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一章 赤い天才⑵
「あの……津村さん、もしかして……殺っちゃった?」
「ち、違うよ‼第一知らない人だし……‼」
一応説明しておこう。
この人は津村さん。
近くの喫茶店、『シャルル』で働いている、俺の知り合い。
さすがに死体を見たのは初めてのようで、
(そりゃそうだ)
いつも以上にオドオドしている。
「とりあえず、警察……ですかね」
「そ、そうだね。……ていうか零夜君、なんでそんな落ち着いてるの……?」
「……いつものことなんで」
……なんか悲しくなってきた。
不幸体質って色々と辛いものがあるよな。
少し打ちひしがれながらも携帯を出し、110番しようとして
「…………あ」
思い出した。
そうか、その前に報告しないとな。
ーーあいつに。
「すいません津村さん、警察に電話してもらっていいですか?」
「え?あ、うん。もちろんいいけど……?」
「ありがとうございます」
そして、俺は別の相手に電話をかけた。
『赤い天才』と呼ばれている、親友のもとへ。
赤い天才の登場フラグがたちました。