8話
「皆さんお疲れ様でした!」
「サーシャありがとう!今日も最高のバフだったよ!」
「セリナの剣技は相変わらず見惚れる速さね。流石だわ」
「速さは私のアイデンティティだからね!アリサとリンネのパワーいっぱいの一撃もめちゃくちゃカッコイイよ!」
オーガ討伐の喜びを四人で分かち合う。カメラが無ければ、全員一人で何体でも倒せるくらいの力量差があるが、目立ちすぎずお金も稼ぐならこのくらいで良いはずだ。既に初日からオークを数匹倒した時点で、若干目立っている気もしないでもないが⋯⋯。
コメント欄は、5級モンスターのオーガを、四人の少女が瞬く間に倒したことで盛り上がっていた。
『1000円:すげええええええ!!!』
『え?オーガって雑魚なの?』
『アホか。オーガまで行けば、ライフルで武装した軍人が30人は必要になるレベルだぞ。あれくらい余裕持って倒すなら、50人は要るな』
『マジ⋯⋯?フルール最強なのでは⋯⋯?』
『リンネ最強!リンネ最強!リンネ最強!』
『アリサ最強!アリサ最強!アリサ最強!』
『様を付けろよデコ助野郎!!』
ちょっと目立ちすぎてるかも。いや、けどこれくらいならギリ許されるか?分かんないや。
「みんな、私たちの戦い見てくれた?」
『10000円:もちろんです!!』
『5000円:同じパーティで戦いたい⋯⋯』
『今日も圧勝で凄すぎる!!』
「皆ありがと〜!配信の最後に、投げ銭してくれた皆の名前読み上げるね!」
うんうん、上出来上出来。私が感謝と共に手を振ると、みんな嬉しそうにお金を投げてくれる。なんかこう、いけない扉が開いてしまいそうだ。
『50000円:大ファンです!メンバーの関係を教えてください!!』
『たしかに』
「え?えーっと、私たちの関係⋯⋯かぁ⋯⋯」
我ながら現金だと思うが、50000円の投げ銭はめちゃくちゃ目立つのも相まって、内容を読んでしまった。後で守銭奴とか叩かれないと良いけど⋯⋯。
私も矛盾してるなぁとは思うんだよ?目立ちたくないのに配信でチヤホヤされて稼ぐの。でも仕方ないじゃん。私にも人並みの承認欲求があるんだから。
おっと、話が逸れた。私たちの関係をなんと言おうか迷っていたところで、サッとアリサとサーシャが割って入る。
「そんなの決まってるじゃない」
「家族です!」
おお、なんて素晴らしい回答。まさにそうだ。実際今は、戸籍上は皆で姉妹だし。私は二人の意見に便乗した。
「友達でも仲間でもあるけど、たしかに家族って表現が一番かな!」
「ふーん、あんな事する家族⋯⋯ねぇ」
セリナがニヤリと笑う。こ、こいつ⋯⋯!余計なことを⋯⋯!
『え?』
『は?』
『くわしく』
『5000円:セリナちゃん、もっと詳しい話を!』
『1000円:あんな事って何!!!!???』
ほら!コメント欄が阿鼻叫喚になったじゃん!セリナを睨むと、それを楽しむように悪い笑顔をしていた。悪い子だ⋯⋯!
「はい!じゃあ配信はここまで!!」
『えっ!?』
『さっきの話は!?』
「はいセリナ!!読み上げ頼んだよ!!」
「え〜?もう照れちゃって。ふふ、じゃあ皆〜あっちで読み上げしてくるね〜」
そう言うと、セリナはAIドローンカメラを引き連れて隅っこの方へ消えていった。
その日の夜、ファンアートタグには悍ましい量のベッドシーンを彷彿とさせるイラストがタイムラインを占拠した。ナマモノでこんな堂々とエッチな二次創作するな!!!!




