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34話 結論を言うと再会なのか偶然なのか、なんかこう凄い運命なのかはわからないまま

 可愛いアリスとイチャイチャしながら移動していたら変な連中に絡まれた俺。



「はたして俺はアリスを魔の手から守り抜くことができるのだろうか?」


「わたくしは大祐に出会えただけで幸せです。たとえここで命を落とすことになるとしても悔いはありませんわ。」


「アリス………お前だけは何があっても守り抜いて見せる!」


「大祐……」



 潤んだ瞳で見つめ合う二人。


 そして徐々に顔が近づく。


 思いっきりふざけてるわけだが、意外とアリスは乗ってくれる。


 そういえば、“前からそうだったか。”


 他の人の場合だとスルーだけど俺の小芝居には付き合ってくれてた気がする。


 そんなわけであとちょっとでアリスとキス!


 ってところで二人の間を一条の光が駆け抜けた。



「うおぃ!!」



 思わず声が出ちまったぜ。アリスは平然としてるのに俺が驚いたらちょっとダサいよな。


 発生源を見るとどうやら金髪碧眼エロボディの女がシビレを切らして魔法を放ったようだ。指先に魔法陣が浮かんでいる。


 一瞬詠唱型の魔法か?と思ったけどよく見ると、精巧な紋様の彫られた美しい指輪から魔力が漏れている。どうやら指輪型の魔法式貯蔵物らしい。



「あんた!ホントいい加減にしなさいよ!あたし達がわざわざ来てやってんのに何なのその――」


「リア、お願い。」


「了解だよ。」



 リアと呼ばれた女が凄い速さで動き、無礼な女を押さえつけ後ろに下がった。


 抑えられた女は「離して!1発殴る!」と言いながら暴れているが、強引に連行されていく。


 結果として彼女たちの後方には2人の女が口をふさがれて暴れている状態だ。



「ごめんなさい。手短に済ませるので少しだけ真面目に聞いてもらえないかしら?」



 さっきから指示を出している女の子、茶色で腰より少し上位の長さのウェーブヘアをした女の子が真面目な顔でお願いしてきた。


 この女は睦美とはまた違う感じのロリ巨乳、十分俺の守備範囲内の女なんでとりあえず話だけは聞いてやろうかなという気分になった。


 やっぱ容姿がいいのは得だねぇ~



「良いよ。でも手早く頼むな。」


「ええ。ではこちらへ来てください。」



 そういってロリ巨乳たちが先導して歩き始めた。あ、暴れてたやつも一先ず大人しくついて来ているぞ。


 一番近くの通路を曲がると直ぐにテーブルやイス、自販機などがありちょっとした休憩スペースのようになっている。が、人はいない。


 アリスに聞くと、今の時間帯はほとんどの人が研究を開始する頃だし、そもそも自分の所属チームの部屋こそが休憩室見たいものだからあまりここを活用することはないそうだ。


 俺は長椅子に座り、隣にはアリスを座らせその腰を抱いた。正面の長椅子にはロリ巨乳こと七浄と先ほど暴れた二人の女が座っている。ストレートの黒髪が倉島 奈瑠美で金髪碧眼がリフィルだ。


 残りの女は右と左側に立っていて、俺たちは長方形のような配置になっていた。


 あまり時間をかけたくないから俺から話を切り出すことにした。



「お前たちの聞きたいことは大体わかるけど、俺にも原因はよくわからん。これからアリスとそれについて話すつもりだったからな。」


「ちょっと!そんな適当な説明で納得すると思ってるの!?」



 キャンキャン喚くリフィルのお嬢様。


 あ、てかフルネームがわからんな。自己紹介をした方が………いや、また今度にしよう。



「無視しないで!ちゃんと初めから説明してよ!」



 リフィル嬢うっさい。


 リフィル家のお嬢様はマジでウルサイ!


 声が高いから頭にガンガン響くし。


 他の人達は割と静かにしてるのに何でこいつはこんなにうるさいんだろう?イライラするぞ~


 基本的に俺はどうでも良い他人のことは気にならないけど、自分の部下とか身内に対しては感情の動きが大きいようだ。




 押し倒してぇ~!


 押し倒して黙らせて喘がせてやりたい!


 “そもそもミリアは普段は煩いくせにベッドの中だと途端にドMの女になるんだよな。黙らせるには押し倒すのが一番早い。どうせ本人も口では文句言いつつ抵抗しないだろうし。”





 …


 ……


 ………ん?


 またまた知らないはずの情報が頭に浮かんだな。名前もいつのまにか『ミリア=リフィル』っていう本名を認識しているし……


 こいつらと近くにいればいるほど、話せば話すほど強い影響を受けている。


 ホント何なんだろう?


 現役魔王と眷属だったときよりも相互作用が強いなんて……いくつか理屈はつけられるけど、どれも決定打に欠けるな。


 ………もしかしたらこいつらは魔王と眷属以上の関係があるのかな?


 だとするとそれはいったい………



「あ、あんた!いったい何やってんの!?」



 いきなり凄い大声で叫ばれたせいで思考が中断された。


 あとちょっとで何か良い案が浮かぶような予感があったのだが…………仕方なくミリアを見る。


 しかし俺を睨んでるかと思ったミリアは予想に反して違うところを見ていた。おまけになんでかわからないけど顔が赤くなっている。


 気づけば周りの女たちも顔を赤くして一点を見つめていた。



「あ、あの………大祐?」



 アリスらしからぬ戸惑ったような声が聞こえた。


 不思議に思ったのでみんなの視線の先、アリスを見るとこれまた珍しいであろう顔を赤くした彼女がいた。



「どうしたアリス?大丈夫か?」



 尋ねると彼女は俯きながら上目遣いで俺を見て言う。



「いえ、あの……ん………あぅ………手を……ああっ……んああっ!」



 最後には可愛らしい小さな嬌声を上げながらアリスが言う。


 そこで何が起きてるのかようやく気付いた俺。


 どうやらミリアとの情事を思い出しているうちに、本能に従い身体が勝手に動いていたらしい。


 アリスの腰に回していた手がいつの間にか前方に来ていた。そしてあろうことか堂々とスカートの下へ侵入し、その先の紫色の布の下にまで潜り込んでいたようだ。


 自分の左手の方を見てみればモロにアリスの大事な部分が見えてしまっている。


 下も銀髪なのか!





 ……いや、違う。


 今はそんなことを考えるときじゃない。


 とりあえず手を抜いて元の腰の位置に戻す。するとアリスは赤面しながらも落ち着いて衣類を整えて座り直した。


 場には何とも言えない空気が漂っていた。


 目の前にいるお嬢様方は貴族の本家の人間だけあって貞操は大切に守っているんだろう。


 いきなりの出来事にどう反応していいかわからないようだ。




 肝心のアリスはというと………


 こんなことしちゃって何だけど欠片も怒っていない。恥ずかしくはあるけど俺が望むことならすべて受け入れる、そう思っているのがわかる。


 俺の妄想とかアリスの態度からの判断とかではないぞ。


 アリスの大切な部分に触れた時に、性魔法でも使ったのかあるいは別の要因なのか?


 直接接触したことでより影響が強くなったのかな?


 そこは具体的にはわからないが、結果として彼女の感情がダイレクトに俺の心に伝わるようになった。


 気配とかで察するのではなく、心が繋がった感じだ。


 今のアリスに怒りの感情は全くなく、大きな羞恥の感情と………2人で続きをしたいというわずかな想いが伝わる。






 やべぇ!珍しくなんか凄く嬉しいんだけど!


 顔の赤みが取れたミリア嬢たちの冷たい視線を受け流し、俺はアリスのそっと抱き寄せた。



「ごめんな、いきなり。信じられないだろうけど何か無意識に体が動いてて。」


「いえ、良いんです。わたくしはあなたのモノですから。」


「アリス………」


「ただその……できればこういったことは二人きりの時に……。いえ、もちろん大祐がそうしたいと仰るのなら従いますわ!ですがその……何と言いましょうか……」


「……そうだな。二人っきりになったらしような!」

 


 そうして正面からギュッと抱き合う俺たち。


 アリスの静謐な感じの、でもすごく心地よい甘い香りが身体の中に入る。


 ずっとこうしてたいな~!超幸せなんですけど!


 そんな俺たちに対して外野の方々は極寒の視線を向けてくる。


 まあ、あいつらの立場から見ると、この状況はただのイタい人か頭の悪い人だよな……


 そして予想通りのことを感じたのであろう、ストレートな質問が出る。



「あんたバカなの?」



 心底蔑んでいる様子を隠すことなくミリアが言う。他に侮蔑の視線を向けてくるのは奈瑠美さんですね。残りの人はひきつった苦笑いをするか無表情かだ。


 改めて言う。


 基本的には他人になんと思われても気にしないが身内とか自分の女に冷たくされるのは結構傷つく。


 仕方ない。



「ゴホン。え~では改めて真面目に話し合いましょうか!」



 冷たい空気を払しょくしたいのと、早くアリスと二人になりたい俺はおふざけをやめ、真剣に会議を始めた。



























「以上のことがあったわけで、今日はホント疲れたわけですよ~。」


「へ~俺たち以外の眷属か……」



 俺の長い説明を聞きAが答えた。


 場所は変わって今俺がいるのはいつもの訓練場だ!


 あれから色々あって結局今日は早い時間に帰ることになったから、まっすぐここに来てAとエロ太に話を聞かせてやったというわけだ。


 Dと松田は訓練中だからこの休憩室にはいない。


 Aとエロ太も俺が来る直前まで戦ってたから戦闘服のままだ。スポーツドリンクを飲みながらテーブルを囲んで話している。



「でもホントなのか、それ?俺たち以外の眷属なんているわけないだろう?」


「そうだな。おまけに今現在で眷属の気配を放っているのもよくわからんし。それについてはっきりしたことはわかったのか?」



 エロ太とAが言ってくる。



「眷属であるのは間違いない。ただお前たち部下とは違って、魂に魔王の力を入れたみたいだ。」


「はぁ……」「どういうことだ?」



 お嬢たちと話し合っていろんな情報を得た。さらに会議が終わった後改めてアリスと二人きりで話をし身体をいろいろ触りまくった結果判明したことだ。


 あ、最後まではできませんでした。ナニがとは言わないけどね。



「お前たちは肉体に魔王の力を入れたわけだけど、あの貴族のお嬢様方は魂に魔王の力が宿っている。だから近くに行くまで気付けなかったんだ。よっぽど強力な魂でもない限りは肉体が上位だからな。ただでさえ貴族の肉体は強力だし魂からの影響なんてあまり受けないんだろうな。」



 アリスの心が理解できること。


 あれは魂に繋がりがあることによるものだ。


 ここでの詳細は省くが現役魔王のときにいろいろ遊んで試したからな。今にして思えばその時の感覚と一緒だった。


 ただこれは絶対ではない。あくまで予測であるため今後しっかりと調べなければいけないんだろうな。



「どういう意味だそれは?」



 Aはイマイチ話を理解できていないのか、顔中に疑問を張り付け聞いてくる。


 飲み物を置いてテーブルから身を乗り出してくるから汗くせぇ!



「ちょっ!?クサッ!離れて!」


「あ、酷くねそれ!臭いとか!」


「ハイーハイ。ほら、話の途中だろ。座れって。」



 さらに身を乗り出して抗議してきたAをエロ太が座らせる。まあ、この程度の発言はいつものことだからAもさほど気にせず「んで、どうなんだ?」と話を進めてきた。



「俺もまだ完全にはわかっていないからな。とりあえず今のところの情報を簡潔にまとめるぞ!」



『俺の考え』

(1) 貴族本家で俺と同年代の女は百合子以外すべて俺の眷属。これは確定。

(2) 女たちは肉体ではなく魂に力を入れられたようだ。

(3) ただし、いつ眷属になったのかは不明。

(4) 女たちに関する知らない記憶が不意に浮かぶことがあるので、どうも俺の中に情報が眠っているようだ。魂の研究を続ければきっと答えが出る筈さ!






「なるほど。じゃあ、結局のところ今後やることは変わらないってことだな?」


「その通りだよエロ太君。現在不明な部分も研究することによって、魔王関連の問題をクリアする頃には解決できるさ。」



 「そっか。じゃあ別に俺が気負うことはないな。」と一人頷きテーブルに顔をつけるエロ太に対し、Aの方は訝しげな視線を俺に向けてくる。さすがにエロ太よりは賢いな。


 渋い顔のまま俺に聞いてくる。



「俺の考え?」


「そう。あくまで『俺』の考えのまとめね。」



 ここでどうやらエロ太も気づいたらしく、ガバッと起き上がって言葉を発した。



「リーダーの考えってことは……お嬢様たちの考えは違うってこと?」



「うん。あいつらの予想はこうだ。」



(1) 大祐は当代の皇帝候補なのでは?その為わたしたちが惹きつけられている。

(2) しかし百合子は違う。これはハヤテと大祐が幼馴染であることが関与しているのか?

(3) 確信はないから観察していく。












「…………」 ← 俺


「…………」 ← A


「…………」 ← エロ太



 お嬢様たちの考えを話したところ、微妙な沈黙が訪れた。


 数分して、



「え?笑うところ?」 ← Aの言葉。


「あーたたたた。痛い痛い、頭が痛い。」 ← エロ太ことXの言葉。



 普段なら殴り飛ばすべき失礼なセリフだが今日は多目に見ることにする。


 気持ちはわかる。


 俺も女たちが真面目に議論しているとき笑いそうだったから。





 当たり前だが貴族には一般に知られていない秘密が多数ある。


 その中には皇帝に関することもあり、次の皇帝に関する情報もあるらしい(詳細は機密なので教えてくれなかった)。


 それに加えて本家の女が何人も一人の男、つまり俺に感じるものがあった。


 その隔絶した力により精神操作などの状態異常系魔法は全く効かない女たちがだ。


 これらを総合するとさっき言った結論になるらしい。まあ、百合子のこともあるから半信半疑というか「可能性の一つかもね、要検証だね」というような感じだったけどな。






「いや、だからって皇帝とか!プッ!ッアハハハハハハハ。有り得ね~!」



 大声で笑うX。


 うん。笑いたくなるよね。


 皇帝っていうか魔王だからね。世界を統治するっていうか世界を蹂躙する側だからね。



 馬鹿笑いするXをよそに「リーダーから眷属の話はしてやんなかったの?」とAが聞いてきた。



「うん、してない。提示できる証拠が今はないからな。ホントか尋ねられても証明できないし、そもそも俺自身がいつ眷属にしたのか覚えていないからね。」


「それもそうか。」



 納得したのか頷くA。


 俺の結論にしろあいつらの結論にしろ、今後の予定は変わらないしな。当面は予定通りに研究をしていくだけだし。


 研究を進めれば俺の中にある情報を引出していつ眷属にしたのか思い出せるだろう。皇帝だとかの誤解を解くのはその時で良い。


 未だに馬鹿笑いするエロ太の声を聴きながらそんなことを考えていると、訓練に一区切りついたのかDと松田がやってきた。


 二人は汗を拭きながらやってくるわけだが、見るからに暑苦しい汗臭いオーラが出てるからあまり接近してほしくないな~


 そんな俺の内心をよそに二人も近くの席に着いた。



「あれ~?おまえ今日は来ないんじゃなかったのか?」



 ピンクのいかにも女の子の使いそうなタオルで汗を拭きながら松田が聞いてきた。どうでも良いが、このタオルはおそらく彼女のなのだろう。



「いろいろあってな。」



 臭いのを我慢して、2回目の説明する俺。ただ松田がいるから大事なとこはぼかして説明している。DにはあとでAかエロ太が教えるだろう。












 説明を終えた後は雑談タイムだ。部下たちの訓練状況や松田の様子を聞いて30分ほど話した。


 そして最後に今後の予定を話題にしようとしたとき、ふとエロ太が言ってきた。



「そういえば最近はずっと宝具を使ってないじゃん。たまには訓練したいんだけど使ってもいいか?」


「あ~それは俺も思っていた。俺の場合は普段は双剣で宝具は大鎌だからな。別に訓練しないと腕が鈍る。」



 エロ太に同意してDも言う。


 Aの方はというと「や、俺のは武器じゃないからな。訓練のしようもないし。」とのことだ。ちなみに俺の宝具も武器じゃないから訓練とかはあまり関係ない。


 けどこいつらの言うことも一理あるな。


 じゃあ―――



「待って!お前ら全員宝具持ちなの?」



 いきなり机に手をついた松田が興奮して叫んできた。



 それに対してエロ太が代表して「おう!リーダーと竜也(A)が二個、俺と山彦(D)は1個持ってるぞ。」と答えた。


 俺は正確には2つで1つというかなんというか……Aと違って明確に別々の2つがあるというわけではないんだよな。



「どっち?魂性?星性?」


「俺たちはみんな魂性だ。」



 エロ太の返事を聞いた松田はマジかよ~!羨ましいな~!と悶えている。


 宝具というのは大雑把にいえば、人が作ったものではない優秀なマジックアイテムみたいものかな。

正式名称は『非人造先天的魂核性ならびに後天的星核性~~~~~~魔法道具』というなんだかよくわからない長い名前だったはずだが、いつかの皇帝が宝具と呼び始めたことでそれが定着したらしい。


 

 宝具には魂性と星性の二つの分類がされており、魂性というのは個人専用宝具のことだ。生まれながらに自分の中に眠っていて、他の人には扱えないタイプのもの。所有者が死ねばその宝具も消えてしまう。

 

 それに対して星性というのは使い方を知っていれば誰でも使える宝具で、地球の古い遺跡やエネルギーの噴出ポイントでたまに発見されるものだ。あとは人間以外の生物が作ったもので優秀なものも含まれる。これらは所有者が死んでも宝具が消えることはない。



 そんで俺と部下たちはみんな魂性宝具を持っている。


 俺が船と生命の貯蔵庫。


 Aが舞台の本と鎧。


 Dが大鎌。


 エロ太は霊大剣。



 それぞれの能力は――――



「そういえば、あの大会では宝具なんて使ってなかったよな?どうしてだ?」


「ああ。リーダーが使うなって。普段から使うと強力過ぎて自分自身の成長が遅くなるからって。なあ、リーダー?」


「ん?あーそうだな。俺はともかくとして部下たちは戦闘が半端なく有利になるからな。宝具に頼りすぎると成長しなくなる。」


「なるほどねぇ。………いや、でも良いなぁ~俺もほしいなぁ~」

  


 Dと俺の言葉を聞き納得したような顔をするもののすぐにため息をつく松田。


 それを部下たちが慰めるというか、「まあ、俺たちは大会では使ってないしそれでもそこそこに勝てたし訓練次第では何とかなるよ。」

「どうしても欲しいなら地球の遺跡のとか行ってみるか?次の長期の休みとかに?」

「長期休暇は優香と旅行に行くつもりだからさ。」

「死ね」「死ね」「死ね」

「あ、ひどい!」とグダグダな会話になっていた。





 さて、もう良い時間だしこんなアホどもに構ってられないな。


 汗臭い男どもより可愛い女に会いに行こう!


 ホントはアリスとしたかったけど研究室の確保の手続きやら資材の確保やらを頼んじゃったからな。


 ひとまずこいつらへと最後に予定を伝えてもう帰るとしよう!





「そんなわけでお前ら!次の3連休はダンジョンに潜るぞ!」



 いまだ松田とグダグダしてた部下たちに声をかける。



「「は?」」


「どんなわけ?」


「詳細は当日話す。不死鳥祭殿に行くからしっかりと準備するように!この時に宝具の使用も許可すると思う!じゃあ、解散!」



 強引に説明を打ち切って立ち上がる。 


 未だに呆然としている男たちを尻目に俺はさっさと訓練所を抜け出し京子の家に向かうことにした。








 京子には学校で行かないと伝えてたから、念のため連絡を取ってみたら大丈夫とのことだった。でも少し申し訳ないんで途中でケーキを買うことにして店へと向かう。


 優雅にケーキを選びながらふと気づいたんだが、なんか色々なことがあり過ぎて性欲も収まりつつあるな………それともお嬢様から離れたから収まったのか?ま、どちらにしろ今日は精神的に疲れたし、あとは搭の施設であったことを京子に話して大人しく寝よう。




 俺はそんなことを考えていたんだが京子の部屋に入り薄手の格好をした彼女を見た途端、前言を撤回し即座に襲い掛かってしまった。


 …………自分では意識してなかっただけでやっぱり発情してたらしいな。結果として夕食もケーキも食べないでひたすらサルになっていた。性魔法は持続力とかもパワーアップできるからやりたい放題だしな。




 そんなわけで数時間も頑張った俺たち。




 夜も更けて、隣では京子が裸のまま気持ちよさそうに寝息を立てていた。


 暗闇でも視力を強化してるから俺にはしっかりとその身体が見えている。今日初めて貴族の本家の女を直接見たけど京子はそれにも劣らない外見だ。


 俺はしばらくその頭を撫でながら今日一日を振り返る。


 沙夜たちに会ったこと。


 アリスとのこと。


 ちょっとだけメン太郎のこと。


 他のお嬢様たちのこと。


 魔王や眷族のこと。


 一日で多くのことがありまくりだったなぁ……


 ぼんやりと考えるうちに徐々に眠気が襲ってくる。


 意識がなくなる前、最後に頭に浮かんだのは“きっと今日の出会いは大きな分岐点だった”という言葉であった。


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