5話
そうして1階層、2階層、3階層⋯⋯と上がって行ったところで、サーシャが声を上げた。
「わ、なんですかあれ?使い魔さん?」
「あー、あれは配信用のAIドローンカメラだね」
3階層で戦っていたパーティの頭上にドローンが飛んでいた。高性能なAIが搭載されていて、戦闘中でも臨場感ある映像を映し出し、グロすぎる映像は上手いこと加工しながら配信サイトに配信してくれる素晴らしい商品だ。
⋯⋯ん?ちょっと待てよ?
「⋯⋯!!あれは使えるよ!」
「うわっ!どうしたの急に」
「あれは高いけど、あれ導入すれば⋯⋯い、いける⋯⋯!」
なんて事だ。この手があったじゃないか。私は、私の叡智が恐ろしいよ。
ダンジョン配信。それは老若男女に愛される素晴らしいコンテンツだ。
書いて字のごとく、探索者がダンジョンでの様子をAIドローンカメラに撮らせ、それを専用のプラットフォームで配信して、投げ銭と呼ばれる機能で稼ぐ、といったビジネスモデルである。
中々のレッドオーシャンで、一般男性であれば配信の収益がマトモな額に行くのは至難の業だ。しかし、目の前にいるのは絶世の美少女!しかも×3!かつ、めちゃくちゃ強い!!こんなもん、売れないわけがない!
AIドローンカメラは高性能で、だいたい200万円はする。最初の目標は、AIドローンカメラの購入だ。その為にも、モンスターを狩りまくって100万円を目指そう。
10階層まで登ると、オークという豚人間みたいなモンスターが出てきた。オークは身長2.5メートルほどある巨漢で、素手の個体もいるが棍棒や石を持つ個体もいる。武器を投げて攻撃するパターンも増えてくるため、多少注意が必要になってくる。
オークの適正ランクは6等級。この辺りから、1体あたりの値段がそこそこ高い。あとは多少歯応えがあると良いのだが。
一応警戒心を残したまま、私はみんなに指示を飛ばす。
「サーシャは回復に専念して!セリナは周囲の警戒を怠らないで!『雷枷』!」
「良くやったわ!喰らいなさい、豚人間!」
音を超える速度かつ、必中の効果を持つ足止めの魔法——雷枷——を放つと、雷の足枷がオークの足を縛り付ける。オークが身動きが取れなくなったところを、アリサが一刀両断。相変わらず、惚れ惚れするような剣技だ。オークは縦半分に切り裂かれ、その場に沈んだ。
やはりこの辺りのモンスターも、一人でも余裕で倒せる相手らしい。
ただ、今日が魔王戦の翌日であることと、万が一に備えて集団行動は欠かさないことにした。油断大敵というやつだ。
半分に切り裂かれたオークの死体を魔法袋——簡単に言うと四次元ポ〇ット——に詰める。魔法袋は、スキル異次元収納と能力付与の合わせ技によって生産された商品だ。探索者には、モンスターの素材を回収するために無料貸し出し——半端ない厳重な管理体制で管理——されているが、一般販売だと1億円はくだらない。しかも、物流や密輸などに影響が生まれないよう、こちらも超厳重な管理がされている。よく知らないが、魔法袋で悪さをすると、強盗殺人くらいの罪がどの国でも適用されるらしい。怖すぎ。
閑話休題。
私たちはオークを次々と狩っていった。オークは1体、だいたい30万円する。ワンパンできるモンスターで30万円手に入るとか、こんなこと許されて良いんだろうか?という気持ちになるが仕方ない。
試しにサーシャがバフ、デバフ無しの徒手空拳で戦ってみたところ、3分ほど打撃を与えた段階でオークが倒れた。攻撃系の能力を持たないサーシャが、レベルアップによる純粋な肉体のステータスだけで完封できるレベルということだ。なら間違いなく苦戦することは無いだろう。
だいたい1体で30万円はするオークを、サクサクと撃破する。ドローンと、プラスアルファ色々な費用分は稼ぎ、私たちはダンジョンを後にすることにした。
今回は幸い誰にも見られなかったが、私たちの戦い方や装備はどうしても浮くため、日本用の装備等を購入する必要がある。
私は、魔法使いから何使いにジョブチェンジするかを考えながら、ダンジョンの帰路を歩いた。




