何と言ったらいいか…。夢でさ、誰が自分に語りかけてくるような感じかな?

   最近は毎晩聞こえるよ。『娘達をどうか…』って。」


心「一刀様…。」


一刀「霊帝は確かに力が無いかもしれない。それは部下がやりたい放題ってのもあるんだろうけど…。

   きっと帝としては無力でも、母親としては立派な人なんだろうな。」


心「お優しいですね、一刀様は。」


一刀「あ、あはは…照れるじゃない。」


心「では私を連れてきた理由をお聞かせ願えますか?

  ただの護衛というわけではないでしょう。一刀様はそれはそれは化け物じみてお強いですから。」


一刀「うっ…化物って。

   ある男を見張って欲しいのと、あとはちょっとした悪戯かな。」


そう言うと、一刀は楽しそうに笑ったのだった。




一方その頃、洛陽では---

薄暗い地下室に囚われた王允の孫娘・蘭々が厳重な警備のもと監禁されていた。


蘭々「うぅ…暗いよ…怖いよ…お爺ちゃん助けてよ…。」


十常侍兵A「くくくっ、あのガキまた泣いてやがるぜ。」

十常侍兵B「王允の爺がヘマしたら、あのガキ好きにしていいんだろ?楽しみだな…」

十常侍兵C「おいおい、まだガキだぞ?」

十常侍兵D「それもまた滾るぜ。」


そこに、仮面を被り真っ赤なスーツを着たオッサン?が現れた。


司馬防「そこまでだ悪党ども!!」


十常侍兵A「な、なんだ?!誰だ貴様は!」


司馬防「ワシが誰かと聞かれたら…答えてあげるが世の定め…

    娘のご褒美のため、その少女を助けに来た!!華蝶仮面推参!!」


十常侍兵B「か、華蝶仮面だと…?!ただの変態じゃねぇか!!」


司馬防「変態じゃなーい!!ただ娘のご褒美がほしいお父さんだ!!あわよくば一緒にお風呂に入りたいそれだけだ!!」


十常侍兵「「「(気持ち悪い…)」」」


司馬防「覚悟しろ悪党ども!娘に背中を流してもらう為の礎となってもらおう!!」


十常侍兵C「じょ、冗談じゃねぇ!!こんなオッサンに何が出来るってんだ!!一斉にかかるぞ!!」


司馬防「ふっ…食らうがいい…

    奥義!!オマエ二ムスメハヤラン拳!!!」


十常侍兵C「ぐはぁっ!!?」


司馬防「ドコノウマノホネ打!!」


十常侍兵A・B「ば、バカな!!ぐはぁっ!!?」


司馬防「…。」


十常侍兵D「ま、待て…こ、このとおりだ!許してくれ!」


司馬防「…。」


十常侍兵D「た、頼む!その娘なら開放する!だから…!」


司馬防「キクミミモタン蹴り!!」


十常侍兵D「のわああああっ!!」


司馬防「ふっ。お嬢さん、助けに来たよ。」


蘭々「ふぇ…気持ち悪い人がきたよ~~…」


司馬防「…。」




その頃、西都の王允のもとに早馬が届いた


王允「蘭々…蘭々…すまぬ董卓よ…孫娘のためなんじゃ。

   あぁ、蘭々は蘭々は泣いておらんかのう…。」


兵士「王允様!」


王允「な、なんじゃ!」


兵士「董卓軍の司馬懿様より早馬が届きました!」


王允「なんじゃと?!なんと書いてある!!」


兵士「それが…。」


王允「?」


兵士「蘭々様は司馬懿様のお父上が救出に向かったので安心してくださいと。」


王允「本当か?!あぁ…あの方ならば安心じゃ…!」


兵士「あと…。」


王允「なんじゃ?」


兵士「こんな文面が…。」

  

   司馬懿『軍を引かないと孫娘犯すぞ♪』


王允「軍を引けーーーーーーーーーーーーー!!直ぐに撤退じゃーーーーーーーーーーーー!!」


兵士「は、はいっ!?よ、よろしいので?」


王允「当たり前じゃ!!!はよう!はよう引け!!あの娘に容赦という文字はない!!」


兵士「はっ!す、直ぐに伝令を出します!」





天水の城壁では、月が心配そうに迫り来る軍勢を眺めていた。


詠「本当に大丈夫なんでしょうね?」


時暮「えぇ、滞り無く。ね?爺や?」


爺や「ははっ、先ほど大旦那様より成功の連絡が届きました。」


霞「あんたの家どんな連絡網やねん…。」


時暮「ではお父様へお手紙を

   『よく出来ました。ご褒美に今度旦那様を紹介しますね。キャピっ』と。」


爺や「おいたわしや…」


詠「だんだん不憫に思えてきたわ…。

  ん?王允の軍が引いていくわ!」


月「良かった…。

  本当に助かりました。ありがとう時暮ちゃん。」


時暮「いえ、とんでもございません。

   こちらこそ、私の無茶なお願いを聞いて下さり有り難うございます。」


詠「でも…一刀は大丈夫なのかしら?」


月「…一刀さん、どうかご無事で…。」






数日後、、洛陽に到着した一刀一行は…


一刀「ふ~、すっかり夜になっちゃったな。

   どっか宿探さないと。あれ?みんなはどこ行っちゃったの?」


心「部下たちは計画の下準備へ向かわせました。

  なのでお部屋は二部屋で大丈夫です。」


一刀「ん?俺と心だけなら一部屋でいいじゃん。

   お、この宿で良いかな?すいませ~ん!」


心「えぇっ?!ちょっと…しかもこの宿って…!(恋人が逢瀬するところですよ~?!)」


一刀「部屋開いてるってさ!さ、行こう!もうくたくただよ…。」


心「…はいぃ。(どうしよどうしようどうしよう…。)」


一刀「お~、意外と綺麗な部屋だな~!

   あれ?布団が一つしか無い。」


心「ぶっ!?」


一刀「どうしたの?」


心「い、いいいいいいいえっ!

  わ、私、おおおおおお風呂に入ってきます~~!!」


一刀「??」



-お風呂場にて-


心「ふぅ…一刀様ったら。

  でも…二人っきり、なんですよね…」

  (もし、間違いがあったら…い、いけないいけない!そんな破廉恥なこと!

   でも一刀様に求められたら私…///)


心「うっ、でも私は完全に男だと思われてるんでした…。

  それに…顔に火傷のある女なんて願い下げですよね…。」


一刀「お~!お風呂も広い!」


心「ひゃいっ?!」


一刀「よっ!裸の付き合いって奴だ!背中流すぞ?」


心「かかかかか一刀様?!い、いえ!もう流し終わりましたのでっ!

  (す、少しは前隠してください~!でも…とてもご立派です…///はっ!私は何を…!)」


一刀「な~んだ、残念。

   ん?心、君って…。」


心「は、はい?!(もしかして私が女だと…)」


一刀「恥ずかしがりなんだね。そんな風に全身隠しちゃって。あははっ」


心「(普通は恥ずかしいですよ~~!)」


一刀「…火傷の痕、気にしてるの?」


心「…っ。

  お見苦しい、ですよね。」


一刀「ううん、全然。」


心「えっ…?」


一刀「素敵だと思うよ。」


心「か、一刀様…?///お、お世辞でも嬉しいです…。」


一刀「お世辞じゃないんだけどな…。」


心「お、お背中、流しましょうか?」


一刀「え、いいの?ありがとう!」


心「はい!」にこっ




-翌日-


一刀「ふあ~あ、よく寝た~。」


心「お、おおおおおはよう…ございます。」


一刀「あぁ、おはよ。よく寝れた?」


心「は、はい!(ごめんなさい、本当は全然眠れませんでした…。)

  あの…一刀様?」


一刀「??」


心「昨夜…わ、私の体を…あ、ああして…その…あ、あんな風にしたのは…寝ぼけてただけ、ですよね?///」


一刀「わっ!ごめん!何かしちゃった?!」


心「い、いえ!だ、大丈夫です!(生殺しです…はっ!いけない!こんなはしたないっ!)」


一刀「今日は帝に会わないとな~。

   よし、じゃあ朝ごはん食べたら行こうか。」


心「は、はいっ!」






洛陽・城下の町にて


一刀「…昼に見てみると、なんていうか酷いな。」


心「えぇ。先程から宦官と思われるものへの賄賂や民への暴力など、見るに耐えません。」


一刀「あぁ。これはちょっと文句言ってやらないとな。」


心「…ご自愛下さいね?一刀様に何かあれば、皆様悲しみます。」


一刀「分かってるって。

   あ、例の件はどう?」


心「準備出来ております。

  もし『悪戯』をする際は指を鳴らしてください。その都度ご演技を。」


一刀「おぉ、ありがとう。」


心「では私は例の男の元へ。」


一刀「毒の件も宜しくね?」


心「…心得ております。」






城門前にて



兵士「止まれ。ここより先は通せん。」


一刀「ありゃりゃそら困ったな。俺呼ばれてるんだけど。」


兵士「嘘をつくな下郎。さっさと去れ!」


一刀「俺が天の御遣いでも?」


兵士「なにっ?!

   …少し待て。」


しばらく待つと、いかにも慇懃そうな男が兵を率いてこちらへ歩み寄ってきた。


張譲「ふむ。貴様が天の御遣いとやらか?

   ワシは十常侍を束ねる張譲というものだ。ついてまいれ。」


一刀「は~い。(大物が迎えに出てきたな…。迎えというか捕獲というか。)」


張譲「(なんじゃその返事は!こやつ…ワシが誰だかわかっとらんのか?

    まぁ良い。先の短い命じゃ今のうちにこの世を楽しんでおれ。)


槍を突きつけられ、後ろ手に縛られた一刀は霊帝のいる玉座へと通された。


張譲「陛下、恐れ多くも天を謀る愚か者を連れてまいりました。」


劉宏「…。」


張譲「ここはこの者を斬首とし、民の前で晒し首とすることで陛下の威光を世に知らしめるのが良いかと。」


劉宏「…ならん。」


張譲「おぉ、これは陛下…さすがにお心が広い!

   ただ…我ら十常侍は満場一致で斬首と話をしておりまして…。」


劉宏「朕はならんと申した。」


張譲「ふむ…陛下は誠にお優しい。

   これ、李儒よ。」


劉宏「っ!」


李儒「なんでございましょうか。」


張譲「どうやら陛下は姫君に斬首を見せるのがお嫌のようだ。」


劉宏「くっ…!」


李儒「ふぅむ…どうされたら良いか。

   それならば…」


李儒がニヤリと笑い、残酷な一言を発する直前。


一刀「貴方が劉宏さん?」


劉宏「っ?!」

十常侍「っ!!」

李儒「…ちっ。」


劉宏「そうである。朕が漢王朝を束ねるもの。」


一刀「はじめまして、かな。天の御遣いとか呼ばれちゃってる北郷一刀です。」


劉宏「…。」


張譲「き、貴様!陛下に対してなんという口の聞き方だ!」


一刀「ん?でも俺は誰に対してもこんな感じだよ?」


張譲「貴様の前に居らっしゃるのは天であらせられるぞ!身の程をわきまえい!」


一刀「あれ、奇遇だね俺も天だよ?」


張譲「偽物であろうが!!」


一刀「そうなの?」


張譲「そうに決まっておろう!!」


一刀「劉宏さん…天って偽物だったよ…。」


張譲「天の事ではない!!貴様の事だ!!」


一刀「天といえば、俺の国に天ぷらって料理があってね。外は衣でサックサク中はフワッと」


張譲「美味しそう!…じゃなーい!知るか!そんな事!」


劉宏「…。」


張譲「ほれ見よ!陛下もお怒りである!!」


一刀「いや、劉宏さんじゃなくて貴方が一番怒ってるじゃない。」


張譲「貴様が怒らせておるのだ!!何なんだ貴様は!!」


一刀「天の御遣い?」


張譲「かーーーーーっ!!埒が明かん!!もう良い、衛兵!コヤツを切り捨てよ!!」パチン


衛兵「…。」


張譲「衛兵!どうした早くしろ!!」


バタンっと泡を吹いて、二人の衛兵は気を失った。


張譲「なっ…!!貴様何をした!!」

李儒「?!」


一刀「ん~、おまじない?」


張譲「なんと面妖な…!」


一刀「いや~、天ならこれくらい出来るでしょ。知らないの?」


張譲「なっ、ば、馬鹿を申すな!陛下はこのような事は…」


一刀「できるよね?劉宏さん。」


劉宏に話を振ると、一刀は劉宏に向かいウインクをした。

そしてこうしろとばかりに指を動かして合図を送る。


劉宏「…。」パチン


今度は別のところにいる衛兵が倒れる。


劉宏「…!」

張譲「なっ?!」

李儒「?!」


一刀「ほらね?」


張譲「わ、わかった!もうわかった!」


一刀「あ、そう。残念。」


張譲「(な、なんじゃ…?!陛下までこのようなお力が?!し、しかしそれならば何故これまでお使いにならなかった!)」


一刀「劉宏さん、一つ聞きたいんだけど良い?」


劉宏「…?」


一刀「間違ってたら申し訳ないんだけどさ。

   もしかして…毎晩お祈りしてる?その…俺に向けて。」


劉宏「…!!

   うむ。(あぁ…届いていたのね。良かった…やはり貴方は…。)」


張譲「(なんじゃ?何の話じゃ?)」


一刀「なら聞きたいんだけど…このおじさん達に好き勝手されてていいの?」


張譲「き、貴様何を言うか!!」


一刀「今なら力を貸せる。だから…もし願いがあるのなら」


李儒「そこまでだ。」

劉宏「っ!」


そこでこれまで黙っていた李儒が声を上げ、手を打ち鳴らした。

すると、兵士たちが小さな姉妹を連れてくる。

あろうことかその少女たちに剣を向けて。


張譲「ふっ、ふはははははっ!

   そう、そうじゃ!その手があったのう…!」


劉宏「…ギリっ」


劉協「ははうえ…こわいよ…」

劉弁「…っ。」


李儒「ん~、どうなさいましたかお姫様方?

   あっなるほど!母上様を苦しめるこの下男を切り捨てよとお命じなのですね?

   ですが…それには陛下のお許しが必要です。困りましたなぁ…。」


劉宏「…おのれ…。」


李儒「陛下がご決断くださらないとお姫様方がもっと怖がってしまう…。

   あぁっ!そうでした!私はちょうど良いことに『眠り薬』を持っております!

   これを姫様に飲ませれば…。」


劉宏「待って!!…お願い、待って…。

   (もう…ダメなのね?あぁ、ごめんなさい天よ…。こんなに力のない私を許して!)」


一刀「劉宏さん。」


劉宏「っ?」


一刀「俺を信じて。この人達を信じるよりは、まだ勝ち目があると思うよ?」


張譲「はっ!負け惜しみを!

   ようやったぞ李儒よ!ふははははははっ!」


李儒「有難き幸せ。ひひひひひひっ。」


劉宏「(どうすれば…私はどうすれば良いの?)」


その時、自分をじっと見つめる劉弁の姿が目に入った。

恐怖をこらえ、口を真一文字に結び、自分を見つめている。

その横では泣きながらも、「ははうえ」と私を呼ぶ劉協の姿が。


あぁ、私は何を迷うことがあったのだろう。


この一言をずっと言いたかった。

誰かに言いたかった。


劉宏「助けて!!!」


張譲「?!」

李儒「っ?!」


一刀「任せろ!」ニヤリ


李儒「う、動くな!!動けばこの子供の命はないぞ!!」


一刀「ん?衛兵さんはみんな気絶してるみたいだけど?」


李儒「なっ!!

   ならば…!この薬を口に流しこむぞ!!ひ、ひひひひひっ!」


一刀「あれ?それって眠り薬じゃなかった?」


李儒「馬鹿を言え!これは私が調合した猛毒だ!一口含めばのたうち回り死に至るぞ!」


張譲「ば、馬鹿者が!そんなことを言っては!」


一刀「ふ~ん、劉宏さん、こんなこと言ってるけど…この世界ではもし姫様に毒を向けたらどうなるの?」


劉宏「死罪である!」


一刀「だってさ。あ、それをニヤニヤ傍観してるこの十常侍達は?」


劉宏「同罪である!」


一刀「了解。」


チラリと柱の向こうを見ると、心が任務完了と合図を送っていた。


「じゃあ…」と手枷を壊す一刀

張譲「なんじゃと?!」


一刀「覚悟はいいかお前ら!!」



今回もお読み頂き、誠に有り難うございます。

やはりどうしても自分が書くとシリアスでガチバトルな展開になりませんね…。

コメント頂けると励みにもなりますし、大変嬉しいです。チラッチラッ

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