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一章 赤い天才 プロローグ
とある川原にて。
「はぁっ……はっ……は、」
血が流れる川底に
重厚な何かがころがっている。
落とし主である女性は口元をおさえて後ずさり
肩を震わせ、泣きじゃくっていた。
「う……うぅ、あ」
彼女は、掠れた声で
「ごめんなさい」と
目の前にある死体にむかって、呟いた。
当然、返事は返ってこない。
その後、女性は覚悟を決めて
携帯電話を取り出し、3つの数字を入力する。
相手が電話に出たことを確認して
彼女は言った。
「人を、殺しました」