一章 赤い天才⑷
赤い天才が登場します。
「……また君か」
「……すいません(?)」
もはや顔見知りとなった刑事さんは
俺を見た瞬間、ため息を吐いた。
この人に事情聴取されるのは、もう何度目だろうか。
……確か一番最初は、銀行強盗だったはずだ。
あ、一応言っておくけど
俺は被害者だからな?
「で?こんどの死体に見覚えは?」
「ないです」
「……本当に?」
「別に俺の知り合いばっか死んでる訳じゃ……」
『事情聴取』
意外かもしれないが、これだけは何度やっても慣れない。
ずっと質問攻めにされるというのは
……けっこう、辛いのだ。
転校初日のような気分
といえば、わかりやすいと思う。
隣にいる津村さんなんて、耳をふさいでしまっている。
……って、あれ?放棄⁉事情聴取放棄された⁉
「……和鎖ぁ、お前ちょっと連行していい?
にんいどーこーってやつ」
「えぇ⁉ちょっ……今回の第一発見者津村さんですよ⁉なんで俺が……」
「お前のほうが拘束しやすいだろーがよ」
「拘束されるの前提なんですか⁉訴えますよ⁉」
ぐいっと腕を引かれ、立たされる。
連行って……マジで言ってたのこの人⁉
つーかどの辺が『任意』だ!
「安心しろ、ちょっと強は……いや、話聞くだけだから」
「安心できるか!」
半ば引きずられるようなかたちで車に乗せられ
ドアが閉められる。
とたんに、エンジン音が聞こえてきた。
「よし、行くぞ」
そう言って刑事さんが一息吐いたーーーー
瞬間。
勢い良く、車のドアが開かれた。
『「は……?」』
俺を含む全員の視線が、車のドアに集中する。
すると、車を開けた張本人である
赤い髪と赤い目、そして
右腕が無い
俺の親友ーー不知火灰が
不機嫌そうな顔で言った。
「ここ、人口密度高いんだけど」
『知らねーよ!』
という、刑事さん達の心の声が聞こえた。
気がする。
なんか、展開速すぎるような……
やっぱ、長編は難しいです。