表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

視覚障碍者が書く、見え方と生活のエッセイ

視覚障害になって見えなくなったことと同じぐらい、『怖かった』こと

掲載日:2026/05/09

はじめましての人ははじめまして。今までの作品を読んでくれている人はありがとうございます。

彩無シエルです。

先に謝辞を述べます。多くの人が私の作品を読んでくれていて、ありがたい限りです。

おかげでエッセイランキングの日刊総合で最大5位、日刊短編部門で最大3位を取ることができました。

本当にありがとうございます。

今回は視覚障害の作者が遭遇した見えなくなった事と同じぐらい怖かった事を書いていきます。

皆さん、見えなくなるって怖いと思いますか?実際かなり怖いですね。

私は小学5年生の頃に重度の視覚障害が発覚して、確か中学1年の後半ぐらいに文字が見えなくなったんです。意外とこの辺ってあいまいなんですよね。当時S○O読んでたのは覚えてるんですけど。

いや、それはよくて。当時はだいぶ荒れましたね。小学校からの同級生に久しぶりに会ったら「だいぶ暗くなったね」と言われるぐらいには。理解ある友達いたからだいぶましでしたけど、かなりヒステリーっぽかったと思います。

高校時代になってもなかなか精神状態が直らなくて、たぶん落ち着いたというか正常にコミュニケーションが取れるようになったのは3年生になった時ぐらいだったと思います。

そのぐらい見えなくなって一人で生活できなくなるって怖いし、見えなくなるとかなり精神に来るんですよね。

ここからが本題です。そんな見えなくなる恐怖と同じぐらい怖かったこと。

先に結論だけ言うと「当事者を無視した善意の押し付け」です。

前提から説明しますと、視覚障害者っていっても、普通に電車にもバスにも乗ります。特に登校している学校がそれなりに遠くにあれば乗る回数も多くなりますよね。

で、私もそんな感じで、電車に乗って登下校していました。最初は親に送り迎えしてもらっていたんですが、訓練の結果として2年生の後半から一人で行き来できるようになったんです。

そんなある日、いつものようにバスを乗り継いで、駅で電車を待っていた時のことでした。

その時の私はスマホのスクリーンリーダー(画面読み上げ機能)でウェブ小説を読んで時間をつぶしていたんですが、その時いきなり声をかけられたんです。

「ねぇ、君、視覚障害者だよね。」

私は顔を上げ、おそらく声をかけてくれた人がいるであろう方向へ向いてうなずきました。

最初は白杖を見て何か困っていると思って助けようと声をかけてくれたのかなと思っていたんですが。

「ここじゃ椅子がないからこっち来なよ。」

と言われていきなり腕を捕まれたんです。私は正直めっちゃびっくりしました。

それは視覚障害者だけでなく、感覚系の障害持ちに対してやってはいけない事だったからです。

ヘッドフォンで音楽を聴いていた時に急に後ろから肩を捕まれる感じが一番伝わりやすいでしょうか。足音がしない状態で唐突に後ろに引っ張られるんです。

考えてみてください。めっちゃびっくりしますし、数歩飛び跳ねる可能性もありますよね。

特に駅のホームでしたからね。一歩間違えるとホームから落ちる可能性すらあります。

そのままその男性……ちょっと分かりやすくするためにAさんとでもしておきましょう。

Aさんはそのまま私を引っ張っていこうとしました。

私は抵抗して「この電車はよく使っているので大丈夫です。」と断りました。

なんかかなりごねられて、最後はしぶしぶ離れていきました。で「なんかあったらすぐ声をかけてね。」的な事を言っていた気がします。かなり前の事なのでその辺はあいまいです。

怖くなった私は、親へ連絡するふりをして声をかけられにくくしていました。

で、とうとう電車が来て、私がいつもの場所から乗り込もうとしたら、先ほどのAさんがまた来て「連れて行ってやるよ」的なことを言って引っ張ってきました。

正直それなりに人もいて、腕を振りほどくのも怖いし危ないしで、私はそのまま二の腕を引っ張られたまま電車に乗り込みました。

その後もそれなりに声をかけられて、どこで降りるの?とか、どこまで行くの?とか聞かれました。私はあいまいに答えていたんですが、電車が動き出すと、Aさんがいきなりその場を離れたんです。

どうしたのかと思っていたら、近くの優先席の人に対して「お前そこどけ!!」といきなり叫び出したんです。たぶん若い人でも座っていて、障害者の私に場所を入れ替わって欲しかったんでしょう。

正直に言いますが、かなり迷惑です。怒鳴られた人にとっても、周囲の人にとっても、私にとっても。

私は正直この時点でかなりの恐怖を感じていました。慌てて「すぐおりますから」ってAさんを止めたんですが、ここからが一番怖かったです。

その人、たぶん泣いていたんですよね。声がそんな感じだったんです。で、そんな声で「彼は視覚障害者なんだ。かわいそうだと思わないのか。」って言ってました。

正直ドン引きしました。いや、その、かわいそうと言われても……。これが障害者側からの偽らざる感情です。

たまにそういう同情とか憐憫が嫌で視覚障害を無理して隠したり、対人恐怖症になったりする人もいるぐらいにはこれは嫌がられます。私の場合はあまり気になりませんでしたが。

しかもなんかだいぶあらぶっていて、その時は感情がマヒしていたんですが後々になるとここが一番怖かったです。

どうにか席の入れ替えは止めさせて、二駅で降りたんですが、その時もその人に引っ張られて。幸い乗り換えの電車はホームの正面だったのでそこまで時間はかからなかったです。

で、その電車は空いていて、Aさんはその駅が目的地だったらしく、その場で分かれることになったんですが、私の隣りに座っていたおばあさんに対して「彼、目が見えないから案内してあげてください」っていって電車を降りていきました。

私はおばあさんに何度も頭を下げて電車を乗り継ぎ、無事に家に返れました。

ここでおちなんですが。数日後、学校に登校したときにこのことを担任の先生に話しました。

私の学校は盲学校で、私よりも目の見えない、完全に『全盲』の先生が何人か所属していて、その一人が担任だったんです。

その先生が言うには「あぁ、たまにあるね。」とのことです。

先生も昔案内してくれた女性から宗教に勧誘されたそうです。本人にとっては本気で救いになると思って紹介してくれたのかもしれませんが、有難迷惑です。

そんな感じで、私の話を全く聞かず、周囲に怒鳴って私の援助を強制している状況というのが、私が遭遇した見えなくなるのと同じぐらい怖かったことですね。

他にもまだ文字が見えてた頃に雪のせいで視界が悪くてスキー場の崖から落っこちた話とか、夜に歩いてたら道に迷って気が付いたら元居た場所に戻ってた話とか、しようとおもえば色々危ない話はあるんですが、一番精神的に怖かったのはこれでしたね。

これは勘違いしないでほしいのですが、声をかけてもらえることはとてもありがたい事です。

特に困っている時はとても助かっていますし、盲学校でも助けてくれた人がいたらしっかり大きな声で感謝を伝えるように教育されます。

ただ、こちらの意見も効かず、拒否されてもむりやり補助しようとしたり、腕をつかんで引っ張ってきたりするのはやめてほしいという話です。

これは不快感がどうこうという話ではなく、腕を引っ張られたら単純に危ないという話です。さっきの話で言えば、もしかしたら引っ張った勢いでホームから落ちるかもしれません。不意に力が入れられて電車とホームの隙間に足が落ちてしまうかもしれません。

ということで、もし視覚障害者などの障害者の人が困っていたら、声をかけ、どんなことをしてほしいか尋ね、言われたとおりに補助していただけると助かります。

私たちは声をかけてくれたらうれしいですし、尋ねられたらちゃんとどんな事をしてほしいかを伝えることができます。

耳が聞こえなくて言葉を離せなくても、スマートフォンでメッセージを表示してコミュニケーションをとることができます。

この前、電車で移動していた時に、とある女性が「大丈夫ですか?」と声をかけてくれました。

その人は何か困っていることありますかと尋ねてくれたんです。しかもその人、ベビーカー引いてて、本人も苦労しているのに困っていそうという理由で声をかけてくれたんです。

私は申し訳ないと思いつつここが何番ホームかだけを聞いて感謝を伝えて別れました。その時はとてもうれしかったのを覚えています。

ーーーーーーーーー

このように、視覚障害者にとって無理やり動かされることはかなりの恐怖です。皆さんも目を瞑った状態で腕をひっぱられれば分かると思います。

そうでなくても、一方的な行動は問題になる可能性があります。

そんな著者が体験した恐怖話でした。

今回は以上となります。読んでいただきありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ