ビッグ・アート5
この身長が…
なんかここから先は話にまざっちゃいけない気がした。
私は先輩達に背を向け缶に色を塗る。
後ろから先輩達の話す声が聞こえる。
『俺は、アヤが俺よりでかいし生意気だから嫌い!』
聞こえてしまった会話。
というよりも、嫌でも聞こえてしまう会話。
ー俺よりでかいし…ー
…なんだそれ。
別に好んででかくなったわけじゃないよ。
私、アヤ先輩は嫌いだけど
今だけ味方する。
アヤ先輩は後輩の私から見ても確かに生意気だ。
でも、背が高いのが嫌われる理由になるのは納得いかない。
『ねぇ、一年生もそう思わない?
男よりでかい女とかまじないわ~』
ゲラゲラ笑っているこうき先輩。
こうき先輩は私に喧嘩売ってんのかな?
私が先輩より大きいのをバカにしてるのかな?
それとも僻んでいるのか?
私は自分の身長が嫌いだ。
女なのに170cmもある。
そのわり運動神経がない。
よく『部活なにしてるの~?何でもできそうねぇ~♪』などと近所のおばさんに言われるけど体育の評価は3だ。
しかし、アヤ先輩は違う。
私より少し大きくて運動もできる。
陸上で県大会まで行った。
ある意味私の憧れだ。
性格除いて。
「あ、あぁ…
そうなんですか。」
私は後ろも振り向かず適当に返事する。
ーッチ…ー
!?
えぇ!?
なんか後ろから聞こえたんですけど!?
まさかの舌打ちですか!?
もしかして心の声聞こえてた!?
『あっそ』
振り替えると先輩達はいなかった。
えぇ!?
今度はいい逃げかよ!?
なんか気まずいんだけど!?
てか…もっと後ろにいて欲しかったな…
私の心はひねくれもので…