一章 赤い天才⑶
続きです。
何度目かの呼び出し音の後に
やけに落ち着いた、親友の声が聞こえてきた。
「君のことだからまたややこしいことに巻き込まれたんだとおもうけど一応訊いておくよ、何の用?」
「……あぁそうだよ!ややこしいことに巻き込まれたんだよ!」
「……やっぱり?」
……長年の付き合いともなると、大体予想できてたらしい。
あれか?除霊でもしてもらえばいいのか?
除霊してもらえば不幸体質って治るのか⁉
正直、治る気がしないけどな!
「で、今度は何?」
「死体が落ちてた」
「死体って……」
電話の向こうで、呆れ切っているであろう
親友の姿が目に浮かぶ。
まぁ、当たり前といえば当たり前だ。
信じてもらえるだけありがたいと思う。
「……わかった。今から行くから、場所教えて」
「……なんか、悪いな。いつもいつも」
「別に、俺も暇だったし。丁度良かったよ」
じゃあ、また後で。
その言葉と共に電話が切れる。
すると
警察に通報し終わった津村さんが
怪訝そうな顔で、こちらを伺っていた。
「あの……誰に、電話してたの?」
ささやくような声に、思わず苦笑いが漏れる。
「友達ですよ。何でも屋の」
遠くの方で、サイレンの音が聞こえた。
……だいぶ遅くなってしまいました……。