7話
「見えてる⋯⋯?おーい」
『3000円:リンネちゃまキタコレ!』
『リンネ最強!リンネ最強!リンネ最強!』
『3000円:今日も黒髪ロングが美しいです』
『——このコメントは削除されました——』
『1000円:我ら、フルール騎士団!悪しきコメントは、悪即斬!』
おいおい、何コメントしたんだ。あとなんだ、フルール騎士団って。⋯⋯まぁいいか。恥ずかしいけど、さっさと挨拶してしまおう。
「見えてるみたいだねー。あ、投げ銭ありがとー!それじゃ今日も始めるよ!フルールチャンネルのリーダー!リンネとー?」
「アリサと」
「サーシャと!」
「セリナだよー!」
「私たち、フルールです!」
きらりん☆とSEが鳴りそうな決めポーズを取った私たちを、AIドローンカメラがしっかりと撮影する。恥ずか死ぬ。
ただ、私の羞恥心と比例して、コメント欄は多いに盛り上がっているようだ。
『3000円:アリサ様キター!!!今日も氷のような視線、ありがとうございます!!』
『3000円:マイスイートエンジェル、サーシャたんんんん!好き好き大好き!やっぱ好きー!』
『3000円:セリナちゃん今日も元気をありがとう!!救われてます!!』
私たちのチャンネル、フルールはチャンネル開設3日でチャンネル登録者数20万人を突破。今もライブ配信の同時接続数は3万人を記録している。凄い人気だ。今回の配信で3回目なのだが、もう謎の空気感が出来上がっている。そのバズり方は異様で、まとめサイトにも幾つも取り上げられてしまった。
超絶美少女であるアリサ、サーシャ、セレナの人気に肖り、モブに徹してお金は貰おうと思っていた私だったのだが、思ったより初回で私も人気があったので、私も生配信にレギュラー登場することになった。何故なのか。
MeTubeのような一般的な配信プラットフォームとは異なり、探索者専用の動画配信プラットフォーム——DIVE——は収益化が簡単だ。DIVEのおかげで、もう私たちのライブ配信には投げ銭が飛び交っている。
既に投げ銭は200万円を突破した。お金って、ある所にはあるんだなぁ⋯⋯。
収益については、計算も面倒なのでこちらも丸々4等分することにした。投げ銭は5割を運営元に持っていかれるので、半分の100万円を4等分だ。3日で1人25万円の収益。悪くない。
「今日はダンジョンの13階層にチャレンジします!」
「13階層は、5級探索者向けの階層になるらしいよ」
「そろそろ歯応えのある敵が現れてほしいわね」
「オークとかトロールとか、大きいだけで弱すぎたもんね〜」
『フルール強すぎワロタ』
『探索者証発行してから1週間も経ってないのにこんな強いの何事???』
『アリサ様の斬撃の前では、どんなモンスターも紙屑同然なのだ!』
『でもマジで何者なんだ?この子たち』
家から一番近いこのダンジョンは、結構分かりやすい作りをしており、ダンジョントラップもそこまで悪質な物は無く、3階層ごとに適正ランクが上がっていく、初踏破には持ってこいなダンジョンだ。
そんなわけで、私たちはサクサク13階層までやってきた。多分この調子だと頂上の30階層まで苦戦すらしないと思うが、ダンジョンがだだっ広いので、今は良くて1日1階層くらいのペースで進んでいる。低階層は1階層の広さもそこまで大きくなかったが、10階層辺りからかなり大きくなってきた。そのうち、1階層を1日で踏破するのは難しくなる気がする。別に急いでもいないので、気長に頑張るとしよう。
13階層に入ると、オーガが居た。要するに大きな鬼である。
そういえばダンジョンのモンスターって、基本的には創作物に出てくるようなモンスターが出てくるんだよな。異世界の魔物は、まさしく得体の知れない怪物って感じだったけど⋯⋯。
まぁ考えていても仕方ない。今日も配信用の戦い方で行こう。
「皆さん、行きますよ!加護!」
「サーシャありがとう!身体強化!」
「行くわよリンネ。合わせなさい!身体強化!」
「撹乱は任せて!加速!」
それっぽい光が私たちを包み、セリナが誰よりも早くオーガに突っ込む。私は槍を、アリサは大盾とロングソードを構え、オーガに駆け出す。
オーガは腰に携えた巨大な石の剣を振り降ろすが、セリナはそれを軽々しく避けた。そのまま二本のダガーナイフでオーガの肉体を切り裂く。
ダガーナイフのため致命傷には至らないが、オーガは肉体のあちこちから出血していた。怒りの止まらぬオーガは、セリナの方に石剣を投げる。
しかし、それはアリサの大盾が許さない。剣を盾で弾き飛ばしたアリサは、怯むことなくそのままオーガに突進する。アリサのロングソードは、セリナと違い、強く重たい一撃を放つ。一撃で両足を切り落とされたオーガは、堪らず膝をついた。
「リンネ!今よ!」
「うん!喰らえぇぇぇぇぇ!!」
で、最後は私。手の届く距離まで降りてきたオーガの眼球目掛け、手持ちの槍を突き刺す。オーガの眼球を貫いた槍は、そのままオーガの脳も貫いた。
一応死ななかったら困るので、カメラに乗らない声量で発動し、付与していた魔法を起動する。貫いた槍先から電撃が放たれ、オーガの頭部を内部から完全に破壊する。
耐えきれなかったオーガは、槍を抜くとそのまま崩れ落ちた。




