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8話 意外な結果

「キタ!俺の時代だよこれ!天も俺と三坂さんが結ばれるのを手助けしてるよコレ!」



 めちゃくちゃテンションが高くなってるマツダが大きな声で叫んでいる。



「おい!三坂さんは俺の嫁だ。勝ち上がったのは凄いがそこは調子に乗るなよ。」


「ヤナのものでもないからな。これから俺と付き合ってもらう予定だからな。」



 松田の発言に華柳先輩と池田先輩が食いついてる。正直俺はどうでもいいんで 



「俺はみなさんほど三坂さんへの興味はないんでその話は置いときます。それよりまさか松田が勝ち上がるとは!」と、無理やり話題を変えることにした。



「あ~それは確かに。ここまでだと思ってたのに松田が生き残るとは!」


「すげー意外な結果だよな。正直驚いた!」


「そーいえばまだ言ってなかった。おめでとう!」


「「おめでとう」」


「あざーす!でも実はこれが俺の隠れた実力っすよ!」




大喜びをしている松田と驚きつつもそれを祝福する俺たち。


エリア大会のバトルロイヤル1試合目、勝者は中級2人、そして松田となった。


ぶっちゃけ松田は何もしてないんだけどな。他の参加者はみんな中級2人がぶっ飛ばしてたし。松田は逃げ回ってただけだしなぁ。



しかーし、それでも勝ち残ったのは事実である。運も実力のうちという考えには俺も賛成なので素直に祝福しよう!おめでとう!






 そんなこんなで1試合目から意外な勝者が現れた本大会2試合目以降は大方の人間が予想していた、『中級が勝ち上がり余った枠に下級がちょこっと入るだろう』という予想を覆して進んでいく。



2試合目、勝者は下級が3人という結果になる。


この枠の中級は1人しかいなくレベルで言うと4だ。一方で勝ち上がった3人の下級はレベルで言うと3であり、もう少しで中級になるという強さであった。おまけにこの3人は組んでたらしいので今回の結果は順当なのかもしれない。



 3試合目、勝者は中級が3人。普通の結果だ。



 4試合目、勝者は下級が3人。レベルは1と2!


 この試合には中級が30人中19人という、下級には厳しいものだとみんな予想していた。実際に戦う中級者たちもそうだったのだろう。下級にはほとんど意識を向けず同格の者たちに集中していた。どうやらここでの参加者たちはチームを組んでいないメンバーがたまたま多く出場しているようであった。


 試合が始まり中級同士の戦いの余波で勝手にいなくなると思われていた下級は松田と同様にただ逃げることだけに集中していた。結果として中級の半分が脱落しても下級は8人が残っていた。


 このあたりでさすがに周りの下級を先に潰そうかと考える者はいたが、かといって下級を襲おうとしたら他の中級に隙をつかれて自分が倒されるのは目に見えている。よってほとんどの人が強いやつを先に片づけることにしたようだ。


 しかしその判断が間違いだった。実力のあるもの同志が積極的に潰し合ったせいで、勝ち残った中級も片腕がなくなってたり魔力を使い果たしてしまったりしていた。

 で最終的には逃げ回ってた無傷の下級三人がボロボロで何もできない中級をブッ飛ばし勝ち上がるという結果になった。










 そして俺たちの参加する5試合目。


 出場者は中級が3人で残りは下級のBMだ。そしてこの試合はみんなどこかのチームに所属しているようだった。


 具体的には


 Aチーム 俺、池田(レベル3)、華柳(レベル2)


 Bチーム 中級2人(ともにレベル5)


 Cチーム 中級1人(レベル4)、下級4人(レベル3と2が2人ずつ)


 Dチーム 下級5人(全員レベル3)


 自分から戦ったのはこの4つで他の15人は何チームかに分かれていたが、戦わず逃げ回ってたからどうでもいい。



 




 試合開始時の自分がいる場所は自由に選べるがチームごとに固まってそれらが円状になる傾向がある。


 この試合では上の4チームが会場の中央で四角形の形を作り、残りの連中は試合会場の隅に逃げていた。


 良い感じに緊張感が高まってる中、5試合目が始まった。今までの試合はすべて開始とともに実力者が動いて積極的に敵を倒していたが、先ほどの試合の結果を受けて今回はみんな動かなかった。


 会場の端の方へバラバラに逃げている15人の多くはただ逃げることに集中しているが幾人かは機会を見て仕掛けようとする意志が感じられる。中央の連中は前の試合の二の舞にならないよう慎重に構えていた。



「いけっち、どうする?」


「まだ動かないで。4チームの中では俺たちが一番戦力的にきついから。」


「だからこそ先手を取って主導権を握った方がいいんじゃねぇか?」


「可能ならするけど、どうやってやる?」


「…………あ~それはー…」


「難しいだろ?だから状況を見て動くしかない。相手の手札もわからないしな。」


「なるほど。」


「笹川も良いな?」


「了解です。」



 池田先輩の指示に従い俺も華柳先輩も構えたまま周りの様子をうかがい続けた。


 実際のところ外から見ればBチームとCチームがお互いをけん制している感じだな。彼らから見ればAチームとDチームは消耗してる時ならともかく真正面からの戦いでは負けることはない。

 だからこそ軽く注意するだけで意識の大部分は中級がいるチームに向けられる。


 




 ちなみに俺が中級と気づかれていないのは2つの理由からだ。


 1つは公表される公式レベルが2であるということ。これは力を隠したいとかじゃなく試験に行く時間があるなら修行してた方がいいと考えて公式レベルをあげていなかったことによる。

 

 ほとんどのダンジョンでは潜るのにレベルは関係ないからな。新規に作られたダンジョンのみが管理設備が整っていないため上級のみと制限されるが、調整されたダンジョンでは申請すれば誰でも潜れる。まあ、普通は自分の能力を超えるところには行かないからな、怪我するだけだし。


 んで話は戻ってもう1つの理由は俺の魔力コントロールが優れているからだ。

 魔力量は少ないけど魔力のコントロールは世界最上位だと自負している。なんせ1500年以上も生きてるわけだし。そんなわけで他の中級は見るからに強そうな気配を出してるが、俺からはレベル2相当の力しか感じないってわけだ。


 別に全力で戦ってもいいんだけど『人間』としての俺は最強ってわけじゃないからな、そこまで圧倒的な力はない。中途半端に全力を出した結果、注意人物とみなされ多人数で襲われてもめんどくさいことになる。


 力試しが目的で出場したわけだけどこいつら程度じゃ意味ないしな。やっぱ上級相手じゃないと!あくまで1対1の実力が知りたいわけだし。



 そんなわけで本気を出さない俺なのでどのチームも本格的には警戒していない。









 すでに試合開始から5分は経過した。軽い牽制的な魔法の応酬があったが魔力の無駄遣いと判断したのか今はどのチームもじっとしている。外部にいる【逃げる戦法組】に対し牽制で飛ばした魔法は全部回避され誰も敗退者はいない。



「どうすんのこれ?このままじゃいつまで経っても動かないぞ」



 焦れたのか華柳先輩が池田先輩に問いかけた。



「確かにそうですね。下手したら地方大会のときみたいに勝者なしになる可能性もありますよ。」



 俺も池田先輩がどうするか気になったので聞いてみた。



「わかってる。わかってるけど俺たちからは動けない。それに時間が気になるのは他のチームも同じだ。焦ったチームから負けるぞ。」


「他のチームも同じならこのまま時間切れになるぞ。ホントにいいのか?」


「時間切れになったらその時は諦めよう。」と苦笑した池田先輩が言う。言ったあとに「でもそうはならないように今考えてるけどな。」と付け足した。









 そのままさらに5分が経過。


 試合は完全に停止していた。


 観客の方もトイレや売店へ行くのか席を外す人が増えてきた。さすがに松田はじっと試合を見ているけど。




 飽きました。さすがに飽きました。


 てなわけで試合を動かすために数十秒前から周りに気付かれないようにこっそり詠唱をしておいた。既に準備は万端であとは俺の意思ひとつで魔法が発動し試合が動くことになる。






 ここで少し魔法の解説を!


 魔法には魔法式型と自力型がある。


 魔法式型は魔法式を組み込んだ魔方陣を媒介に入れる。BMの場合は自分の武器に組み込むのが基本だから剣とか杖に組み込み魔法を使う。この時、魔法は“媒介”から発動する。


 例えば氷の魔法、『アイスニードル』を使った場合は剣や杖から氷柱が飛ぶ、あるいは剣や杖の近くに魔法陣が浮かびそこから氷柱が出る。数や大きさは使い手次第だが発動は必ず媒介付近からで、遠くの相手の足元から氷柱を生やしたり頭上からいきなり氷柱を出現させたりはできない。


 まあ、厳密にはできるようにする魔法式があったりするけどそれは上級者だからここでは関係ないな。



 一方で自力型の場合は発動場所も自分で自由に決められる。文字通り“自力次第”だ!

 当然コントロールも難しいし、魔力も多く使うしであまり好まれない。なので自力型を使う人は上級の中のさらに一握り以外はほぼいない。


 これが一般的な常識である。





 そんなわけでして現在、空高くに存在する魔方陣に気付いてる人は選手、観客ともにいない。上級がいない試合で空から攻撃が来るなんて誰も思わないだろうからね。


 みんな周りを警戒するだけで動こうとする者は誰もいない。




 よし、行こう!


 覚悟を決めて魔法発動最終段階に入る。


 使用する魔法は中級魔法『サンダーボルト』 中威力の雷を降らす魔法。


 対象は外野の下級たち全員、そのあと時間差をつけて中央の各チーム全員(弱めるが自チームも含む)。


 使い手を不明にするためにするためにこの魔法で倒すのは外野の逃げる組だけだ。


 また試合を動かすことが目的なので中央に対しては威力を下げて雷の数を増やす。


 準備完了。


 


 予想通りかなりの魔力、俺の全魔力のおよそ3分の1を持ってかれた。が、このあとの戦闘に大きな影響はないと思う。魔力もうまくコントロールして誰も魔法陣には気づいていない。



 そして



「サンダーボルト」


 

 小さな声で囁いた。


 その瞬間、天から15の雷が降り注ぐ!


 逃げる戦法組は反応する間もなく焼かれる。


 それと同時に鳴り響く雷鳴。



「なっ!?」



 急な展開にどのチームも呆然とし周りを見渡す。外野にいた15人は全員焼け焦げて倒れていた。


 中級3人と池田君はすぐに自分を取り戻し空を見上げる。と、そこには半径5メートルほどの魔法陣が存在した。



「魔方陣!?詠唱型か!?」


「誰が…」



 驚きの声をあげたBチームの2人の言葉を聞き、他の連中も空を見上げそこにあるものに驚愕した。


 (こいつら今隙だらけなんですけど。やっちゃおうかな~)って思ったけど自重した。どうせすぐに次のが来るし。



 誰がやったんだ?観客を含め皆がそう考えようとしたとき、魔法陣から紫電が漏れ出す。

 

 バチバチと音が鳴り、魔力が高まる。2発目が来るのが嫌でもわかった。



「ちぃ、また来るぞ!」


「ウッソ!?どうするどうする?」



 池田先輩が叫び華柳先輩はパニクッてる。


 冷静な人は防御魔法を展開し、それを見た他のものもそれに続く。


 そして全員が防御した途端に再び閃光が降り注いだ。


 今度の雷には物理的な力が備わっていた。防御魔法の上から各選手をバラバラに吹っ飛ばす。





 1発、2発、3発、4発、5発、…………



「クッソー…キツイ」「もう持たないぃ」「うー…」「ああああああああ」


 

 雷の轟音、地面が吹っ飛ぶ音に紛れて選手の悲鳴が聞こえる。


 状況を確認しようにも雷の閃光で目が眩み、絶え間なく降り注ぐ魔法によって位置が動きまくっている。魔法が止まるまで耐えるしかなかった。



 う~ん…実際のところ、最初の外部にいた連中に使ったのと違って今降っている雷は見た目は派手で物理的パワーは強いが感電させたり、焼いたりする能力は低い。だからこそ何発も打てるのだが誰もそこには気づいていないようだな。ひたすら防御に専念してる。





 全員に20発以上の魔法が浴びせられたところでようやく魔法陣が消滅した。


 地面からは土煙や蒸気のようなものが所々から立ち上がり、吹っ飛ばされた土石が乱雑にまき散らされている。


 土が崩れる音や煙のシューッという音以外には何の動きもなく会場は完全に静まり返っている。


 俺の近くには2人の先輩とBチームの中級が1人(メガネの20歳過ぎくらいの男・フツメン)、Dチームの3人がいた。どうやらDチームの残りの2人は今の雷でやられたらしい。


 Bのもう一人の中級(マッチョな不良っぽい奴)とCチーム全員は俺たちから離れたところで倒れているが全員まだ動けそうだ。



「…ちくしょう…なんだってんだよ。」



 そう言いながら身を屈めて雷雨を乗り切った中級フツメンが起き上がる。


 その後ろから俺は愛用の改造ロングソードを振るった。


 ヒュッという風切音とともにフツメンの首が飛んで行く。



「中級討ち取ったり~!!!!!」



 空気を読まず叫ぶ俺。


 そしてそれを呆然と見ているほかの連中に対し俺は



「先輩たち!何やってんすか!?今がチャンスですよ!」



 言いながら近くにいるDチームに襲い掛かる。



「…お、おう!そうだな!」「よし!行く!」



 我に返ったのか俺に続く先輩たち。それを見て他の連中も試合途中であることを思い出したのか動き始めた。


 俺は敵3人の中の一番弱いであろう遠距離タイプの学生に切りかかった。他の2人が味方を助けようと俺に攻撃をしかけたとき先輩たちが到着し、



「笹川はそいつを!俺たちもそれぞれぶっ倒すぞヤナ!」


「了解!」



 とそれぞれの相手と定めた人に襲い掛かった。


 遠くでは中級マッチョとCチームの全員が戦っていた。個人の能力ではマッチョが有利だが相手は5人、かなり接戦となっている。当分こちらにアクションを起こすことはないだろう。



 俺の方は距離をとろうとする相手に対してびったりマークし離れないで戦っている。先輩たちもなかなかの接戦となってるのでそちらが片付いたらとどめを刺そうと思う。


 






 そんな感じでしばらく戦っている。


 池田先輩は相手とほぼ同格。わずかに池田先輩が強いと思うが気を抜けば簡単にひっくり返る程度の差でしかない。けど先輩はその辺をしっかりわかっているので大丈夫だろう。


 問題は華柳さんだ。相手は1つ上のレベルだからかなり手こずっているようだ。


 正直、先輩たちが勝とうが負けようがどうでも良いけど後で文句言われても嫌だし助けることにしよう!


 

 俺の相手が距離を開けようとバックステップした瞬間、剣を地面に突き刺す。そしてそのまま俺の前方の足元に薄い氷の膜を作った。


 俺の相手はジャンプして浮いてた足が氷につくと思いっきり滑って転んだ。その拍子に頭を打ったみたいで気絶してしまいそのまま敗退となった。




 ………ダサすぎでちょっと可哀そうかもしれない。


 せめて剣で攻撃すべきだったかと場違いなことを考えつつ



「うおりゃー!」と叫びながら華柳先輩の援護に向かった。



 ここまでくれば特に問題なく戦いは進んだ。


 俺の加勢により2対1と前後に挟まれ相手は動揺する。そこを華柳先輩が攻撃し決着がついた。

 

 一方で池田先輩は全身に傷を負いながらも一人で相手を倒したようだった。3人が近くに集まると先輩たちの傷を簡易型の魔法で治療した。まあ、止血程度のものだけど。

 治療しながらもう一方の試合を見ると中級マッチョはかなり消耗しているようだ。Cチームの方の中級もボロボロで下級は既に1人しか残っていない。



「池田、どうする?攻めるか?」


「………」


「治療終わりっす!止血程度ですから無理は禁物ですけど。」


「いや、それでもありがたい。ありがとな!」


「確かに。助かるぜ!」


「いえいえ、俺が一番楽な相手でしたから。それよりもどうしますか?向こうの人たちも俺たちに気付いてますよね?」



 マッチョたちとは距離があるが、先ほどから両チームともにこちらを意識に入れるようにしている。結果として戦いとしては膠着しつつあるようだ。



「2チーム合わせても3人。しかもボロボロ。今なら勝てるんじゃないか?」


「いや、下手に手を出すとあそこで手を組まれる可能性がある。何せ勝ち残りは3人だからな。それにボロボロとはいえ中級だ。格上相手に油断は禁物だ。」


「確かにそうっすね。なら戦いが終わるまで待ちましょう。」


「いや、それも駄目だ。時間が経つとやはり手を組む可能性は高くなる。」


「じゃあどうする?」


「笹川がさっき使った手でいこう。ちょっと見たけど地面を凍らせて滑らせてただろう?しかもあの氷はかなり滑りやすくなるように調整されているよな。あれはどれくらいの距離から使える?」


「ただ滑らせるだけの氷で良いならここからでも使えます。けど面積は小さくなりますよ?それに剣を刺した位置から氷の線ができちゃうから避けられる可能性がありますよ。」


「発動させた場合、あそこに届くまでどれくらいの時間がかかる?」



 池田先輩が目標地点を指示しながら言う。



「3秒くらいですかね。」


「じゃあ、避けられないようにタイミングは俺が言う。合図したらすぐに発動してくれ。」


「了解っす。」



 そう告げ剣を突き刺し、いつでも発動できるようにした俺。



 俺たちが作戦を練っている間にも戦いは続いている。


 マッチョは見た目通り接近戦が主体らしく相手側に果敢に攻め入っている。それに対する2人は中級が相手の攻撃を前で受け止め、もう1人が後ろや横から魔法で援護している。そうしてだいぶ疲労した両チームは拮抗している。


 しかし、ついに均衡が崩れる時が来た。


 いつまでも動かない俺たちを見てさっさと目の前の2人を倒した方がいいと判断したのか、マッチョは俺たちへの警戒を下げ力のすべてをCチームの2人に集中した。おそらくサンダーボルトやパートナーが敗れたこと、疲労などによって判断が鈍ってたんだろう。


 これに対していまだに俺たちの動きを警戒しつつ戦っている二人はマッチョに押され始め、ついに下級の男が倒された。


 最後の仲間が倒されたことで動揺する敵に向かってマッチョは突撃する。この勝機を前にして頭の中から俺たちのことは完全に消えていた。


 俺たちに背中を向けた状態で突撃するマッチョに対し


 

「今だ!」



 先輩の意を受けた俺が魔法を発動させる。


 剣の先から地面に冷気が伝わり、マッチョの足元めがけて氷の線が出来ていく。


 あと一歩で攻撃範囲に届く瞬間に足を滑らせた。



「なっ!?」



 驚きながら仰向けに転倒するマッチョに対し、チャ~ンスと言わんばかりに切りかかるもう一人。


 けれどマッチョも接近戦を得意とする男。転びながらも迫る男に対して攻撃を繰りだしている。





 結果!互いの攻撃が直撃しあう。

 

 そしてそのまま重なり合うように倒れ動かなくなった。


 相討ちである。出来過ぎなくらいに見事な相打ちだった。










「試合終了です!勝者、笹川、池田、華柳の3選手となります。」


 審判の声が響き渡る。


 こうして俺たち3人とも次のステージへ進めることとなったのである。


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