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4話 ダンジョン探索2と現状確認



「お~亜種ゴブリンからでてきた魔法式は下位のだけどレアタイプだ!」


「あ、てめ !? そこのは俺が倒したんだから俺に寄越せ。」


「もう遅いー。俺の剣の中に入っちゃったし!」


「まだこっちにあるから大丈夫だ。とりあえずさっさと終わらせて休もうぜ。」


 エロ太とDの言い合いに疲れた顔をしたAが割って入って言った。俺がメタルウルフを瞬殺した後は(本当にすぐ終わった。狼もゴブリンも反応する前に切り飛ばすことができた。) 3人の戦いを鑑賞していたけど、前衛2人は自分の標的に夢中になってたせいで何体か後衛のAに襲い掛かってたしな。

杖を構え攻撃魔法メインで戦うAは本来遠距離から戦うタイプだ。余計な魔力を使ったんだろう。


俺が指揮を執ってる時はまだマシだけど本格的にチームワークを向上させる訓練もそのうち必要だな。これが中級レベルのダンジョンだったら致命的なことになってたかもしんないし。


お、そろそろ作業もひと段落したみたいだな。


「回収終わったな?じゃあとりあえずレストエリアに向かおう。次の階層にあったと思うけど。」


「ちょっと待って。・・・・・えーと確かに26階にレストエリアあるな。」


 俺の言葉を受けてDが携帯端末で情報を確認する。


一般的にLV7 までのダンジョンは出現モンスターの種類と階層、回収できる魔法式、トラップの有無、通路の構造などが公開されている。スリルを求めるものや訓練などで必要があるもの以外は基本的にそれらの情報を確認しながら探索する。


 今Dが検索したのはダンジョン内に存在する休憩所のことだ。そこはダンジョンにもよるが基本的には水道もしくは泉などがあり水分補給ができる。またトイレもついてたり中には自販機を置いてあるところもある。

 商品補充とかどうやってるんだろうか?ちょっと疑問だがそれは置いておこう。






 そんなわけでやってきました、休憩所。来る途中で何体かのモンスターに遭遇したがどれも問題なく倒せた。そして現在、俺は端末に記録された戦闘記録の見直しをして、他の連中はトイレに行ったり飲み物を飲んだり休んでる。


「ふ~すっきりした」とトイレからDが戻ってきた。


「全員そろったし、ここまでくる間に気付いたことを話すぞ。」


 3人ともだらけながらも頷いた。


「まず連携についてなんだけどこれは帰ってから時間をかけて考え直そう。それよりも今の個人の実力のことなんだけど…」


「あー中級であれだけ数いたのに意外と余裕だったな。」とエロX が言う。


「そう、次回以降潜る予定のダンジョンはLV 4~5くらいでメタルウルフ級のモンスターが2,3匹ずつ出るような階層だけって考えてたけど、もうちょっといけるかもな。」


「でも俺は魔力がキツかったんですけど。山彦 ( Dのこと)も風太 ( X)もウルフに抜かれて俺んとこにモンスターが来てたんですけど」言いながら2人をジロッと睨む。


 2人は微妙に引きつりながら顔をそむけている。


「今回は見逃してやれ。それは今後の課題ってことで。」俺の言葉を受けて仕方なしと言わんばかりに溜め息をついたA。ま、でもそれほど怒ってるわけじゃあないようだ。


「んで、話を戻すけど1年前、俺たちが異世界に行く前の実力がLV 2~3 相当だったから今はLV 5くらいかなって思ってたんだけどもうちょっと上でも行けるかもな。」


「マジで?実はそんなに強くなっちゃってるの俺たち?」


 俺の言葉を聞いてX が嬉しそうに言う。


 ただ申し訳ないがちょっとだけ違うんだなー。さっきの戦闘記録を確認したあと、グローバルネットに接続し簡単に中級の実力を見てみたけど、俺たちの身体能力などの基礎能力はそれほど高くない。


「戦闘経験による差だろうな。相手の動きを読んだりとか戦いのテクニックとか。お前ら3人の基礎能力はLv 5くらいで俺が6くらい。ただしエンチャントなどで一時的に高めることは可能だけどな。」


「そっか…いやそれでも十分だ。そもそも中級に上がるのが昔の俺の目標ってか夢だったからな。実際になれるとは思ってなかったし。」



 嬉しそうにAが言う。確かに戦闘を行う魔法使いの中で70%は下級かもしくは中級の下だ。レベルにすると1~4あたりである。


 そもそも開拓者では国民のほとんどが魔法を使える。ただ一般の人は店で売られているライター程の火を起こす、ちょろっと水を出す、懐中電灯くらいの光を出すといった簡易型魔法式が埋め込まれた道具を使う程度のものだ。


 そこから一歩踏み込んで魔法を扱う者たちの中で戦闘を行わない者たちをメイジと呼び、戦闘を行うものをバトルメイジの頭文字をとって『BM』と呼んでいる。一部では魔法騎士、マジックナイトだとかいう人もいるがそんなのはどうでも良い。


 BMのうち7割は4以下で5~7の中級の真ん中から上は27%くらい、上級の8~10は3%ほどだ。そこから考えるとLV5というのはそれなりに強いと考えられるのだ。




「個人的にはもう少し上に上がるつもりだけどね」とDは言う。


「今の俺たちの強さはどれくらいかな?ちょっと簡単にまとめてくれよ。」


 その作業は俺がやるの?良いけどめんどいんですけど。


仕方ないけど……じゃあ、レベルで表すと~


「SとかAで表して。そっちの方がゲームっぽくてかっこいい」と訳の分からない注文を言いやがった。まったく………





「SSS、SS、S、A、B、C、D、E、F、で表現して能力値はだいたいの平均でまとめるぞ。下級はEかFって考えろよ。」




名前  三柳 竜也 (Aのこと)

武器  杖 ティンクルロッド 

体力  D

魔力  B

力   E

敏捷  D

 魔法技術B


備考 遠距離タイプ 自然系の下級全般、中級の一部の魔法を主に使う。




名前  東 山彦 (Dのこと)

武器  双剣 ツインファング

体力  C

魔力  C

力   C

敏捷  C

 魔法技術C


備考 近距離タイプ 主に武器へのエンチャントによる属性付与を行い戦う。




名前  佐々門 風太 (Xまたはエロ太のこと)

武器  大剣 山割

体力  B

魔力  D

力   B

敏捷  C

 魔法技術D


備考 近距離タイプ 身体能力強化系の魔法を使う。



 

名前  笹川 大祐

武器  剣 ロングソード(改良により魔法式の容量は多くなっている)

体力  B

魔力  B

力   B

敏捷  B

 魔法技術S


備考 オールラウンダー 魔法技術は高いけど魔力量の問題で強いのはあんまり使えない





 だいたいこんなところか。もちろんこれは平均だから実戦では高くなったり低くなったりするけどな。


 ん?どうかしたかなA君。


「これはー防御力はないのか?」


「や、Dとエロは防御系の魔法使えないだろ。それに例えば剣とかで身体に直接攻撃されたら誰だって傷つくだろ。筋力でパワーは変わっても防御力はそんなに変わらんべ。」


「うーん……まあそういうことにしておくか。」


 何こいつ?せっかく俺が頑張ったのに文句あるの?


「この評価の基準に合わせるとメタルウルフは?」


「平均D、ゴブリンによる強化と数が多かったからCとBの間くらいかな」


「なるほどなるほど。」


「ちなみにゲートアウト前の俺たちはEとFばっかだぞ。一部でDがあるくらいで。」


「魔王時代は?」


「俺が全能力EXだ。お前らはSSS~Sのあたりだな。」


「EXって…てか俺たちはSSとかってことは開拓者の中には使徒級のやつがいるってことか?」


「EXはSSS以上のものが全部そこだ。貴族の本家の当主とか次期当主とかの中には使徒級はいると思う。それに異世界でもたまに使徒級の人間もいただろ?どっかの国の剣聖だとか、あとは最終的には俺のペットにしたけどミルベリーとかも人間の頃から強かったじゃん。」


「あ~確かに。てかミルベリーとか懐かしいな。あの身体は懐かしい・・・」「大祐しか触ってなかったよね。俺も一度くらい・・・」


 いつのまにかエロ太とAは話が脱線しているな。でも確かに懐かしい。サラサラした金髪に翠の瞳。スタイルも抜群で俺好みの巨乳で!あとは・・・・


「おーい!そろそろ狩りに戻ろうぜ。時間も押してきてるぞ。」妄想の世界に入っていた俺たちにDが呼びかける。


「おっと。もうこんな時間か。このダンジョンは30階までだったな。じゃあ行くぞ野郎ども!」


「「「うぃ~」」」と気の抜けた返事をする3人。油断してるとひどい目に合うってのに。

 

まあいい、とりあえず出発しますか。













 30分後。地下30階。

 

 現在ひどい目にあってます。


「うおーい、また来た。山彦はそっちを抑えてて。俺があっちを叩き割ってくる!」


 そう叫びモンスターの群れに突っ込んでいくエロ太。向かう先にはメタルウルフ3匹にノーマルゴブリン5匹、ボーンバットが8匹と大量でございます。山彦ことDはAに近寄ろうとするモンスターを相手にしている。AはDtoエロ太の援護。俺?俺は3体のミノタウロスを相手にしているよ。


「フリーズランス」


 Aの杖の先に浮かぶ魔法陣から8本の氷の槍が飛び出す。エロ太が相手にしていたモンスターが5体倒れ魔法式になった。


 しかし一息つく間もなく新しいモンスターが現れさらにさきほど出現した魔法式に魔力が集まり再びゴブリンとボーンバットになった。


「もーやだ。泣きそう。終わんないぞこれ。Xの責任だかんな。」


 双剣を振り近づいてくるボーンナイト(下級兵)を切り伏せながら泣き言をいうD。切り伏せられたボーンナイトはまた再生し襲い掛かってる。


「これは俺だけじゃねえよ。てかおまえにも原因はあるだろ。」言い返しながら大剣を盾にして飛来する火球を防ぐ。Xの後ろには新手のコボルトメイジが出現していた。


「集中しないとやられんぞ。部屋の魔力が切れるまでモンスターの再生は続くからな。体力と魔力の配分に注意しろよ。」


Aは全体に声をかけながら杖に魔力をため、「岩突隆起」というと同時に杖を地面に突き刺す。


 モンスターの足元から50センチほどのとがった岩が飛び出てくる。それによってコボルトメイジの足が動かなくなったところをエロ太が大剣で横払いをし一掃した。


 しかしこの部屋、『トラップハウス』効果ですぐに再生する。


「あーあーあーあーあーもうやだ。もう泣くホント泣く。」Xが叫び声をあげる。


 3人が流すBGMを背中に聞きながら戦っていた俺はミノタウロスを5回倒したところだ。そして5回目の再生が始まった。


 なーんでこんな状況になったのか?それは少し前にさかのぼる。




 30階までは問題なく降りてきた。新規のモンスターの出現ポイント、通称狩場と呼ばれる場所を確認した後、ボスモンスターがいるかを確認しに行った。


 ボスモンスターはその名の通りそのダンジョンで一番強いもので特殊な魔法式をくれる。

そして一度倒されるとしばらく出現しないが魔力がたまるとまた新しく出現するのである。


例えば今いるダンジョンだと3体のミノタウロスがボスだがこれは中級ダンジョンでもエンカウントするモンスターだ。しかしボスとして出た場合の方がより優れた魔法式が手に入る。その分少し強くなっているがそれほど大きい変化ではない。そんなわけで割とボスはいないことの方が多いんだが、今回は出現した。おまけにしばらく誰も来なかったのか護衛のモンスターまで揃っていた。


 そのため一度撤退したのだがXが音を立て気づかれてしまった。数が多いので有利に戦える場所を探してここだ!っとDが入り込んだ部屋はなんとトラップ部屋で、部屋の魔力が尽きるまでモンスターが再生するという罠だ。部屋から脱出は不可、状況によっては新規のモンスターが召喚されるというおまけつきなわけだ。


 さっきメタルウルフにしたようにエンチャントを使い瞬殺しようかとも思ったがあれは魔力消費が激しすぎるしモンスターは再生するため無理をせず戦っている。



 目の前ではミノタウロスの再生が終わり再び襲いかかってきた。もうホントにめんどくさい。


帰ったらDとXのおごりで高い料理を食ってやる!と考えながら俺はミノタウロスに意識を傾けた。 


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